ガットハロのブログ’混石’ -96ページ目

AMERICANA

 しつこくPODのお話である。一部のギター弾き以外には理解してもらえないというニッチな話だが、まあ、うちとこのバンド自体それよりさらに手狭な空間をはいずっているのでちょうどよい位だ。などと地方のアマバンと世界規模の楽器メーカーを同列に並べるワヤをやったところで本題に入ろうではないか。


 ほとんど知らないまま勝手に書いてしまうがLine6の本社はおそらくアメリカである。なんでそう思うか。マニュアルを読んだからである。これまた勝手な想像だが、マニュアルは本社の英語で書かれたものを日本語訳しているだけだと思われる。根拠か。示そう。


この革新的なモデリングテクノロジーを搭載し、あらゆる方向性を持ったフレキシビリティを伴い、マルチエフェクトまで搭載した、赤い輝きを持った玉手箱、PODを完成させました。

 これである。これはマニュアル序盤の「イントロダクション」から抜粋なのだが、このテンションはどうか。こんななめらかトークのセールスマンがうちの玄関先に来た日にはドアにはさめた足を蹴飛ばしてチェーンをおろしてしまいそうだ。しかしまだまだ。アンプモデルについての説明を始める時、マニュアル作成者の筆はさらに加速する。


かつて、Jim MarshallがKen Branと一緒に一号機を作ったときに、初期のBassmanを大変参考にしたという逸話があるくらいで…
ちなみにJimiはPurple Hazeをレコーディングする際、プリアンプ自体使用しませんでした。直接ギターをFuzz Faceに入れて、Orangeのパワーアンプを介して4×12のキャビネットからだしていただけなのです。念のため。

 くどいようだが、これはマニュアルに記載されている文章である。何を読んでいるのか分からなくなってくるではないか。そして余計なことに詳しくなっていく自分をひしひしと感じる。PODの操作法か?よく分からないな。しかしこの文、語り口。聞いたことがある。


深夜に放送されるアメリカ発の通販番組にそっくりだ。


 そうなのだ。あまりにうさんくさい語りとオーバーアクションによる売り込みで、かえって購買意欲をかき立ててしまうと一部夜型人間に評判のあれに語り口がそっくりなのである。厳密には語りのテンションが近いのだ。どうだいGUYS?日本ではちょうっと見かけないトークだ、って思わないかな?ところで僕をドサンコ、って呼ぶのはやめてくれないかディラン。


 高校白書さておき、読む限りではPODの機能は言うに及ばず、アンプの来歴や性能に恐ろしく長けた人物が書いているらしいことは想像できる。かくてPODの操作を説明することも忘れ、彼は古今東西のアンプについて語り続けるのであるが、ふいにPOD及びアンプのスペシャリスト、エリックはそれら全ての頂点を極めたアンプ(のモデリング)を紹介し始めるのである。それこそがLINE 6 オリジナルの「Line 6 Insane」である。ところで誰だよエリック。


可能な限りインプットゲインディストーションを稼ぎ出し、一種のメルトダウン(溶けるような感じ)をもたらすことが出来ます。

 いきなりメルトダウンである。ごていねいにメルトダウンとは何か、の説明まで括弧書きで付いている。なんだか音楽関係の話からは随分と遠くに飛ばされた感があるが解説はそれだけで終わらない。


また、リッチなチューブドライブを嫌というほど得ることができ、他のアンプの存在を影のようにしていきます。

 すごいことになっている。「Line 6 Insane」。そのサウンドはリッチなのだ。嫌というほどの威力なのだ。更には一緒に入っているメサブギーやらマーシャルやらの並み居る強豪を押しのけて影のようにしてしまうらしい。キングオブキングスでロードオブローズなのである。ハレルヤ。別にLINE6社に対し含むものなどないのだが、何というかその、ちょっと飲みすぎだぞエリック、といさめてあげたくなるほどゴキゲンな文章である。


 ところでこのマニュアル、当然アンプモデルやエフェクトのことだけ書いているわけではない。パソコンとの接続方法や音色の保存など基本的な機械の操作についても説明している。たとえば音色の保存についてはこうである。


セーブボタン(21)を押し、点滅させ、アップ/ダウンボタン(10)を押して、セーブするバンクやチャンネルを決めます。そして、更にセーブボタンを押すと、点滅が終了し、そのサウンドが選択された場所にセーブされます。

 カッコ内の数字は別のページに絵入りで記載されている。大変分かりやすく、かつ無機的だ。我々がマニュアルに求めるのはこういう文章だったはずで、なんだよ、やればできるではないかと思うのである。


 しかし、考えようによっては無機質な方の文章が別の人の手(見るに見かねた優秀な秘書のサラ嬢とか)になる物である可能性や、「アンプに関わらないとこだからつまんなーい」とか言いながらちんたら書き進めているエリックの姿なんかが目に浮かぶわけで、そしてその時にはエリックもすっかりシラフで二日酔いの頭をかかえているわけで、とか妄想して私は勝手にひとりでぐふぐふと笑っているのであった。


 そんなこんなでギターに触れもせず我が寄り道は続くのである。たまにはバンドの話でもしろよ。