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今回は、かつての稽古仲間の方と意見が食い違うのですが、やはり確信があるので、きっとこうなんだろうということで書いてみます。
ちなみにその方はとても才能ある人で、その方の〈考古学的な〉思考法をお手本として考察したものです。
子供の頃に父親が持っていた空手道教範に拳の作り方が載っていたのですが、指先から握り込む握り方でした。
四指の第一及び第二関節を深く折り込み、爪が手のひらの上の方(掌底の反対側)に食い込むように握り込んでいました。いかにも固く握っているという感じで、私は空手入門前からずっと拳はそのように握るようにしてました。別に実戦経験をバンバンしてたという意味ではありませんよ。
私が最後に師事した先生の拳はもっと緩くて、四指の爪が側からバッチリ見えるくらいでした。
先生曰く、拳を指先から握り込むと拳は強くなる、しかしこっち側(拳以外のところ)は全部弱くなる、とのことでした。
どちらにもメリットとデメリットがあって、先生の握り方だと拳が弱くなるというデメリットがある、と先生はおっしゃいました。
座波先生は、竹輪(ちくわ)にならないように、ということをおっしゃってたそうです。しっかり握りなさい、ということですね。
しかし何故わざわざそう言ったのか。緩すぎて〈竹輪〉になる拳の作り方なんてそうそうないんじゃないか。…と私は思います。
中国武術の八極拳には巴子拳という拳の作り方があり、流派によって違いはありますが空洞ができる拳です。しかしこれは槍を持った手の形とも言われ、緩すぎるのとは違うと思います。
私が確信するところでは、座波先生の教える拳は〈竹輪〉になりやすい又は誤解されやすい握り方なので、「ただしこれは違うよ」という意味で〈竹輪〉になっちゃいかんよ、と付け足したのに違いありません。
さらに座波先生は「爪が食い込むように」ともおっしゃったという話も聞いたことがあるのですが、決して指先から折り曲げてそうするのではなく、
四指の第一及び第二関節を緩めた上でしっかり握ると、掌底またはそれより少し上に指先が来るので、しっかり握りなさいという意味で「爪が食い込むように」とおっしゃったのだろうと思います。
指の力を緩めなさいと教えると「しっかり握らなくていいんだ」と勘違いしてしまうので、「竹輪にならないように」とか「爪が食い込むように」と教えたのだと考えます。
聞いた話によると、拳の作り方について座波先生は少なくとも二種類の教え方をしていて、
あるお弟子さんに対しては1で四指の第一及び第二関節を折り曲げ、2で第三関節を折り曲げ、3で親指を中指に添える、という教え方をしたそうです。
そこで、「爪が食い込むように」と「竹輪にならないように」というワードが出てくるのですけど、「指の力を緩める」ということをしない限り不要なワードのように感じます。蛇足ではないでしょうか。
1で四指の第一及び第二関節を曲げるのは、「指の力を緩める」という〈作業〉──作業と言うと大袈裟ですけど──が分かりやすいようにあえて曲げさせたんだろうと推察します。
次の動作として指の力を緩めながら第三関節を折り曲げると、すんなり当身用の拳になります。親指も第三関節を曲げます。
実際、私が最後に師事した先生はもう一つ別の教え方を座波先生からされたそうで、第一及び第二関節は折り曲げないのですよ。いや、曲げるんだけど、力を抜いて自然に曲がる感じ、です。
第三関節だけしっかり曲げることによって、爪が掌底に食い込みます。
指先から曲げるやり方は、拳が強くなりますが、腕に無駄な力が入り姿勢が崩れやすいです。練習して慣れれば姿勢は崩れなくなりますけど、いずれにしても指先を深く握り込むやり方はタイムロスがあります。
やらない方がいいかなと思います。
座波先生の空手は力一杯ぶん殴ると言うより当てる感じなので、拳は弱くて良いのですよ。
そう言えばある流儀の体術の宗家の方が「これでも当身出来るんですよ」と、拳を作らずに当ててました。ただし、
その先生は事実としておっしゃっただけだと思いますし、実際にこれで当身をやると親指を突き指しそうですし、親指を相手にすぐに取られるという危険もあります。
ちなみに、
親指も含め第三関節を曲げれば良いという私の考えは、三ツ門流を名乗るからではなく、あるピアノの先生が「第三関節を使ってください」とテレビで言っているのをたまたま見かけて、それを参考にしました。



