少し更新が滞りました。
基礎講座では、そろそろ民法が終わります。残すは家族法のみです。
民法でも、結構問題を一緒に検討できたので、それを軸にして問題の読み方を学んでほしいと思います。
さてさて。ご相談があったことについて、端的にお答え致します。
それは、択一の問題を解くときの、共通のツール。つまり、思考過程みたいなものはあるのか?というものです。
これは、グッドクエスチョンです。問題を行き当たりばったりで解こうとせず、きちんと一定の処理手順を確立しようとしているという証拠ですね。
問題を解く際、正誤判断を最終的に決めるのは、次のいずれかです。
① 学習してきた条文・判例にあてはめる
② 定義・趣旨にあてはめて類推する
③ 価値判断という名の勘で解答する
今、講義で学習しているのが、試験対策において重要となる条文・判例知識です。
あわせて、当該条文・判例の趣旨などの勉強もしていますよね。
問題を解くときには、上記の学習内容をふんだんに使っていくことが重要です。
まず、問題に対峙した時に出来なければならないことは、「キーワードの固定」です。
これは別に難しい話ではなく、要は、学習してきた条文・判例知識が聞かれているということを「どの言葉から気づけるようにするか」ということです。同じ言葉から、同じ条文・判例を思い出せるようにすればいいわけですね。
これが出来れば、通常は問題に対して解答をすることが出来るはずです。択一式においては、あてはめ方が分からないということは起きにくいからです。
この思考過程を経た上で、「あれ?なんだこの問題。聞いたことないなー。」
となることもあると思います。
(行政書士試験では、既知の問題が4割程度。残りの問題がこういう問題です。理論上は、こういう問題を半分正解させると3割ですから、4割+3割で楽々合格です。司法書士試験では、既知の問題が5~6割程度。残りがこういう問題です。やはり、半分ほど正解させられれば、5~6割+2.5~3割で楽々基準点突破+αです。)
この時、必ずやらなければならないのは、
① どのテーマからの出題なのかを把握すること
② 当該テーマのどの部分が問題となっているのかを把握すること(要件?効果?方法?ということ。)
③ その問題となっている部分の一般論を思い出すこと
④ 一般論から考えると、結論はどうなりそうかを考えること
こういった思考過程です。
債権者代位権または詐害行為取消権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。(行書H28-31)
2 債権者は、債務者に属する物権的請求権のような請求権だけでなく、債務者に属する取消権や解除権のような形成権についても代位行使することができる。
本肢は、受験生の方にあまり馴染みのない出題だったようです。
まずは、「代位行使」という言葉から、「債権者代位権」のテーマであることを把握します。
その後、この問題は、債権者代位権の行使要件の1つである「被代位債権の対象」という部分が問題となっていることを把握していきます。この辺りが機械的に出来るようになると、択一式はかなり無敵になります。
ここで、被代位債権の対象について、一般的な内容を思い出します。すると、「基本的に制限はないが、身分行為系や一身専属権についてはダメだという話だったな。」というようなことを思い出せるでしょうか。こういうことを一般論として思い出せるようにするのが勉強です。
そうすると、本問は、「基本的に制限はない」という一般論にあてはまるため、正しいと判断することができます。
こういう感じです。
これを体得するために、テキストを読んで、問題を解いてという往復をするわけですね。
漫然とテキストを読んでいても、こういうことは体得できません。必ず、問題を横に置きながら、「なるほど、テキストのここの部分は、こういう一般論を覚えて、あてはめていけばいいのね。」と一つ一つ納得をしていくこと。これが重要なわけです。
択一の問題が解けない人は、上記の思考をふっ飛ばして、いきなり価値判断で考えてしまうことが多いです。
ちゃんと考えて解いているのに、何で解けないんだろう……いや、それは考えていません。ただの勘でしょ。と突っ込みをしたくなることも。
参考になれば、幸いです。
なお、こういう過去問検討の方法論については、以下の書籍で詳細を書いております。
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ある程度学習が進んできたら、併用してみるととても良いと思います。
は…最後が何か宣伝になってしまった…。