エクスの午後は、この旅で唯一の美術関連観光


プロヴァンスは印象派と縁が深い。エクスはセザンヌが生まれ、パリで夢破れ、

故郷に帰り、花を咲かせ、生涯を閉じた場所。


観光にはセザンヌ巡りができるコースがある。


私たちは、町はずれのセザンヌのアトリエへ。

城壁の外にでて車を5分ほど走らせると坂の途中にアトリエがある。


こあみへの歩み
先日のセザンヌ展でアトリエの再現をしていたが、実際のアトリエはセザンヌの描くことへの

情熱をひしひしと感じる。


写真は取れなかったが、アトリエは、南側と北側2面に床から天井までの大きな窓をつくり、

日差しが安定的に入るようにしたとのこと。


プロヴァンスの日差し、光は画家にとっての重要な要素。

セザンヌがアトリエへの採光にこだわったこともそうだが、ゴッホもそう。


ゴッホはパリからこのプロヴァンスに移ってきたとき、その光に驚き創作意欲をかきたてたという

が、、、、

彼にとっては、プロヴァンスの光は強すぎた

しばらくすると、精神を病み、耳を切り取り、病院に入り、そして命を絶った。


今回、実際に曇りのパリから、電車で大地を走ってプロヴァンス、アヴィニヨンの地にたどりついた時に

ゴッホのこの気持ちが初めて理解できた気がした。


パリと比べると、プロヴァンスの光は澄み渡り、遮るものがなく、影が濃く、光と影のコントラストが

くっきりはっきり浮かび上がる

最初はその明るさに気持ちまで明るく浮き立つ。でも、毎日毎日降り注ぐ強い光。

容赦なく照りつける太陽に慣れてない人にとっては、疲れてしまうんだろうな。。。。。


この地にきて初めてわかる、画家たちの感じたもの。。。。。


セザンヌに話を戻すが、アトリエから20分ほど坂道を上がっていくと、

セザンヌが何度も何度も繰り返し描いたサント ヴィクトワール山がみえる丘の頂上に着く。


セザンヌはこの山を何度も何度も描いた。


こあみへの歩み こあみへの歩み

こあみへの歩み こあみへの歩み

正直、セザンヌのこの山の絵はあんまり好きではない。

なんでこんなつまんない山を何度も描いたんだろうか。。。。。。。

丘の頂上にその答えはあるのか・・・


てくてく登って、初めて後ろを振り返ってみた。そこには確かにあの山があった


こあみへの歩み

こあみへの歩み

緑豊かななだらかな大地の向こうに、突然ある岩山。どうしたって目立つ。

遠くにあるのにくっきりみえる山。


印象派から離れ、セザンヌは自然を確かなものとして捉え、静物画の小さな世界から広い風景画まで

見える世界を宇宙の様にとらえ、対象の存在感をしっかりとらえ新しい遠近法を追求したセザンヌ。


彼にとってはこの山の存在は、描きたい対象となって、くっきりはっきりそびえたってたんだろうな。

故郷のシンボルとして、故郷の愛も含めて。。。。


この地に立って、またセザンヌの気持ちが少しだけ見えた気がした。


屋上には、この場所でセザンヌが書いた絵が並んでいる。

そして、今もセザンヌのようにこの山を描こうとする人も。


こあみへの歩み  こあみへの歩み

私は描くことはできないけど、、、、新しいカメラのアートモードを使ってパチリ。


こあみへの歩み

ちょっと屈折した性格のセザンヌの苦悩が込められた絵みたいに仕上がりました。