こんにちは。

福岡市早良区選出の福岡県議会議員 後藤香織です。


 全国のひとり親世帯の状況は、母子世帯119.5万世帯、父子世帯14.9万世帯で、ともに85%以上が働いているにもかかわらず、その平均年間収入は、母子272万円、父子518万円であり、母子世帯の収入が低いのが現状です。
養育費を受け取る世帯については、母子93%、父子7%と、多くの世帯で、父親から母親に養育費が支払われており、その平均額は約5万円となっています。
また、2021年の日本の子どもの相対的貧困率は11.5%なのに対し、ひとり親世帯の子どもの相対的貧困率は44.5%であり、ひとり親世帯の子どもの貧困が深刻な状況にあります。
要因の1つには、男女の賃金格差に加え、養育費の不払いが挙げられます。
子どもの貧困を防止するためにも、養育費をより多くの子どもたちが受け取れることが重要だという観点から、質問しました。

質問にあたっては、シングル当事者の方々からご意見をお伺いしました。
養育費の受け取りについては、罰則がないため、離婚した相手が「約束通りに支払わない」「理由をつけて減額してくる」「子育ての実費には到底及ばない」などの声があり、約半数の方が養育費の不払いや減額に悩んでおられました。
養育費が不払いの場合に、確保するための強制執行に関する手続きは時間も労力もかかります。
日常から、仕事や子育てに加え、様々な問題を一人で背負うことの多いひとり親が、養育費確保のための強制執行の手続きなどを自力で行うのは、身体的・精神的にも大変な負担であり、例えば、県など、公的機関による立替払い・回収などといった支援がほしい、という切実な声も多くお聞きしました。
そこで、現在の県の取組の更なる周知、今後の養育費の不払いへの対策として、どんなことを考えているのか、また、県が立替払い・回収を行うことなどを検討してはどうか、知事に聞きました。

知事からは、
養育費確保のため、今後は、離婚届が出される際にひとり親家庭向けハンドブックを配布することと、「ひとり親サポートセンター」で裁判所への同行支援に新たに取り組むと答弁がありました。
また、保証会社が立替払いと相手方への督促を行う「養育費保証制度」を利用した方の初回契約料を助成しており、これらによりひとり親の方の養育費確保に係る負担軽減を図っている、とのことでした。

しかし、本県では、母子世帯で、養育費の取り決めをしている割合は53.2%であり、32%しか養育費を受け取れていません。
この「養育費保証制度」は答弁にあったように、児童扶養手当受給者が対象となっておりますが、離婚後に実家に戻ったり、年収の関係で児童扶養手当がもらえないひとり親もいます。
また、保証会社が行うとのことで保証金の支払いも受け取る側に負担となります。
制度にそういった課題があると思います。
今後は、受け取れない側が大変にならない、そしてより多くの方が利用できるように、使いやすい幅広い制度設計への見直しを要望しました。

今年5月に改正された新しい民法では、約2年後から、養育費に関して、支払いが滞った際に他の債権に優先して強制執行ができる「先取特権」や、父母が養育費に関する取り決めをせずに離婚した場合でも養育費を請求できる「法定養育費制度」などが新設される予定です。
自助的な日本の養育費制度の中でも前進の兆しが見えましたが、結局は、受け取れない方が、行動をしなければならない制度になっていることには、違いがありません。
ぜひ国でも、改めて養育費の支払いの滞らない仕組みづくりを作っていただきたく、その点も要望しました。
これからも引き続き、取り組んでまいります。

質問の全文と答弁はこちらから💁‍♀️
https://www.gotokaori.com/202406teirei