この話は今から十数年以上前に、知り合いのAさんが、ある地方の某行刑施設に席があった時の話です。この時にAさんが席を置いていたのが、管理部保安課と言う所でした。職場の性質上、職員の三分の一は24時間の交代勤務です。勤務の内容は、簡単に言いますと収容者(既決囚と未決囚)の管理です。勤務は22時に反対番の職員が仮眠に入る為、ほんの数人で広大な敷地に点在する各舎房や、誰もいない工場(収容者、つまり囚人が昼間に働く場所)を見回らなければなりません。当然、1人での巡回です。舎房は収容者が寝ているので怖くはありませんが、誰も居ない工場など薄気味悪くてしょうがありません。

 巡警と呼ばれる舎房(収容者「既決囚と未決囚」が収容されている部屋)の巡回は、収容者(既決囚と未決囚)の逃亡や、未決囚の場合は、正当な裁きの裁判の前に自殺されるのを防ぐ目的もあります。しかしながら、巡回の隙をついて自殺される事は、まったく、ないとはいえません。その時間は、就寝時間の21時ごろか、起床時間の6時頃が、統計上多いそうです。眠る前も起きた後も、未来の事を悲観して、やってしまうようです。

 ある初冬の朝、6時30分起床後の点呼前、独居房44号室の前を通過すると、収容者が首を吊ってるのが確認されました。急いで蘇生術を施しましたが、首が折れていて即死状態だったようです。そして、それから数か月後、またしても独居房44号室で首つり自殺がありました。その後、約1年半で、3人が3人とも首つり自殺で亡くなったので、その房は、その後、使用されなくなりました。行刑施設は霊現象を信用しませんので、御祓いなどする由がありませんが、取り敢えず仮の倉庫にして封印したようです。何故、44房で自殺が続くのか原因は不明でした。恐らく殺された被害者の凄まじい念が仇を討ったのかも知れません、、。今でも、その空室になった44房を覗くと何やら得体の知れない寒気が襲ってくるそうです、、、。

 

 

※44房(ぼう)とは、44号室の事です。

 

※この話は、ある方に聞いた話を元にしています。実際にあったかどうかは、本人しか知りえません、、、。

 

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