ツイてるブログ


1992年6月「ブラジル・リオデジャネイロ環境サミット」で、
世界の指導者たちを前に行った、
カナダのセヴァン・スズキさんのメッセージを御紹介してみました。
いつもより少し長めですが、どうぞ心で読んでみてください。


こんにちは。セヴァン・スズキです。
エコを代表してお話します。
エコというのは、子ども環境運動(エンヴァイロンメンタル・チルドレンズ・オーガニゼーション)の略です。
カナダの12歳から13歳の子ども達の集まりで、
今の世界を変えるためにがんばっています。
あなた方大人たちにも、ぜひ生き方を変えていただくようお願いするために、
自分たちで費用をためて、カナダからブラジルまで1万キロの旅をしてきました。

今日の私の話には、裏も表もありません。
なぜって、私が環境運動をしているのは、私自身の未来のため、
自分の未来を失うことは、選挙で負けたりするのとはわけが違うんです。
私がここに立って話をしているのは、
未来に生きる子どもたちのためです。
世界中の飢えに苦しむ子どもたちのためです。
そして、もう行くところもなく、死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。

太陽のもとに出るのが、私は怖い。
オゾン層に穴があいたから。
呼吸をすることさえこわい。
空気にどんな毒が入っているかもしれないから。
父とよくバンクーバーで釣りをしたものです。
数年前に、体中がガンでおかされた魚に出会うまで。
そして今、動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを、私達は耳にします。
それらは、もう永遠にもどってはこないんです。

私の世代には、夢があります。
いつか野生の動物たちのむれや、
たくさんの鳥や蝶がまうジャングルを見ることです。
でも、私の子どもたちの世代は、
もうそんな夢を持つことも出来なくなるのではないか?

あなた方は、私ぐらいのときに、そんなことを心配したことがありますか。
こんな大変なことが、ものすごいいきおいでおこっているのに、
私たち人間ときたら、まるでまだまだ余裕があるようなのんきな顔をしています。

まだ子どもの私には、この危機を救うのに何をしたら良いのかはっきり分かりません。
でも、あなたがた大人にも知ってほしいんです。
あなたがたもよい解決方法なんて持っていないことを。
オゾン層にあいた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。
死んだ川にどうやってサケを呼びもどすのか、
あなたは知らないでしょう。

そして、いまや砂漠となってしまった場所に
どうやって森をよみがえらせるのかあなたは知らないでしょう。
どうやって直すのか分からないものを、
こわし続けるのはもうやめてください。

ここでは、あなたがたは政府とか企業とかの代表でしょう。
あるいは、報道関係者か政治家かもしれない。
でもほんとうは、あなたがたも誰かの母親であり、
父親であり、姉妹であり、兄弟であり、
おばであり、おじなんです。
そしてあなたがたの誰もが、誰かの子どもなんです。
私はまだ子どもですが、ここにいる私たちみんなが
同じ大きな家族の一員であることを知っています。

そうです50億以上の人間からなる大家族。
いいえ、実は3千万種類の生物からなる家族です。
国境や各国の政府がどんなに私たちを分けへだてようとしても、
このことは変えようがありません。
私は子どもですが、みんながこの大家族の一員であり、
ひとつの目標に向けて
心をひとつにして行動しなければならないことを知っています。

私は怒っています。
でも、自分を失ってはいません。
私は怖い。
でも自分の気持ちを世界中に伝えることを、私は恐れません。
私の国のむだ使いはたいへんなものです。
買っては捨て、また買っては捨てています。
それでも物を浪費し続ける北の国々は、
南の国々と富を分かち合おうとはしません。
物が余っているのに、私たちは自分の富を、
ほんの少しでも手放すことが怖いんです。
カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つ恵まれた生活をしています。
時計、自転車、コンピューター、テレビ、
私達の持っているものを数え上げたら何日もかかることでしょう。

2日前ここブラジルで、
家のないストリートチルドレンと出会い、
私達はショックを受けました。
一人の子どもが私たちにこう言いました。
「僕が金持ちだったらなあ。
もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着るものと、
薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」
家も何もない一人の子どもが、
分かち合うことを考えているというのに、
全てを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、
一体どうしてなんでしょう。

これらの恵まれない子どもたちが、
私と同じくらいの年だということが、私の頭を離れません。
どこに生まれついたかによって、こんなにも人生が変わってしまう。
私がリオの貧民窟に住む子どもの一人だったかもしれないんです。
ソマリアの飢えた子どもだったかも、
中東の戦争で犠牲になるか、
インドでこじきをしてたかもしれないんです。

もし戦争のために使われているお金を全部、
貧しさと環境問題を解決するために使えば
この地球はすばらしい星になるでしょう。
私はまだ子どもだけどこのことを知っています。

学校で、いや、幼稚園でさえ、
あなた方大人は私達に、世の中でどうふるまうかを教えてくれます。
たとえば、
・争いをしないこと。
・話し合いで解決すること。
・他人を尊重すること。
・散らかしたら自分でかたずけること。
・他の生き物をむやみに傷つけないこと。
・分かち合うこと。
・そして欲張らないこと。
ならばなぜ、あなた方は、私たちにするなということをしているんですか。

なぜあなた方がこうした会議に出席しているのか、
どうか忘れないで下さい。
そしていったい誰のためにやっているのか。
それはあなた方の子ども、つまり私たちのためです。
あなた方はこうした会議で、
私たちがどんな世界に育ち生きていくのかを決めているんです。

親たちはよく「大丈夫、全てはうまくいくよ」と言って子ども達をなぐさめるものです。
あるいは「できるだけのことはしてるから」とか、
「この世の終わりじゃあるまいし」とか。
しかし大人たちはもうこんななぐさめの言葉さえ使うことが出来なくなっているようです。

お聞きしますが、私たち子どもの未来を真剣に考えたことがありますか。
父はいつも私に不言実行、
つまり、何を言うかではなく、
何をするかでその人の値打ちが決まると言います。
しかしあなたがた大人がやっていることのせいで、
私たちは泣いています。
あなたがたはいつも私たちを愛しているといいます。
しかし、私は言わせてもらいたい。
もしその言葉が本当なら、
どうか、本当だということを行動でしめしてください。
最後まで私の話を聞いてくださってありがとうございました。


いかがでしょう。
これから16年が経っていますが、改善されるどころか、
まだ経済優先のシステムが続いています。
このことからも、今の金融恐慌が起きていることが理解できるのではないでしょうか。
わが国でも、12歳でこの地球環境を危惧して
絵本として残し、この世を去った坪田愛華ちゃんの「地球の秘密」があります。


今日も一日、環境問題に出来ることを見直す日でありますように。
御蔭様で、ありがとうございました。