近年の行政法の傾向① | 思考と体系の館~行政書士・司法書士 合格応援ブログ~

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試験まで、残すところあと3週間弱。
試験会場の変更に伴う対応は、今週中にでもやっておきましょう。
 
それはさておき。
 
前回の記事にも「不安」というものに対処する方法を少しだけ書きました。
 
今度は、直近の過去問の傾向をあらためて知っておくことにより、学習の方向性への不安を解消しておく。そんなお話です。
 
今回は、行政法の過去問の傾向を。
 
最近の行政法は、試験委員の先生方の力強さを感じます。
 
というのも、近年の行政法は、一昔前に散見された細かい条文・判例知識を問う問題が減少し、基本的な条文・判例知識を問うものが多いからです。
 
しかも、基本的な条文・判例知識を聞いているだけなのに、正答率が高くならないという。
 
試験問題において、最も格好良い出題の仕方です。
 
それでは、どのような出題手法なのでしょうか。
 
過去問を何肢か紹介しつつ、近年の傾向を考えてみたいと思います。
 

砂利採取法26条1号から4号までによる「認可の取消し」に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(H29-8)

 

1 1号による「認可の取消し」および2号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。

2 1号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の取消しである。

3 2号による「認可の取消し」および3号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。

4 2号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。

5 3号による「認可の取消し」および4号による「認可の取消し」は、いずれも行政法学上の撤回である。

 
第26条 都道府県知事又は河川管理者は、第16条の認可を受けた砂利採取業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消し、又は6月以内の期間を定めてその認可に係る砂利採取場における砂利の採取の停止を命ずることができる。
1 第21条の規定に違反したとき。
2 ・・・第23条第1項の規定による命令に違反したとき。
3 第31条第1項の条件に違反したとき。
4 不正の手段により第16条の認可を受けたとき。
 
本問は、取消しと撤回の相違点が問われています。
取消しが原始的な瑕疵を理由とするものであり、撤回が後発的事情を理由とするものであるという違いがあることは、過去問でも何度も問われている基本知識です。
 
この基本知識を、「出題形式を複雑にする」ことで難易度を上げています。
 
このような出題は、R1-10等も挙げることができます。
逆に言えば、複雑な出題形式の問題に対しては、問われているテーマ・論点を確定させ、それに関する内容を思い出してしまい、問題文を読んでみると意外とさらっと解けてしまうわけです。
 

不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。(H30-14-3)

 

無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。(H29-9-4)

 
近年出題が増えてきた、ミスリード手法です。
H30-14-3は、「不作為」、「審査請求期間」という時点で、「不作為に請求期間の限定はない」という基本的な知識を思い出さなければならにところ、不作為の定義である申請に対して「相当の期間を経過しても」反応がないことという基本知識を混ぜることで、違う方向へ考えてしまうように作問されています。
 
H29-9-4もそうです。無効は、「客観的に効力が認められないもの」という当然の基本知識を前提にして、無効確認訴訟の原告適格という基本知識を想起しにくくしています。
 
ミスリード手法が使われている問題は、(実力のある受験生が解くと)確実に全て×になったり、2択で迷うことになります。
そのため、全て×になったり、2択になった場合には、どこかでミスリードされている可能性を考慮し、問題文が聞いている論点を「抽象的に考え直してみる」とよいでしょう。
 
たとえば、H30-14-3であれば、「これは、不作為の審査請求期間について問われている問題だ。」とか、H29-9-4であれば、「これは、無効確認訴訟の原告適格について問われている問題だ。」というような要領です。
 
ちょっと長くなりましたので、続きは次回にて。
 
 

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