ミャンマー(ビルマ)写生旅行 その3 | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

 (その2からの続き)
 10月11日朝、旅行10日目、インレー湖(ニャウンシュエ)からカローに向かいました。ニャウンシュエで乗合トラック(ピックアップ)に乗り、一人乗りという事で高く取られ3000Kでシュエニャウンのジャンクションへ。そこでカロー方面への乗合トラックに乗り換え、比較的楽そうな助手席を選ぶとカローまで5000K取られました。多分外国人向けの高い価格でしょうね。なかなか出発せずようやく動き出すと、すぐ民家に乗り付け運転手はそこで何やら問答中。運転手が戻ると元のジャンクションに引き返して、別の車に乗り換えてくれと言う。「No money.」と言うが、当たり前です(-"-)。どうやら何かの都合でその車が使えなくなった模様。この様な意味不明のやり取りは、アジア圏では良くある事です。別の乗合トラック・運転手でようやくジャンクションをスタート。するとすぐにお坊さんが乗って来て、ミャンマーでは僧侶は最優先ですので、狭い助手席に私とお坊さんの二人で乗る破目に・・・乗り心地が悪く、結局、安い後部座席(3000Kという)の方が良かったのではないかと思う。カローの手前でまた乗合トラックを乗り換えさせられ、また支払うのかと思ったが、前の運転手が次の運転手にお金を渡して「No money.」と言う・・・ここは良心的。私が最初に「カローまで」と言った約束を守っています。
 ガタガタの山道を走り、ようやく合計3時間あまりかけてカローに着きました。ニャウンシュエでバス待ちの欧米旅行者に聞くと、ホテルに依頼したバスが、カローまで一人10000Kだと言っていたので、その方が早くて楽だったのでしょう。しかし、現地ミャンマー人と同じ目線で街を見るのも面白いものです。

 カローでは、ゴールデン・カロー・インというホテルに飛び込みで宿泊。一泊朝食付で12ドルです。ここのスタッフは愛想も良く親切でした。ホテルの屋上からカローの街が一望でき、午後は2時間あまりかけて、この光景をスケッチ。ミャンマーでは、一つの街で2~3組位しか日本人に会わないのですが(多くの旅行者は欧米人)、この宿には偶然、東京藝術大学の先端美術を卒業した人が泊まっていました。映像作家という事で、その作品創りの下調べらしいです。
 明日予定の「トレッキング」をホテルで手配して、ガイドと打ち合わせしました。一人参加なので少し高くなり一泊2日(英語ガイド・宿泊・食事付き)60000Kでした。日帰りだと20000Kという事で、どちらにするか少し迷いましたが、今回の旅では「トレッキング」を大きな目的としていましたし、ここでケチっても仕方がないと、一泊2日トレッキングを敢行。かつてタイ王国とラオスで参加したトレッキングがとても良かったから、今回も期待したのです。2日かけてカロー周辺の少数民族村を巡ります。

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 ゴールデン・カロー・イン屋上からカローの街並みを望む、10月12日早朝


 旅行11日目。カロートレッキング1日目、朝食後8時カロー出発。ユアッテイト村(パラン族)で緑茶を栽培・製造している所を見物。タジョー村(パラン族)ではパラン族の民族衣装を着させられ、女性の服ではオカマの様になり、男性の服では勇ましいパラン男に変身(;´Д`)。パラン族のおばあさんと子供をスケッチ。ここで素敵な手作りのロンヂー(腰巻)を都会より安く買えますが、私は荷物が多くなるので辞退。気持ちのチップを少し渡す。
 その後歩いて、ビューポイントで昼食。だんだん空が曇って雨が降り出し、ビューポイントの景色は残念ながら見えませんでした。昼食のチャパティ(インドのものに似ているが、肉厚でもちっとしている)は具だくさんでとても美味しい。飲み物のみ別料金です。

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 タジョー村、パラン族の民族衣装(女性用)を着た私


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 タジョー村、パラン族の民族衣装(男性用)を着た私


 その後、ヒンカーゴー村(パラン族)、カンバーニー村(タンジョー族)を通り、道中では少数民族の人々や日本では見られない珍しい花や昆虫に出会います。古い鉄道トンネルを通り抜けたり、線路の上を歩いたりと、日本では経験出来ない面白いコースです。夕方、マインダイク村(ダヌ族)に到着し、夕食・宿泊です。良い感じの山小屋の広間に私一人で宿泊。贅沢です。水シャワー・トイレもありました。
 夕食はガイドのMr.Myo Zawが作ってくれます。昼食も彼が作ってくれていた様で、料理も上手くとても丁寧な良いガイドでした。夕食のカレー等、とても美味しいのですが、量が多くて食べきれませ~ん( ^^) _U~~。

