ORIGINAL PRANKSTER
いきなりですが、CD売ります。いや、もう売ってます。どこで。恵庭のみんなにおなじみ、恵庭市漁町「音の博信堂」店内限定発売ですともさ。
無料配布盤と有料盤が選べるリバーシブル。あざとい広告までひっさげてのマーケティング。さあさあどうよお客さん。
誰の、ってあーた、ガットハロのCDっすよ。何で、って兄さん、そらもう当然……何でだろ。
バンドマンたるもの、「こんなことができたらな」が山ほどあるはずだ。大観衆の前でライブ、CDは年一回リリースでミリオンセラーで、ファンを気にしてサインの練習、サングラス常備、等々。
と言っといてなんだが、実は私がギターを手にしたのは、就職戦線へ向け視界確認中な工学部大学生、要は高校卒業後のいい歳になってからだったので、上に書いたような無邪気な欲求は持っていなかった。
ちょっとええカッコし過ぎなので言い換えよう。そんな欲求を自分が持っていることを忘れ去ろうとしていた、が正解だ。
私がギターを始めたころのこと。大学の軽音部では普通の格好をした兄ちゃんが聴いたことのある曲を友達の前で「おいしっかりやれー」「ちっ、からかうなよぅ」なんて雑談まじりで弾いていた。
当時なぜか空手部員だった私は道着姿で軽音部を横目に見ながらランニングをしていたわけだが、バンド演奏の出来る彼らをそれなりの羨望とともに眺めつつも、その今ひとつカッコよくない(失礼)立ち姿に
ああ、プロのミュージシャンとは別の世界であることだなあ
と思っていたのである。軽音部でバンド演奏をし、ライブハウスなんかも行っちゃう彼らがあれほどにプロのミュージシャンからかけ離れた活動しかできないのだから、買ったばっかのギターを抱えたところで私に何ができると言うのか。
道筋は違えど、このように諦めだか何だかわからない感情と共に「プロ目指してます」という一言を口にしなくなるバンドマンは多いと思う。これを「現実見てる」と呼ぶか「逃げてる」と呼ぶかは更に個人差があろうが。
で、それから10年ちょいが行き交う旅人のごとく過ぎた現在。今もバンドをやってる私はやはり「プロ目指してます」とか別に言わない。学生時代は恥ずかしかったからだが、今はだいぶ違う。
何が違うか。自分の「こんなことができたらな」はバンドやって調子こくことだけだと知っているのだ。残念ながら望んで仕事にするほど音楽の技能、センスの持ち合わせはないし、強い熱意もない。
そして先に挙げたライブやCDリリースやファンがどうこうについては、プロでなくちゃ無理、という訳ではないことも知っている。へたっぴでもライブはできるし、バカでもCDは作れるし、ド素人にでもファンは付くのだ。相応の真剣さでやれば。
ただし、へたっぴなライブではみんなきゃーきゃー言ってくれない。バカの作るCDは売れない。ド素人のファンは別名「友人」だったりする。
とは言え、多くの技術や道具が一般ラインにまで普及している現代、昔「プロでなくてはできない」と思っていた多くの事柄が、(技術を別にすれば)それほど遠い世界の話ではないことを知り、地下深く埋めたはずだった私の欲求は掘り起こされ、形を変えた。
悪ふざけがしたい
すごいバンドのフリをしたい。すごいバンドがやっていることを真似して調子こきたい。へたっぴでバカでド素人だけれども、とりあえずそこらへんの事情にはきっちりフタをして。CD販売はそのひとつなのである。
恵庭の皆様、音の博信堂様、かような私たちの悪ふざけにお付き合い頂ければ、こんなうれしいことはない。お目に留まりますれば指さして笑って下さい。
ガットハロは全力で、悪ふざけしてます。