6月30日放映のブラックジャック | gotohcraft

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面白かったですか?
この「面白い」と評価する基準というか、感覚がずいぶんと甘くなってきましたね。
面白ければいいじゃんって評価が多くなってる。
例えば「美味しい!」って言う基準。
料理って言うものを追求して提供される「職人」による食と、家で食べるマヨネーズごはんが同一線上で評価される感覚。
そんなの許されるわけないですよね。
「食」については、ほとんどの人が「美味しい」を分けて評価していると思う。
しかし映像の世界って、「職人」が追及しているところが一般人にはわかりにくいところがある。
SNSのおかげで、手軽に作品の評価について声を上げることができるようになったので、本来評価されるべきところが評価されずに、「良い作品」になっちゃってる。
推しの俳優が出ていたことで満足して「良かった!」という評価。
すごくお金がかかってそうで「良かった」という評価。
一般人が知らないような裏社会をサスペンス調に仕上げただけで「面白い」っていう声。
これらの声は、作り手にとって非常に心強いというか、やる気の出る声なんですが、そこに満足してしまっている「職人」が多くなってきてるんじゃないかな。

すみません「ブラックジャック」ですね。
ちょっとわかりにくかったですね。
これは漫画を読んでいた人が対照でしょうか?
3つのエピソードをシャッフルして構成されていたと思います。
私はこの漫画が好きだったので、それぞれのエピソードを知っていたため理解できましたが、それでも思い出しながら辻褄を合わせて観たので、知らない人が見ると訳がわからかったんじゃないかな?と思います。
最後に種明かしがあったので、納得した人が多いと思いますが、、、。
登場人物に説明させるのはご法度です。
内容や思いを登場人物にセリフで説明させるのはご法度なことは「職人」の世界では常識のはずなんですが、最近の作品はまかり通ってます。
安楽死についても、問題提起のつもりだったんですかね?
人が気になる、目を引くものをたくさんチョイスして並べるだけの作業。
それでも面白いんですよね。
名作漫画「ブラックジャック」が存在するのですから。
「シン・ゴジラ」みたいな。
「シン」が付いたら何でも面白いって思われがちですが、本当はそのうしろについてくる原作の存在に助けられているだけなんですが。
そう考えると、これは「シン・ブラックジャック」なんですね。
特定の作者がリメイクして「シン」を付けるんじゃなくて、これからは寄せ集めだけのリメイク作品には「シン」を付けるようにすればいいんじゃん!
新しいカテゴリーが出来ましたね!

話を戻しますが、なんでせっかくの名作をダイジャストにしちゃったのでしょうか?
こんな作品にしてしまうのは冒涜だと思います。
手塚作品は、1話の中にぎっしりと先生の思いが詰まっています。
小さな1話であっても、2時間のドラマに納めるのには大変な作業が必要になるはずです。
冒頭のエピソードなんて、1本の映画作品にしても良いくらいの内容なんです。
エピソードを3つも併せて、挙句の果てに安楽死という大きな問題を付ける。
きっと「これをきっかけにしてみんなも真剣に考えて!」ってメッセージもあるのかも知れませんが、それがあるのなら無責任ですよね。
命を題材にしているのに、命を懸けたメッセージ性みたいなもののかけらもない。

あまり批判すると怒られちゃいますね。
「シン・ゴジラ」も面白くなかったって話をすると、「めんどくさい」ってみんなに言われますから。
名店ラーメンとマヨネーズごはんの違いは分かるのに、ドラマの違いは分かってもらえない。
マヨネーズごはんみたいな作品で満足するのはいいけど、業界人がその違いに気が付いていない。
いや、わかっているんだけど視聴率が取れるから甘んじているのか。
「職人」には、その「技」を高める義務があり、その違いを「広める」て「知ってもらう」責務があると思います。
最近の作品に触れるたびにがっかりします。

そんな現状に腹が立ちます。