中国トツゲキ見聞録1/杜康潤 | 読んだり観たり聴いたりしたもの

中国トツゲキ見聞録1/杜康潤

先日読んだ三国志エッセイ漫画が面白かったので、同著者の他の本を借りてみた。

 

本書は、上記の三国志巡りの旅にもチロチロと出てきた中国留学の顛末を詳細に語ったものである。さらっと著者生い立ちを語った後、入学留学までのゴタゴタや、留学後のさらなるドタバタなど、4ヶ月半の留学生活を経て夏休みに孔明の史跡巡りに出立するまでをコミカルに綴る。留学先は中国南部の昆明市である。ちょうど2003年頃という事で、SARS関連の話題があるのも興味深い。

 

著者の興味の中心は無論三国志であって、現代の中国そのものでは無いと思う。しかし、本書に描かれるのは、三国志目的で渡航した現代中国の諸々である。なので、濃い三国志話を求めるファンは拍子抜けする可能性があるだろう。

逆に、三国志にはあまり興味なくとも、中国事情や留学の情報を求める層にはお手軽な入門書かも知れない。だたし、上記のように既に14年近く前の話なので、発展著しい彼の国においては、今は昔となった逸話も多かろうと思う。多分、現代日本の風俗を知るために高度成長期の史料を読んじゃう、位のギャップはあるはずだ。

 

そうした部分を抜きにしても、まあ、普通に読んで普通に楽しい旅行エッセイである。

個人的に気になったのは、本書にも友人として登場する荒川弘との友好関係の方かな。

 

2巻も読みたいのだが、大阪市立図書館には蔵書が無い。まあ、機会があればと言う事で。

 

杜康潤
中国トツゲキ見聞録1