新憲法草案(6・8・9章関係) | 或小役人の一笑

新憲法草案(6・8・9章関係)

  
引き続き、自民党の発表した憲法草案について、少し書きたいと思う。

これまでの関連記事↓
2章(安全保障)関係
3章(国民の権利・義務)関係

6章(司法)

第76条3項
軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、
下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。

憲法草案には、この他に軍事裁判所に関する条文が特に見られないので、
その設置に関する細目は、法律に委ねられるということなのだろう。
しかし、軍事裁判官はどのような身分の者が任命されるのか、
どのような事件が、この裁判所の管轄になるのか、
軍人以外が被告になることもありえるのか等、
様々な疑問が残った。これらを全て法律に委ねるのは、どことなく不安である。

もちろん、普通の考え方をすれば、軍人だけが被告になりうる、
国防に関する罪を、軍人が裁くものであるはずである(これを軍法会議というだろうか?)が、
憲法草案にはそういった規定は見当らない。
例えば、防衛庁の役人は対象にはならないのか。
私には軍法会議の知識が全くないので、こうした疑問は愚かなものかもしれないが、
素人考えでは、純粋な司法以外の司法権には、どうしても身構えてしまう。
そもそも私は、軍事裁判所設置の意図が、憲法草案からは読み取れないのである。

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8章(地方自治)

現行憲法92条
地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、
法律でこれを定める。

憲法草案91条の2項
地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、
自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。

地方自治の内容が、かなり具体的に憲法に記述されている。
現行憲法の「地方自治の本旨」とは、正直なところ意味不明な言葉であるので、
この条文は分かりやすくてよいのではないだろうか。

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第9章(改正)

96条で、憲法改正の発議要件が、
「各議院の3分の2以上の賛成」→「過半数」
に緩和された。

この変更は、将来実際に憲法改正を行う時に、
確実に草案に盛り込まれるであろう内容である。

9条その他の変更に隠れて目立たないが、この変更によって憲法は格段に改正しやすくなる。
まずはソフトな、現行憲法とほぼ変わらない新憲法案の中に、
目立たないようにこの条文を盛り込み、憲法改正を容易にし、
過激な憲法変更は、その後改正が容易くなってから行うことになるのだろう。

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これで、新憲法草案についてはとりあえず終わりにしたい。
ところで、今日は新小泉内閣の組閣があった。

私はどのポストを与えられるのか期待しつつ、仕事をしながら
何時でも首相からの連絡を受けられるよう待機していたが、
今回の入閣には、残念ながら声が掛からなかった。

私は当選実績も、役人としての地位も、知名度も知性も品性も金も
ないので、今回は仕方がなかったかもしれない。

次期内閣への入閣を心に決めて、
とりあえず明日朝早い(5時起き)ので、そろそろ眠ることにする。