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 トレッキングの夕食


 旅行12日目、カロートレッキング2日目。早朝、マインダイク村を散歩、スケッチ。朝食のパン・果物等たらふく食べて出発。ヤプー村(ダヌ族)、シャーペイン村(ダヌ族)、ロッピエン村(タンジョー族)を通る。途中、趣きのある古い鉄道駅を通り、美しい緑の水田を見ました。水田のグリーンにピンクのコスモスと牛・・・うっとりする光景です。この辺りは優れた稲作地帯だそうで、ミャンマーには水田と乾田があり、ここでは両方見られます。
 休憩所のロッピエン村のガジュマルの木には白い牛がたくさんいて面白いので、15分ばかりスケッチ。その先、タンジーチェー村までの間に、山の小さな学校がありました。下校中の元気な子供達がいるので、教科書や弁当を拝見。教科書は白黒の素朴な印刷で、簡単な図解もあります。弁当には赤米・白米、麺類、魚のカレー等が入っており、カレーは結構辛いです。ミャンマーの子供達は多少照れ屋が多いですが、外で元気よく遊びまわり、生き生きとしています。
 その後、ニンマティ村に到着して、昼食の麺をいただく。ニンマティには大きな洞窟があり、その中を見物。自然の鍾乳石と人工の仏像・仏塔が入り混じり、独特の雰囲気を創り出していました。そこからかなり歩いて、夕方4時頃カローに戻りトレッキングを終了しました。良きガイドをしてくれたMyoさんには、気持ちのチップを5000Kばかり。

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 ロッピエン村、ガジュマルの木


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 ニンマティの洞窟


 トレッキング1日目約20㎞・2日目約19㎞、合計約39㎞の山道の行程で、体力には結構自信のある私ですが、心地良い少しの疲労が残る最高のトレッキングでした。カローからインレー湖に抜けるコース等もあり、2泊3日でも良かったかなと思ったくらいです。現在では、民族衣装を着た人が少なくなっているのと、木造家屋の屋根が草葺きから多くは金属のトタン板に替わってしまっているのは少々残念でしたが、時代の変化は仕方ありません。
 旅行後考えると、このトレッキングが無ければ、かなり普通の観光旅行に近くなっており、旅の妙味も半減していたのかもしれないと感じました。優れたガイドのMyoさんに感謝です。皆さんも、カローではぜひトレッキングにチャレンジしてみて下さい。


 旅行13日目。朝、カローの宿から40分ばかり歩いて、竹の仏像(ニー・パヤー)(入場無料)を拝見。ドネィションボックスに少し寄付をすると、お茶とお茶菓子が出て来ました。ここの仏像は重そうに見えても、竹で出来ており軽いらしいです。
 午後はカローの街を散策し、明日のマンダレーまでの車の手配を、サンシャイン・バスチケットでしました。サンシャインのおじさんはとても丁寧な方です。大型バスは満席なので、冷房付きの乗り合いワゴンカーを予約(13500K)。大型バス(20000K位)より割安でした。おじさんは知り合いの画家を紹介して下さり、カローのMr.Thein SoeのPAN KHAYAN PYAR ART GALLERYを拝見。ミャンマーには優れた画家や職人がたくさんいますが、現在では主に観光客相手の土産物を製作する場合が多くて、まだまだ”芸術”としての高い価値を見出し切れていない段階ではあります。ただ考え方を変えれば、日本等とは異なり、美術工芸品が比較的安価で身近なものとして浸透しているとも言えます。

 カローの食堂では、エヴェレスト・ネパーリ・フードセンター(ニャウンシュエと姉妹店)のダルバート(2500K)や、サムズ・ファミリー・レストラン(カレー、2000~3000K位)、セブン・シスターズ(シャン料理、5000K位)が美味しかったです。
 高地のカローは涼しくて過ごしやすく、とても雰囲気の良い田舎の街でした。感じの良い宿だったゴールデン・カロー・インにも気持ちのチップを少し。

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 カローでは朝の托鉢も見られます、10月15日

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 猫の親子。猫や犬、牛、豚等の多くの動物に出会えるのもミャンマーの魅力、10月14日 カローにて


 明日は、ミャンマーの古都・マンダレーに向かいます。この様子はまた次回といたしましょう。


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