【あの日から 四十九日・・・】

 

メルの居ない空間と生活に、少しずつ慣れて行く。

メルと散歩に行く時間、メルにご飯を作る時間・・・

今は使われないその時間も、自然とちゃんと埋められていく。

 

それでも突然 はらはらはらはら と

堪える間もなく、涙がとめどなく溢れ出てくることがある。

湧き出る悲しみ、辛さを洗い流すように。

 

時と共に、心の痛みから逃げる術を

すこしずつ得とくしているのだと感じる今日この頃。

 

 

【それぞれの犬舎】

 

メルと歩きながらご近所のお家を眺め

庭で飼われているワンコ達に会いに行っていた。

15年の間にその子たちも次々に姿を消して

日当たりの良い庭には、古びた犬舎がいつまでも残っている。

そういうお家を見ると、今も愛犬を忘れていない飼い主の思いがそこにあり、

愛されていたんだね、と微笑ましく思う。

 

しかしながら、犬舎の取り払われた様子を見て、

ああ、あの子は亡くなったのか、と気づかされることもある。

実は、そういう犬舎は大抵、敷地の片隅で

日の当たらない、小窓を開けて見下ろさなければならないような

そんな位置にあって、色々と気になっていたものだ。

 

そのうちの1頭は

メルと時々覗きに行くと、嬉しそうに尻尾を振って

こちらに近づきたがる可愛い子だった。

家に居る家族から見放されたようなそんな場所に居て

ちゃんと可愛がられているんだろうか、

存在を忘れられていやしないかと心配していた。

実のところは分からないけど、

犬舎が無くなったその隙間は、とても寂しく見える。

 

そして思う

 

あの子達も 虹の橋の袂で

ずっと自分の飼い主を待っているんだろうか と・・・

 

 

【ツグミのお墓】

 

ある日、家の門を出たところのすぐ近くにツグミが居た。

近くに人間が居るのに逃げずにいるので、

驚かさないようにそっと写真を撮って出かけた。

 

数時間後に帰ってみると、家の近くの道路上に横たわったその姿があった。

あの子に違いない。

車に轢かれていなくて良かった。

そっと拾い上げて家に連れて帰る。

 

何があったのか分からないし

逃げなかったあの時、すでに異変があったのかも知れない。

裏の敷地に埋葬し、正月に活けて根が出ていた千両の枝をその上に植えた。

 

生きとし生けるものは

こうして母なる大地に帰って行くのだな・・・と、静かに手を合わせる。

 

 

 

【そして ・・・】

 

あの頃はとても寒かったね

 

もう春が来ているよ  メル

 

 

また一緒に お散歩に行こうね  おねがい わんわんワン!

 

 

でも  

 

桜桜桜桜桜 桜 桜 桜桜桜桜桜 わんわん

 

やがて咲く 満開の桜を見たら

お母さん きっと 泣いちゃうな・・・あせるあせる

 

桜桜桜桜桜 桜 桜 桜桜桜桜桜

 

メル ずっと大好きだよラブラブ

 

メルに たくさんの ありがとう を捧げます ドキドキドキドキドキドキ わんわん

 

 

 

とりとめのない呟き

最後まで読んで下さって、 どうもありがとうございました。