アメリカのドラマを見ていて、思うことがあった。


それは、


演技の下手な役者が一人もいない、ということ。


泣くにしても、驚くにしても、怒るにしても、笑うにしても、恐怖にかられるにしても、そういう感情を表に出す場面で、役になりきれていない役者が一人もいないのだ。

ドラマに出る役者全員が役者として一定程度のレベルに達している。


ドラマに抜擢される以上、当たり前のことかもしれないが、


日本のドラマはそうじゃない。


役になりきれていない役者がいる。

泣くにしても、悲しそうに泣けない。

怒るにしても、怒りを感じてるように怒れない。

驚いたにしても、驚いてるように見えない。


日本の歌手もそうだ。

実力が伴っていない歌手は多い。

素人に毛が生えたようなレベルの歌唱力の歌手は少なくない。


なぜかと考えると、それはきっと日本が実力社会ではないからだろう。


その道を極めた人が見たら、目も当てられないような人が、活躍の場が与えられてる例が少なくない。


舞台に上がるのに、脚光を浴びるのに、実力とは別の原理が働いているように思えて仕方ない。


誰を起用するかを選んでいる人間が、実力を重視して選んでないのだろう。


推測するに、何らかの特権があるとか、何か便宜を図ってもらってその見返りに晴れ舞台を与えるとか、個人的な好みとか、そんなところではなかろうか?


いい例が紅白歌合戦だ。


紅白出場30回だとか、出場40回だとか、誇らしいことかのように言われてる大御所がいるが、いったい何が誇らしいのか。

別にその年に売れたわけでもない。


毎回毎回、何十年も前にヒットした歌を、紅白で歌ってる歌手は、紅白に出場できる何らかの特権を得ているに違いないと思う。


紅白歌合戦は現代の日本の象徴だ。


俳優で、ダウンタウンとコントなどをやっていたYOUが、若手の芸能人からどうしたら売れるかと聞かれたとき、「社長と寝ればいい」などと答えていたことがあった。


もちろん冗談ぽく話していたが、売れる方法として、それは嘘ではないのだろうと思えた。


YOUは見たところ、根に持つタイプだと思うので、どこかで芸能界に対する恨みを漏らしたいという思いがあって、ポロッとこんなことを言うのだろう。


国会議員にしても、2世議員、3世議員ばかりだ。

世襲議員でも政治家としての力量が備わっていれば、いいのかもしれない。


だが、国会議員なら、法律の専門家であって欲しいし、もちろんすべての法律を知り尽くしているべきだし、法案作成能力がなければならないし、討論が出来るだけの頭の回転の速さも必要だ。

果たして、すべての国会議員にこの条件が当てはまるだろうか?


ここ2,3年の間のことだったと思うが、医大が入試試験で、女性より男性を優先して合格させていたことが発覚したり、官僚が自分の子供を裏口入学させていたことが発覚したことがあった。


大企業が、親のコネで、その子供を入社させてるという話もよく聞く。


それの何が悪いんだという人もいるが、そういうことが日本社会を大きく歪ませているに違いない。


だから、日本人は権力にすり寄るし、媚を売るし、自分の実力を磨くことよりも、いかにして特権に与れるか、利権を貪る集団に仲間入り出来るか、そんなことばかりを考える人が増えるのだ。



今回紹介する動画に登場するのは、マイケル・ジャクソン。これだけの躍りを見せられるアーティストは、世界に何人いるだろうか?

彼の実力は本物だ。

アメリカだって利権構造はあるだろうが、実力でスターになるということが、どういうことか考える参考にしてみて欲しい。




○書き手紹介 

吉井豪
1979年生まれ。群馬県高崎市出身。

東京在住
小説家

趣味は海外旅行