本日、半年間のお勤めが終了しました!!!
この半年、月に2回のお勤め。
長いようであっという間でした。
途中に震災もあったしなぁ。。。
このブログでもたびたび出てきた「国民の義務」のお勤め。。。
なんだったかというと、
「検察審査会」というやつでした。
今日はお勤めも終わったことだし、事件の話をしなければ
話してもいいとのことなので、今まで何があったかをちょっと
書き留めておきましょう!忘れないうちに、、、、
この会、私自身、正直まったく知りませんでした。
昨年、突然裁判所からお手紙が来ました。
「検察審査員の候補者リストにあなたの名前がのりました」
って。
なんじゃそりゃ???
中に入っていた簡易ガイドブックをみて
「へぇぇぇぇ~ 小沢さんが不起訴になったのが、
起訴に転じたやつね。。」
となんとなく、世のニュースと少し結びつきました。
でも、候補者リストに載っても、そこから実際に選ばれる可能性は
かなり低い。
すっかり忘れていた年末、
また裁判所からお手紙が。。。。
「あなたは検察審査員に選ばれました。
よって、2月○日宣誓式にきてください」
そりゃぁ、まぁびっくりですよ。
そんなものに選ばれるなんて。。。。
どうしたらいいんだ?って思いながらも、読み進めると、
お役所らしい上から目線の手紙で、
「欠席した場合は罰金をとられることがあります」
って、何がなんでも出席をせざるえない感じに。。。。
まぁ、普通郵便で届いているわけだから、何かの間違いで
受け取ってないって言い張れば、だれも郵便物が届いたことは
証明できないだろう、、、って、あくどい事も考えた。。。。
大体、詳細はなんなんだ、、、この審査員。
宣誓式は平日、会社を休まないと行けない。
任期は半年ってあるけど、一体どんなペースで審査会があるんだ?
宣誓式の後のスケジュールもわからない。
ネットで調べても、地方によって違うらしく、東京のことがわからない。。。
ちなみに、検察審査会とは、
刑事事件で不起訴になった事件を告訴人が不服の場合に
申し立てるのがこの検察審査会。
検察審査会が調書などを読み返し、不起訴でいいのか、起訴すべきなのかを
民間の目から判断する。
っつったって、私は理系。法律はまったくわからない。
しかも自由人ペガサス。縛られるのが一番きらい!
無駄の規則は守っちゃいない、勝手気ままな人間。。。。
こんな私でいいのだろうか。。。。。。。。
あまり他人には相談できないので、両親に話したところ、
父親は興味深々。
せっかっくだから、経験してみたら?って。
うだうだしているうちに、審査会の宣誓式が近づいた。
休んで有給休暇を使うのはやだなぁ。。。。
会社のシステムで社内規程をいろいろ探しても、
「裁判員制度」に対しての規程はあるけど、検察審査会の規程はない!
ちなみに検察審査会は昭和20年代から続いているので
歴史は長いそうだ。。。
でも、誰かがやったって話も聞いたことないしな。。。。。
ってことで、人事に電話してみた。
「あの~。実は私、検察審査員ってのに選ばれたんですが、
裁判員の規程はみつけたんですが、検察審査員の場合は
どのような扱いになるんですか???」
人事は、「担当者に確認して折り返し連絡します。」
とりあえず、「検察審査員ってなんですか?」なんて返事では
なかった。。。。さすが人事。
そして、数時間後、人事から連絡が。
「検察審査員に選ばれたんですね。実は裁判員の規程を作った
ときに、明記はしませんが、もしも、検察審査員が社員から
出た場合は、裁判員と同じ扱いにしましょうと内規ができました。
いやぁ、選ばれたんですね。。。。。
今までうちの会社ではいませんでしたよ。
裁判員は7000人に1人なので、うちの会社で社員からでる
可能性はありますが、検察審査員は14000分の1ですからね。。。
頑張ってくださいね。。。。」
ひえぇぇぇぇ~!!!そんな確率のものにあたったの??
なぜ、人生の引き運をここで使うかなぁ。。。。。
それにしても、うちの会社は、対応がすばらしい!
