2011.07.03 奈良井宿(長野)
奈良井宿は、中山道69次の34番目の宿場です。
木曽路11宿の江戸側から2番目で、11宿の中では最も標高が高いところにあります。難所の鳥居峠を控
え、多くの旅人で栄えた宿場町で、「奈良井千軒」といわれました。
現在も宿場当時の姿をよく残した建物が街道の両側に建ち並んでいます。
建物の多くは中二階建で、勾配の緩い屋根をかけ、張り出した軒先の造りが特徴的です。
もともと屋根は石置き屋根でありましたが、今はほとんど鉄板葺きに変わっています。
二階に袖壁をもつ建物もあり、変化のある町並みをつくり出しています。
昭和53年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
前日の夕方、道の駅「奈良井」に到着。
ここで休憩をしようかと思いきや、総檜造りの太鼓橋や芝生公園はあるものの、
販売所や食事処が全くない。自販機すら無いのですよ。これ道の駅。
しかもトイレは川の向こう側。「ここでは車中泊は出来ないな。」と思って困っていると、
川の向こう岸に駐車場を見つけ、行ってみることに。
線路沿いにある数カ所の駐車スペース。ここならトイレも近いので、OKに。
お店は無いけど、ここで車中泊をすることにしました。
もう、どこでも泊まれる根性が着いてきました。
でも、ときどき嫌な雰囲気の所もあるのですよ。そんな時は、次へと移動しますが。気まま旅ですから。
途中で買ってきた惣菜と冷蔵庫の野菜などの夕食です。まぁ、慣れたら満足ですよ。
早朝5時、起床。6時には、奈良井の町へ。
早起きするのは、人が入らない写真を撮るため。昔町を撮るときは、そうすることが多いですね。
でも、困ったことが幾つかあります。
まず、相反することだけど、店に活気がないこと。戸が閉まり、暖簾もでていない。
2つめは、車が所々に止まっていること。夜間は、家の前に車を止めるみたいです。
3つめは、資料が手に入らないこと。案内所などが閉まっているため、詳しい地図や説明無しに動くことに
なります。自分の感で撮影しています。ときどき、肝心なものを撮り漏らすこともあるけど、ずぼらな旅です
ので、仕方ないかな。(「もっと下調べしてから来いよ。」と言う声が聞こえて来そうですが)。
さすが、江戸と京の都を結ぶ中山道で、「奈良井千軒」といわれた奈良井宿ですね。
街道を行く旅人でにぎわいが伝わってきます。
杉玉を掲げた酒屋、軒灯りの旅籠、千本格子の家が軒を連ね、江戸時代の面影を色濃く残しています。
時代を超えた風格が感じられます。
山側に6ヶ所ある水場のひとつ、下町の水場では、水をくんでいる地元の方と挨拶を交わしお話をしまし
た。奈良井の町は、江戸側から、下町・中町・上町と順に宿場が区分けされており、その要所要所に6か
所の「水場」があります。わき水をひいたもので、柄杓がそなえてあって、実際に飲むことが出来ます。「谷
深き 沢より 出ずる岩清水 のどうるほさん 旅のつかれに」(詠み人知らず)と下町の水場の裏に、句
が記されていました。
大きく町並みをさわっていないためか、問屋史料館や杉の森酒造などの大きな町屋だけでなく、間口が狭
い町屋、鍵の手になった道、水場や庚申塔、地蔵などがよく保存されています。社寺仏閣など信仰の場な
どもしっかり残されていました。
特に、京風の千本格子や奈良井宿独特の鎧庇などがよかったです。鎧庇や猿頭は奈良井宿独特のもの
だそうです。鎧庇は、4~5枚の板を段状に並べ、桟木(さんぎ)によって板が押さえられています。この段
状に並べられた板々が、武者鎧の肩部分と同じように見えることから鎧庇と呼ばれ、この桟木を「猿頭」と
いいます。幾匹もの猿が、いまにも動き出しそうですね。庇をつるす金具も見事です。途中を捩って装飾に
したという工匠の枝。実に素朴で美しいです。京都の町家づくりの影響を受けたと思われる格調高い造形
の美です。さらに、この庇には実用的な面もあります。「逆さ釘」といって、猿頭の下場から打ち上げて板止
めしているそうです。泥棒がこの鎧庇に手や足を掛けようとすると、釘が抜け、庇が壊れて落ちる仕掛け
です。庇をつるす金具もやわい造りになっているそうです。昔の人の知恵ですね。
連続テレビ小説「おひさま」の撮影が行われ、地元の皆さんがエキストラとして出演したそうです。関係の
ポスターや写真が家々に貼ってありました。
奈良井駅の山手に八幡神社があり、階段の途中を右に折れ、その奥に、二百地蔵があります。
この仏たちは、明治期の国道開削・鉄道敷設の折に奈良井宿周辺から集められたそうです。
年代や場所、制作者が異なるため、表情に違いがあり独特な雰囲気を出しています。
ただ、地蔵様より観音様が多かったのは気になりますが。
完全に観光化されていない奈良井宿は、生活感も感じられる好感がもてる町並みでした。
奈良井千軒とうたわれたほどの賑わいをみせた奈良井宿。
なだらかな坂に沿った町並みは、当時の様を色濃く残し、
十分に現代の旅人を古の世界に誘ってくれました。