ブランド品にはほとんど興味ない私。

学生の頃、バブルの流れに任せて買った靴やバックなどの小物達も、ノリで買えるレベルのお安いもの達。

そして、今では登場することもない。

そんな私の持ち物の中で一番高いブランド品は、ショーメの時計。
ケイシス
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社会人になって、時計は一つはいいものが欲しいと時計貯金という名目でコツコツ貯め、ロレックスをゴールにしていた。

でも、残念ながら、ロレックスは私の手にはなんか似合わない。

そんな時に始めてのパリ出張が入った。
中日に土日があり、自由時間もある。
泊まる場所はヴァンドーム広場のそば。

初海外出張記念も兼ねて、一生モノの時計は、ヴァンドーム広場で買おうと決めた。

下調べでは、私の時計貯金でヴァン クリーフ アーベルもカルティエも買える品があるみたい。
フランスブランドじゃないけど、ショパールも捨て難い。

ワクワクしながら、パリへ。

先輩と一緒にヴァンドーム広場をぐるっと取り囲む高級宝飾店本店へ。

敷居高過ぎてドキドキです。

勇気をだして入ったヴァンクリーフアーベル。
おどおどしてたのがいけないのか、店の人の冷たい視線と対応。

しかも、中に入ってびっくりしたのが、ほとんどショーケースというのはなく、超高級なジュエリーがいくつかショーケースに飾られているだけ。

どうやって時計を買えばいいのか分からない、、、、

店員も冷たい視線を送るだけで話しかけてこないし、何していいのか分からないし、凍るような寒い空気を感じてすごすご退散、、、

あれ以来、ヴァンクリ嫌いに。

そして、負けず嫌いな私はこのままヴァンドームを退散するのが悔しくて、予定になかったショーメに入店。

やはり、ショーケースはなく、暗く重厚な雰囲気の店内に、マダムがひとり。
部屋の空気は重々しいのに、マダムは笑顔で優しく話しかけてきた。
「何をお探しですか?」
「腕時計を、、、」
「どんな時計を?フェイスが四角いモノ?丸いモノ?何かご要望は?」
「ボリュームがあまりないモノを。」

なるほど、、、
ハイクラスのお買い物は、ショーケースでこれくださいではなく、自分の欲しいモノのイメージを伝えて出してもらうのね、、、

ウィンドゥショッピングは許されないし、価格の心配をする人間にはお買い物できないシステムなのね。

恐るべし、ヴァンドーム広場。

それでも、そのショーメのマダムはとても優しく対応してくれて、時計を幾つか出してくれた。
それが、このケイシス。
上品なマダムのフランス語訛りの英語での丁寧な説明。

聞いてるだけで自分がどこかのご令嬢にでもなった気分にさせてくれる。

先ほどのヴァンクリの寒さとは全く違う空気。

マダム、素敵です。

時計板の美しい輝きの変化を見せるために、わざわざくらい店内から、外光のさす扉際まで時計を持って見せてくれたり、本当に丁寧な接客でした。

というわけで、精一杯背伸びした思い出を深く胸に刻んだこの時計。
今では私の腕に馴染んであれから10年以上の時が経ちます。

ところで、本題。
10年以上の中で電池切れで動かなくなったことが一回。
その時も、電池交換とは思えない代金が高かった、、、

そして、またこの夏、止まってしまった。

銀座のショーメに行き、電池交換のお願いをした。
お店の人には、購入してから年月が経つので、オーバーホールを進められた。
でも、オーバーホールにかかる費用は4万円!
4万あったらそこそこの時計がもう一つ買える、、、

いやいや、故障もしてないのに4万円はかけないでしょ。
オーバーホールは断り、あくまでも、電池交換でとお願いして預けた。

数日後、担当から電話が。
時計に遅れがみられるので、オーバーホールをお勧めするとのこと。
遅れっていっても、止まるまでは特に気になる遅れはなかった。
なので、再度オーバーホールはお断りした。

また数日後、担当者から電話が。
「修理工場でみたところ、止まった要因が電池ではない」とのこと。
オーバーホールじゃないと直せないと言う。
何が何でもオーバーホールじゃないと受け付けてくれないらしい、、、

なんとも釈然としないまま、結局オーバーホールいたしました。

維持するだけでも数年に一度4万円かかる時計。
こんなことに文句を言う私のレベルは、やはりこの時計をもつには、身の丈知らずってことなのかしらね、、、

残念ながら、、、、