僕の歌を総て君にやる
文章を読むのが好きだ。実際は小説やエッセイの類が好きなのだが、暇で手元にその手の書籍がない場合はノンフィクションでも雑誌でも絵本でもチラシでも立て看板のおすすめメニューでも読む。それで結構機嫌よく時間を過ごせるのである。
だから、というのはやや強引だが、歌詞を読むのが好きだ。大概はCDを買い、ひととおり聴いた後で歌を流さずに歌詞カードだけを読む。大した理由ではない。歌を流しながらだと曲の速度についていけず歌詞を読み切れないからだ。
なぜ読むか。これにもまた深い理由はない。ただ読みたいから読むのだ。カラオケで歌うわけでも、楽曲を深く理解する気があるわけでも、ましてや演壇に立ち朗読してやろうと企んでいるわけでも、全然ない。
全然ないとは言ったが、楽曲を理解する気で、というのは近いかもしれない。突然だが、あなたは自分のテーマソングを持っているだろうか。私は持っている。複数。人生においてこれまでに訪れた、またはこれからも訪れるであろう各場面に分けて。
また宮下がネジのゆるんだことをほざいている、そう思われなければよいのだが。いや、阿呆なことをほざいているのは承知しているのだが、そしてこっぱずかしい趣味であることは感じているのだが、流れるのだ。流れることはないか、諸君。頭の中に、あなたのテーマソングが。
二日酔いの朝、寝床から重い頭を上げる時に'ロッキーのテーマ'が流れることはないか。ギャラリーなしの草野球でバッターボックスに入ると山本リンダの'狙いうち'が吹奏楽のアレンジで聞こえてこないか。友人が涙ながらに別れ話を語っているときTOKIOの'フラれて元気'からカットインで爆風スランプの'リゾ・ラバ -resort lovers-'に移るメドレーが脳内で勝手に再生されて爆笑してしまったことはないか。ごめんな、トミ君。あるバラエティ番組でRed Hot Chili Peppersの'Fire'(原曲は確かJimi Hendrix)がアメリカあたりの火事の映像と共に流されていた時には曲のノリとあまりの不謹慎さについ笑ってしまった。だから笑うなよ。
これはタイアップである。テレビCM曲やドラマ主題歌により、互いに引き出されるイメージと生み出す訴求力の強さは皆が知るところだが、ちょっと気に入った歌も曲を聴き、歌詞を読み、感情移入がスムーズに進めばあらゆる場面で自分用に頭の中で勝手なタイアップ曲を組むことができるのだ。この時手に入るのは商品やドラマへの愛着ではなく、自分ひとりがちょっと楽しい気分だけだが。
同じようなことをしている人が多くいると信じたいが、私は自らを鼓舞する、またはその時その場の気持ちをより強く味わいたい時に、頭の中で意識的に音楽を流すのが好きなのだ。そして選曲に当たっては、なるべく曲だけでなく歌詞も場面に附合しているものが望ましいのである。私が歌詞を読むのが好きなのはそんな理由による。多分。自らの生活におけるタイアップ曲を選曲する作業のひとつということだ。おそらく。やれやれ、ここでやっと元の話に着地できた、だろうか。
さあ、ほっとしたところでおたよりを紹介。ラジオネーム「爪見る少女じゃいられない」さんから。「彼氏と別れてもう2ヶ月、思い出の品が捨てられないんです。早く気持ちを切り替えなくちゃとは思うのだけれど…こんな気分を変えてくれる曲、ないですかぁ~」ということで、オブラート宮下、大掃除をするときのタイアップで無名な一曲をお届けしましょう。B'zのアルバム「SURVIVE」からの一曲。'だったらあげちゃえよ'です。どうぞ。
-ギターソロの途中でフェードアウト、番組ジングルの後CMへ。-