審査会の日は「業務免除」
有給休暇を使わずに給料も減らずにお休みできる。
届出をだすために、部門長に届出をもって話しにいくと、
めっちゃ食いついてきた。
「法学部だっけ?宝くじとかよくあたるの?
ガイドブックみせてよ。。。
いい経験じゃないか。頑張れよ」
なんか父親といい部門長といい、男の人は興味があるみたい。
てなわけで、上司関係は快く、私の審査員をバックアップしてくれた。
どうしても動かせない出張以外は、会議は時間をずらしてやりくり。
本当にありがたい部署でした。
さて、検察審査会自体はどうだったかというと。。。。。
まずは、宣誓式。
初めて東京地裁の建物に足を踏み入れる。
宣誓式会場はポツポツ空席がみられる。
最初に「検察審査員になって。」的なVTRをみる。
検察審査員に選ばれてから、任務をこなすまでのストーリー。
VTR内のストーリーテラーは、なんと、、、、
「風間トオル」
こんなとこに君はいたんかいって
不謹慎にも一人、心のなかで爆笑。。。。
しかしこのVTR、なかなかよくできていた。
選ばれた人の心境、周りの反応。
すべて本当に私と一緒!
みんな同じ思いでここに集まって、今まで何十年も続いてきた
審査会なんだ、、、
って思うと少しだけ緊張がとれた。
で、VTRの後、代表者が宣誓。
そして各グループに分かれて、はじめてに審査会へと突入。
部屋には、先輩審査員が待っている。
審査員は6か月任期だけど、3か月ごとに半分が入れ替わる。
だから、右も左もわからない人だらけではなく、
経験者が半分いて、引っ張ってくれる
というよくできたシステム。
さっそく、午後から最初の事件の調書を読みました。
今、思い返すと、運悪く、一番最初に扱った事件が一番
難しい上に重かった。
調書なんて初めてみるので、どこから読んでいいのかも
わからない。メモを取りながらじっくり読む。
同じ事件でも、被疑者側と告訴側では違う証言。
何が真実なのか、何が隠れているのか、
何度も調書を読んで、なんども公正な立場に自分を置きなおして。
とにかく、自分の一票がとても重く感じ、とても判断に困った事件だった。
告訴人も被疑者もそれぞれ家族も人生もある。
起訴されるかされないかで、たくさんの人の今後の人生が大きく
左右される。。。
事件の内容はもちろん極秘だけど、あんな重い事件ばかり
毎回扱うなら、とても気力がもたない、、、、、
って心配になるような事件でした。
ただ、最初にこの事件を扱って思ったこと。
それは社会を形成する人間の本質、モラル。
審査員は、職種も年齢も何もかもバラバラの人が集まっているから、
みんなそれぞれの立場でそれぞれの考えを述べる。
でも、どの意見も筋が通っているし、そこに
社会を支えるモラルとか正義とかってちゃんとあるんだな。
ってことを感じた。
検察審査員は、無断キャンセルとか、ハガキを送り返さないとか
そういういい加減なことをしない、「ある程度真面目な人」という
ふるいに自然にかけられて選ばれた人たち。
だから、各々の意見の内側にちゃんと社会を形成する筋が
通っているんだなって思います。
ちなみに、そのあとの事件は全く性質が違った。
どちらかというと、
世の中にはこんなことで訴訟を起こす人がいるんだ。。。
とか、
こんな痴話喧嘩に警察や裁判所などが振り回されるんだ、、、
とか、不条理に思うことが普通にまかり通っている。
今まで知らなかった世間に驚いた。
とにかく、色々と社会勉強になりました。
検察審査会の存在自体、賛否両論があるようですが、
実際に任務を終了した私としては、
胸を張って、真摯に取り組んだ。
って言えます。
私だけでなく、私と一緒に審査員をやったメンバーみんな
それぞれの最前をつくし、事件にかかわる人達のことを思い、
できる判断を下してました。
仕事をやりくりするのは大変でしたが、それでも経験して
よかったと思うのは確か。
14000分の1の確率の意味がありました。