超久々に、まぁみり妄想の開幕です。
ここでの「まぁみり」は、朝夏まなとさんと明日海りおさんの事です。
朝夏さん&実咲凛音さんコンビは「まぁみりおん」と呼び分けさせて頂いております。

宝塚はいまだアナログなお手紙文化が根強く残っている、ということが今回の根っこにあります。
七海ひろき監督に倣った、キュン・トクンな世界を目指したいところ。

…というわけで、妄想世界の朝夏まなと氏と明日海りお氏による、男役同士の超でっちあげBoys Loveショートストーリーです。(しーん…)
少々まぁまかっぽいですが、ベースはまぁみりです。

BLや妄想小説が苦手な方は、ここから先はご覧になりませんようお願い致します。



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拝啓 朝夏まなと様。
寒い日が続きますが、お元気でお過ごしですか。
お風邪など召されてませんか。
まぁ様のことですから、自己管理はしっかりされていると思いますが、念のため。
宝塚も冷えますが、東京も寒いです。
佐賀と比べて、どうですか?

「そりゃ、決まってるでしょ」
「…へ?」

顔を上げると、ゆりかこと真風涼帆と目が合う。
ゆりかの手にはペットボトル。
背後には自販機。
今は、居残り稽古組の休憩時間。

「…あ、漏れちゃった」

てへ、と照れ隠しに笑ってみせる。
きょとん、とした顔つきのゆりか。

「……何が漏れたんですか?」
「心の声」

ゆりかは、まじまじと私を見つめる。

「…お疲れなんですね、まぁ様」
「そうね、そうかもしれない」

手にした手紙を折り畳みながら、ひっそり呟く。
視線を感じた先に、目を丸くしたゆりかがいた。

「どうしたの、ゆりか?」
「…初めて聞きました」
「は?」
「まぁ様が『疲れた』とおっしゃるの…」
「そうだっけ?」
「そうですよ…!」

こぶしを握りしめ、力説するゆりか。
そんなに驚くこと?

「…でも、ちょっと安心しました」

人が疲れて安心するって、なにその矛盾?

「まぁ様も人間だったんだな…って」

だって、いっつもニコニコしてるじゃないですか。
皆がヘロヘロしてる時も、まぁ様は笑ってて。
驚きますよ。
いえ、嬉しいんですけど。
まぁ様はいつも笑って下さるから、会うたびほっとするんですけど。

さらに力説するゆりか。
その背後に、誰かの影が揺らめいた。

まぁ様と廊下ですれ違うと、いつも笑って下さる。
まぁ様にお会いすると、ほっとします。

こちらこそだよ、まったく。
こちらこそ、見かけるたびにホッとする。
あのほわほわした笑顔。

「今日は早くお帰りになられた方が…」

心配そうなゆりか。
ここは甘えてしまおうか。
仮病を使ったような後ろめたさはあるものの。

「そうだね、うん。 そうする」

帰って、手紙の返事を書こうか。
東京で寒さに震えてる、あの子に。

ふと溜息が漏れそうになり、ぐっと堪えた。
息を呑み、ぎゅっと目を瞑って。
それから深く、深く息を吐く。

……改めて目を開くと、ゆりかの視線とぶつかった。
口を半開きで、私を凝視めている。

「どしたん、ゆりか?」
「…そういう技もお持ちなんですね」
「技?」

ゆりかは、こっくり頷いた。

「反則技です…」
「反則って」

ゆりかは盛大な溜息をついた。

「覚える事がありすぎです、宙組へ来てから」

それ、どういう意味なんだろ。
まぁ、いいか。
ゆりかは、なんだかんだ楽しそうだし。

「いいでしょ」
「はい?」
「悪くないでしょ、組替も」

ウィンクして微笑むと、ゆりかに軽くにらまれた。

「だから、そういうところが反則なんです」

まぁ様はずるい。

それ、なんだか聞き憶えのある科白だ。
私の記憶中枢で、リフレインしてる。

ぷうっと頬をふくらませた、りすみたいな顔を思い出す。

「……ふふっ」

思わず笑みがこぼれた。

「今度は、思い出し笑いですか?」
「ははっ、ばれた?」

開き直って、笑い飛ばす。

「…まぁ様のえっち」
「え~? なにそれ?」
「思い出し笑いは、そういうものなんです」
「あ、そうなの?」
「…本気にしないで下さいよ」

調子が狂う、と言いたげだ。

「時々、素で可愛いんですよね…」

今度は、こちらの口が半開きになる。

「なにそれ、私のこと?」
「まぁ様以外に、誰が ?」

眉根を寄せて、ゆりかが独りごちる。
愁いを帯び、戸惑いを秘めた瞳。

あぁ、たしかに。
これは反則だな。

「ゆりか、確実に腕を上げてるじゃない」
「まぁ様には敵いません」

ここだけの話、私もしょっちゅうドキッとしてます。

真面目な面持ちで自己申告する、ゆりか。
あぁ、それでさっきも…。
怒った顔は照れ隠しか。

「男役にも通じてる?」
「私は男役ですよ?」
「そうね、そうだった」

男役までたらし込みたいなんて、貪欲すぎます。
とにかく帰って下さいよ、今日はもう。

ゆりかに急き立てられ、足早に歩き始める。
ポケッ トの中には、あの子からの手紙。
もう何度、読み返したことか。
文面は、とうに諳んじてしまった。


まぁ様は宝塚で、私は東京にいる。
それは、ちゃんとわかってるんです。
なのに、何故でしょう?

ふとした瞬間に、まぁ様の声が聴こえた気がして。
まぁ様が、隣にいらっしゃるような気がして。
思わず、はっとします。
振り向いても、まぁ様はいらっしゃらないのに。

……まぁ様。
これって、どういう事でしょうか?
おわかりになりますか?

もし、ご存知なら。
教えて下さい、まぁ様。
教えて下さい。


胸にそっと手を当てる。

それはねぇ、みりお。
とっくに住んでるからじゃないの?
私が、あなたのここに。

そして、あなたも私のここにいる。
私の中に、しっかり住み着いてる。
だから、ほら。

こうして今も、あなたはここにいる

ここにいるんだね…。




END


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