引き続いて、多肢選択式と記述式について簡単に見ていきましょう。
未受験の方は、受験を終えてから読んで頂ければと思います。
それでは、参ります。
問題41
最初の部分の、「それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても」という辺りから、国家賠償法の「公務員の特定」という論点だと分かります。
これが分かれば、アに「一連の」という言葉が埋まるのは分かりやすい。
イは、「業務上」か「職務上」かがちょっと迷いますね。これが埋まらないのはしょうがないです。
ウは、「故意又は」に続くならば、「過失」でしょうという素朴な発想で大丈夫。
エも難しいです。公務員の特定が不要なのは、一連の行為を「形成」、「組成」、「生成」…どれも入りそうです。あえていえば、一連の行為が組み合わさって起こった行為には責任を負えという話なので、「組成」ということになりますが…これも試験の現場で冷静に判断するのは難しいかなと。
多肢選択式は、問題41でイ・エを落とし、問題43でイ・エを落とす。
これで、合計16点というのがとりあえずの目標になりそうです。
問題44
問題自体は有名な判例なので、知っている方も多いはず。ただし、問題自体はかなり難しいです。
まず、取消訴訟判決に認められる効力とありますから、「形成力・拘束力・第三者効」を思い出します。(既判力は、一般的な判決の効力なので除外しておきます。)ここから、通常の訴訟では紛争の解決が難しいこととあわせて考えると、「第三者効」が導かれるのですが、これは判例を知らないとちょっと厳しいですね。
あとは、処分と同視できる。つまり、処分性が認められる理由ですから、どのような具体的な効果が発生するのかを考えれば③は埋まってくると思います。(ここは、本試験でも近いことが書いてあればOKだと思います。)
②についても、処分性の話であることを考えると、「具体的な者」に対して効果が発生していないといけません。そこから、特定の者を導くということになります。
全体を通じて、かなり解きづらい問題です。ここでは、0点を取らないように、処分性に寄せて答えを書けていれば大丈夫ですね。
問題45
近年よく出題される、「一発知識型」の問題です。
特にコメントなしです。こういうので満点近くを取れるのが合格者ですね。
問題46
記述用で準備をしていたという方はいないと思いますが、択一知識として非常に重要であり、かつ問題文の誘導が丁寧です。そのため、択一を解くかのように埋めていけばよい問題でした。
まず、「甲建物の賃料を請求」するためにはという部分。オーナーチェンジがあった場合、従前の賃借人に賃料の請求をするためには「登記」が必要であることは択一式用に学習していますよね。
そして、後半は敷金返還請求権の話です。③の誰に対してという部分は、賃貸借契約継続中のオーナーチェンジですから、敷金関連もCに承継することになります。したがって、Cに対して行使すべきであるということは容易に分かると思います。②は埋まりづらいと思いますが、敷金返還請求権は、目的物の明渡時に発生するので、それを思い出せればよかったという問題です。
本問は、択一式の知識を穴埋めで聞いているような問題でした。
問題44でなんとか0点を避けること。(4~6取れていれば良い。)
問題45は満点近くをキープ。(16~20点取ること。)
問題46は、②以外を確実に埋めること。(12~16点程度。)
すると、32~40点くらいが今回の得点目標ということになりそうです。
逆に言えば、記述式で40点を超えていく必要はないし、超えるべきでもないと思います。