9月29日に発生したサモア沖地震が、南太平洋のアメリカ領サモアとサモア独立国(西サモア)に甚大な津波被害をもたらした。この災害を教訓に津波の発生メカニズムと予兆を解明し、もしもの場合の対応を確立しておく必要がある。
アメリカ地質調査所(USGS)の発表によると、9月29日にサモア諸島を襲った津波の原因はサモア諸島南沖で起きたマグニチュード8.0の巨大海底地震である。
津波は通常、海底の地震や地滑り、火山噴火で生じるが、まれに巨大な隕石が海に落下して発生することもある。
地震津波は大規模な地震が起こって海底が激しく揺れ動き、相当量の海水が突発的に移動した場合に発生する。
津波は世界語であり、英語では「tsunami」と表記する。日本が津波大国であることを物語る現象だが、実際に過去数百年間で何万人もの日本人が津波により命を落としている。
津波は1度だけでなく2波、3波と何度も押し寄せてくるが、第1波が最大とは限らない。また、津波は潮汐によって生じる波ではない。
津波の波長は長くて100キロに達し、波の間隔は1時間に及ぶ場合もある。また、大洋を渡りきるほど長い距離を移動しても、エネルギーが大幅に失われることはない。例えば2004年のスマトラ島沖地震で発生したインド洋津波は、十分な勢力を維持したまま約5000キロ離れた東アフリカ沿岸まで到達し、建物を破壊するとともに人命も奪った。
◆津波の移動速度はジェット機並
水深の深い外洋では、津波の移動速度は最高で時速800キロに達し、大洋を24時間以内に渡りきることができる。ただし、これほど大規模な自然現象であるにもかかわらず、その移動過程で外見的な変化は見られないという。世界各地の津波の到達時刻は、水深や距離、そして津波を引き起こした現象の発生時刻に基づいて割り出すことができる。
外洋の津波は波高が30センチに満たない場合もあり、航海中の船乗りが津波に気付かないのはそのためである。しかし高エネルギーの衝撃波が海中を移動する速度は高速であり、ジェット機レベルに達することもある。ただし陸地に接近して水深が浅くなると、速度は途端に遅くなる。浜辺で波が襲い被さってくるように見えるのは、波の底部より上部の方が速いためである。
津波のエネルギーは、礁や湾、河口、海底構造といった地質特性によって失われる場合もある。したがってエネルギーの損失が大きく数十センチの波しか立たない地域もあれば、損失が小さく波高30メートルという壁のような波が押し寄せる地域もある。ほとんどの場合、津波の波高は3メートル前後である。
津波は必ずしも陸地に激しく衝突し砕け散るわけではなく、急速に押し寄せる上げ潮のように襲来する場合もある。海中の大規模な乱流に伴って発生すると考えられるが、人がのみ込まれたり、車などの重量物が押し流されたりといった被害が出る。このタイプの津波に襲われると、浜辺は一掃されてしまう。
2004年のインド洋津波は史上最大規模の被害をもたらした。20万人以上が死亡したが、その多くは波にさらわれて行方不明のままだ。
米国海洋大気庁(NOAA)のデータによると、太平洋は津波の活動が最も活発な地域であり、観測件数は群を抜いて多い。しかしその発生源は太平洋だけでなく、カリブ海や地中海、インド洋、大西洋といったほかの海域にも及んでいる。
カリブ諸島は1498年以来、確認されただけで37回の津波に襲われている。その一部は発生源が遠く離れており、1775年の津波はポルトガル沖の地震が原因だった。カリブ諸島の津波で亡くなった人の数は、合計で約9500人に上る。 1999年にトルコの都市イズミットを震源地とする地震が起こった後、同国のマルマラ海では大規模な津波が発生した。
◆予兆
地震は津波の前触れである。強い揺れを感じた場合は、決して海岸に近づいてはならない。地震速報を聞いたなら津波を警戒し、ラジオやテレビで詳しい情報を収集する必要がある。遠く離れた外国の地震でも油断はできない。何時間か後には海を渡って津波が押し寄せる可能性もある。
津波が押し寄せる前には上げ潮か引き潮が起こるという報告もある。異常な速度で潮が引いた場合は津波が近づいている可能性があるので、直ちに高台へ避難する必要がある。
津波は1度だけでなく2波、3波と何度も押し寄せてくるが、第1波が最大とは限らない。したがって第1波が終わっても油断はできず、その後数時間は警戒を続けなければならない。波が押し寄せる間隔は、5分の場合もあれば1時間の場合もある。とにかく、公式に安全が発表されるまで浜辺に近づいてはならない。
津波の波高は少ししか離れていない2点間でも大きく違う場合がある。目前の波高に油断してはならない。
津波は河口から河川に侵入し、遡上する場合がある。津波が発生した場合は、浜辺は言うまでもなく、海に注いでいる河川にも近づかない方がよい。
◆命を守る
NOAAによると、航海中の船舶は津波警報が出てもすぐには港に戻らない方がよいという。外洋の津波は感知できないほど動きが小さいためだ。逆に港では、急速な水位の変化や不規則で危険なうねりが生じる場合がある。
アメリカでは、西海岸における津波の危険性の認識が高まったことから、NOAA、USGS、および連邦緊急事態管理局(FEMA)が共同で、津波を正確に予測するプログラムを進めている。
26カ国が参加する太平洋津波警報システム(PTWS)では、太平洋全域に地震観測所と検潮所を整備し、常時監視体制をとっている。地震発生により津波が生じるかを評価し、必要に応じて津波警報を発令する。
常識で判断することも重要だ。強い地震を実際に感じたら、わざわざ津波警報を待つ必要はない。家族や友人にも呼びかけ、みんなで高台に避難しよう。
動画による解説(外部リンク)
津波発生のメカニズム
October 1, 2009


