前回、民法の問題を解くためには、徹底的な①キーワード反射及び②原則・例外思考。さらに、③場合分けの把握です。
今回は、原則・例外思考について説明します。
民法は、1つの知識に対して例外規定が多くあります。場合によっては、例外の例外(「再例外」と定義しておきます。)まであります。この部分を、選択肢1つから「全て思い出せるように」訓練する。そして、「全て思い出して」解くようにする。これが、民法を得意にするコツです。
例えば、次のような問題を検討してみましょう。
委任契約において、その契約が受任者の利益をも目的としてなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときは、委任者は、受任者に対して損害を賠償することなく解除権を行使することができる。(H23-32-4改)
委任契約の解除は、その内容がやや複雑です。
このような場合、断片的に「あれ?どうだったかなー」と思い出すよりも、知識の塊をガツっと思い出すようにするのがポイントです。
自分であれば委任契約の解除が問われた場合、以下のようなことをガツっと思い出します。
委任契約は…自由解除。(原則)
ただし相手に不利な時期や受任者の利益をも目的としている場合は、損害を賠償しなければ解除不可。(例外)
もっとも、単に報酬をもらうだけとか、やむを得ない事由があれば、賠償なくやはり解除可。(再例外)
少しラフに書きましたが、自分が問題を解く際は、間違いなく今のようなことを思い出しています。
(これが、解法でいう理解→論点想起の正しい順序です。要は、委任契約の解除の問題であることが分かるのが理解。そこから、委任契約の解除の概要を思い出すことができるのが論点想起です。)
ここから、問題を検討します。
委任契約において、その契約が受任者の利益をも目的としてなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときは、委任者は、受任者に対して損害を賠償することなく解除権を行使することができる。(H23-32-4改)
まず、青字に着目します。
損害を賠償することなく解除ができるか。このように問われていますから、原則として「できる」と答えます。
次に、例外事由を検討します。
委任契約において、その契約が受任者の利益をも目的としてなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときは、委任者は、受任者に対して損害を賠償することなく解除権を行使することができる。(H23-32-4改)
今度は、上記の青字に着目します。
すると、受任者の利益をも目的とする場合には、損害を賠償しなければならないから、例外的に「できない」と答えます。
さらに、再例外事由を検討します。
委任契約において、その契約が受任者の利益をも目的としてなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときは、委任者は、受任者に対して損害を賠償することなく解除権を行使することができる。(H23-32-4改)
例のごとく、上記の青字に着目します。
すると、やむを得ない事情があるときは、やはり損害を賠償せずに解除できますから、「できる」と答えることになります。
したがって、本問は、「できる」が解答になるので、○ということになります。
このように、問われている論点に対して、丁寧に原則・例外を検討することが重要です。
過去問を演習する際にも、ぜひ気を付けて頂きたいことです。
これができないと、民法の問題を解く際には確実に混乱します。
ぜひ訓練してみてください。
次回に続きます。
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