本編2 | tomoのブログ

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間違いない。
今朝の男だ。
全員からの視線を浴びながら、男は堂々と俺達の教室の中へ入ってきた。

「おーおー。どいつもこいつもマヌケ面ばかりじゃねぇーか。本当にこんな所で大丈夫なのかよ。」

室内を見渡し、クラスメイトの顔を見ると男が呆れた顔をし呟いた。

無理もないだろう。
こちらからすれば、いきなり教室のドアをブチやぶって入ってくるこの男の方が大丈夫なのか?という感じだ。

「おい、理莉(りり)ー。聞いてんのかよぉ。」

男が振り返り、後ろに向かって文句を言っている。
1人ではないと言う事は、どうやら朝言っていた〈連れ〉も一緒に来ているようだ。
名前からして女性のようだが、朝の俺の推理からするに前者が正解だったようだ。
どうやら連れと共にこの学院に何やら問題を起こしにきたという所だろうか....

「私に聞かれても、知らない。」

振り向いて応答を待っていた男の後に姿を現したのは、女性どころか男の身長の半分位しかない子供だった。

「私に文句言われても、困る。それに、私だって航(こう)ちゃんが来なかったらこんな子供ばっかの所、来たくなかった。」

子供、嫌い。と頬を膨らませ俺達を睨みつける。
俺からすると、理莉と呼ばれているこの少女の方が子供に見えるのだが。




「理莉、お前もガキだ。」

すかさずご最もなツッコミを入れた男に、どうやら俺の目は間違っていなかったらしいと確信を得た。

それにしても、何なのだろう。
先程から言葉は横暴だが、俺達に危害を加える様子は伺えない。
どうみても、航ちゃんと呼ばれる男と理莉と呼ばれる少女が漫才をしている様にしかみえないのだ。

そうこうしている内に、航ちゃんと呼ばれる男がやっと本題を切り出した。

「おっと。あまりゆっくりもしてられねんだよな。いいか、ガキ共。よく聞けよ!



お前達は選ばれた。

この何万何千と居る人間の中から、選ばれたんだ。光栄に思え。」

意味が分からない。
いきなり入って来て、選ばれたとは何の事を言っているのか。

クラスメイト達も意味が分からず
何の事だ?テレビか何かか?
選ばれたって?
とザワつき出している。

「そうだ。選ばれたんだよ!つまり、お前らはチャンスを与えられたんだ!」

航ちゃんと呼ばれた男は、得意気にまたは喜々といった表情を浮かべ両手を伸ばし説明を始めた。

しかし、なかなか核心をついて来ない話に痺れを切らしたのか、今まで呆けていた教師もいいタイミングで正気に戻ってくれたようだ。

「ちょ、ちょっとキミ!いきなり入って来て何を訳の分からない事を言っているんだ!大体、部外者は立ち入り禁....」

男の話を遮る様に声を荒れ上げた教師が、男の肩を掴んだ。

その瞬間だ。

―ダアァァァンッッ!!

何かが凄い勢いでぶつかった様な大きな音と、ピキピキっと亀裂の入る音が教室に響いた。




黒板に吊るされている教師。
その教師の首には、大きな円状の鎌が当てられていた。
そう、まるで漫画でよく見る死神の鎌にソックリだった。

その柄を辿って行くと、一体どこから出したのか、理莉と呼ばれた少女がか細い腕でその鎌を握り締めていた。

「....今、航ちゃんがお話ししてるでしょ。邪魔、しないで!!!!」

先程までの少女の顔ではない。
眉間にシワを寄せ、瞳孔の開ききった目は殺気というものを感じさせるのには十分な程だった。

教師が青ざめ、身震いをしたのがわかった。
僅かに動いた時、良く磨がれた鎌の刃に肌が触れた。
その瞬間だ。
教師の首から血が噴き出した。

頸動脈を切ってしまったのか、噴き出した血は止まる事なく教卓の前に居た生徒達に勢いよく振り注がれた。

「き...きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

一人の女子生徒が悲鳴を上げた。
それを合図にしたかの様に、周りの生徒たちも声をあげ立ち上がった。

―ガタガタッ

イスや机のズレる音がし、教室の中は一気に騒がしくなった。

「五月蝿いッ!!!!」

しかし、それに負けないほどの大声が教室に響いた。
クラスメイト達は驚愕し、声の主へと目を向けた。

「聞こえなかったの?まだ航ちゃんの話、終わってない。動かないで!」

理莉と呼ばれた少女は、先程と同じく瞳孔の開いた顔でこちらを睨みつけた。
顔や服には、ベッタリと先程の教師の血がついていた。

ヒッと小さく悲鳴を上げるも、恐怖のあまり身動きも出来ずクラスメイト達は大人しくなった。
早く航ちゃんと呼ばれる男の話が終わる事を願って...。




そんな緊迫した教室内に呑気な声が響いた。
「いやー、怖い怖い。理莉は本当に短気だなぁ。」
ケケケっと、笑う航ちゃんと呼ばれる男に理莉はムッとした表情になり
「私が短気なのは、航ちゃん絡みの時だけだもん。」
と呟いた。

「さぁてと、余興はこれ位にしていい加減本題戻りますかね!」

パンッと両手を合わせ、合図するかの様に男は淡々と続きを話始めた。

「いいかガキ共。もう1度言う。これは、チャンスだぜー。」

少なくとも、この男の話が終わるまでは身動きが取れないと理解しているクラスメイト達は黙って聞いている。

「今からお前らにはゲームをしてもらう。ルールは簡単、最後まで立っていられた奴が勝ち。何人とかは関係ねぇ。今から1分、鬼の俺から逃げ切ってみせろ。ただし、教室から出るなよ?理莉の餌食になりたくなければな。」

出血多量で既に生き絶えているであろう教師は、未だに理莉の鎌に捕らえられ宙ずりのままだ。

クラスメイトはそれを見て息を飲んだ。

「ハーイ★それじゃ、始めっぞー。
理莉、ストップウォッチ準備しろー。

いいかー、チャンスを掴みたければ維持でも意識保ってろよ。」

何が始まりどうなるのかと、顔を真っ青に凍りつくクラスメイト達を他所に、やけに楽しそうに航ちゃんと言われた男が言葉を放った。



「お前ら今から、俺に殺されまーす★」











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