本編 | tomoのブログ

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俺の通う桜琳学院は、都市最大のエスカレーター式の学院だ。

かと言って皆が金持ちだとか
頭がいいとかではない。

各いう俺の家も裕福な方じゃない。

ここは、言わば保護施設でもあるのだ。

ここの学院長はかなりの変わり者で
貧乏で学校へやる余裕がない、
過去事件を起こし受け入れる学院がない等、言い方は悪いが世間で迷惑がられる様な生徒までも受け入れる。

だか、もちろんズバ抜けた生徒も居るわけで...

「うぉー!見ろよ佑人(ゆうと)、朝から我らが学級院長 妃花撫(きさき かなで)ちゃんが俺の目の前を通っているぅー!!!」

朝から興奮気味の我が友、春日充(かすが みつる)が俺に近況報告をしてきた。

あれが我が学院、我がクラスのトップを誇る優等生の妃花撫だ。



温厚な性格で、誰にでも優しい。
成績優秀容姿端麗の何処ぞの漫画にでも出てきそうな感じだ。

ぶっちゃけ、充には悪いが俺はあまり好きではない。
顔は可愛いかもしれないが、どうにも八方美人で裏がある様にしか見えない。

未だに興奮する充を横目に、今日も一日が始まるなと俺は教室に入った。








キーンコーンカーンコーン...

「うぁー!数学の意味が全くわかんねぇ!あんなのわかんなくたって俺の人生に全く支障来たさねぇのにぃ!」

なんで理解しなきゃいけないんだーと充が嘆く。
朝から元気だなと俺は聞き流しながら窓の外を見つめる。

俺の席は窓側の一番後ろ。
そう、誰もが羨むポジションに俺は居る。

顔に手をつき、窓の外を見つめながらふと、今朝の男の事を思い出した。

『 今日お前らの学校ー...大変な事になるぜ? 』

何やら意味深な事を言っていたなと、俺は見ず知らずの男の言葉をここまで気にする程お人好しだったのかと呑気に考える。

しかし、仮にあの男の言った事が本当だったとして
あの男に一体何が出来るのか?

連れが居るとは言っていたが、複数にしろそんな横暴な事がこんな所で出来るとも思えない。

ならば、あの男はただの予言者か?
今日何かが起こる事を察知し、わざわざ学院まで知らせに来る途中....それもないな。

かりに後者としても、仮にも大手学院のお偉いさんらが見ず知らずの男の言う事をのこのこ聞くとも思えない。

考えれば考える程、謎が深まるばかりだ。

「おーい、佑人どうした?ぼーっとして。」

充の声に気が逸れた俺は、もう考えまいと「何でもない」と短く返し話に参加した。




2時限目が始まり、学院中が静まり返った。
淡々と授業の説明をする教員を無視し、俺は窓の外に目をやった。

どうしても気になったのだ。
あの男の言った言葉が。

自分もどうかしている
ここまで他人の言葉に揺るがされる事なんてなかった。

俺は今でこそ友達が居るものの
昔から他人と絡むなんて事なかった。

家庭が冷めてた俺の過去なんて、説明しなくともわかる程だ。

他人との交流を拒み、家族との交流でさえ拒んだ。


何故、他人と共に居ないといけないのか。
何故、他人に自分の事を話さないといけないのか。
俺の時間は俺だけが居ればいい。
俺の事は俺だけがわかっていればいい。

そうやって生きてきた。

そんなある日、こいつ(充)と出会った。
充は何度拒んでも、近付いてきた。
どんなに冷たくあしらっても、笑顔で傍に居た。

初めてだった。
俺の事を知ろうとしてくれた奴は。
俺の事を本気で心配してくれた奴は。

『なー、佑人。お前さ、その癖やめろよ。』

『癖?』

『人を寄せ付けないっていうかさ、自分一人でいいってオーラが出過ぎなんだよ。人を寄せつけなさすぎ!』

『お前に関係ないだろ。別に。』

『そんな事言うなよ!俺は心配してんだ!いつか、お前が困った時に誰が助けてくれると思ってんだよ。そんなんじゃ、誰も助けてなんてくれねぇよ!せめてもう少し社交的になれよな。』

『....別に、助けて欲しいなんて思わねぇし。助けてくれなくてもいい。』
(どうせ、俺が困った所で誰も助けようともしないだろうし)

『俺は助けるからな!』

『は?』

『俺が、お前を助ける!お前が困った時は、俺が助ける!でも、もし、俺が傍に居なかった時は...その時は他の奴しか居ないんだ!だから、もう少し皆と距離を縮めろよ!』

何言ってんだって思った。
そんな偽善者なセリフ、うぜぇだけだ。

本当にそう思った。

でも俺には今まで、そんな偽善な言葉でさぇ言ってくれる様な奴が居なかった。

こんなに、人の事を思って怒る様な奴居なかった。

その時に初めて自分以外の人間に興味が湧いた。
春日充という人間が何を考えているのかが、気になった。

それが、俺が初めて人に心を開いた時だったな。



そんな昔の事を思い出している時だ。

なんだ....廊下が騒がしい?

静まり返っている筈の廊下から、なにやら焦っているらしい教員の声と誰かの鼻歌が聞こえる。

ミスマッチな響きだなと悠長に考えながら耳をすますと、どうやら足音はこちらへ向かって来ているようだ。


バアァンッ!!!

けたたましくぶち破られたのは...
俺達の教室のドア。

唖然とする教師と生徒を知ってか知らずか、先ほどから聞こえていた鼻歌の主の声が響いた。

「チャース★糞ガキ共。ちゃんと勤勉に励んでるか?」

現れたのは、今朝会った男だった...



「お前らの日常、壊しに来たぜ」











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