憧れる習い事は?

 

幼い頃の記憶はどこまで遡(さかのぼ)れるのでしょう.

ぼくの場合は4歳の記憶がある.グリコのビスケット

を4枚並べて遊んでいた記憶があるのだ.

 当時はどこの家庭にもテレビや電話はなく、電話は

近所のお店の人が呼びに来てくれた.

 「ゴタ山さん、電話ですよ~」

そしてテレビはその店に見に行った.

「月光仮面」も「サタンの爪」も

そのお店のテレビで見せていただいた.

 

さてそんなある日のこと、そのお店のテレビで

バイオリンを弾いている人の映像を見たのだ.

 

ぼくは実に不思議に思った.

「どうして棒切れから音楽が出て来るんだ」

家に戻って叔父のギターに箒をこすり込んでみた.

音は鳴らなかったが、叔父の「こら」という

怒鳴り声が鳴った.

 

両親は相談したらしい.

「この子にバイオリンを習わせるのはどうか?」

結論はまだ幼過ぎて、楽譜が読めないだろうから

もっと大きくなってから、ということになった.

 

この瞬間が世界が偉大なるバイオリン奏者を

失った瞬間であった.

 

それで結局、大きくなってから、昭和37年の

習い事は

「そろばん」

であった.

面白くねえ話だ、ったく.

 

 

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タラスコンのタルタラン(46)


————————【46】———————————

  Là-dessus    Tartarin    s'épongeait    le
front,   souriait  aux   dames,   clignait  de
l' œil   aux  hommes,   et,  se  retirant  sur
son  triompe,   s'en   allait  dire  au  cercle
d'un  petit  air   négligent :  « Je  viend  de
chez   les   Bézuquet   chanter  le  duo  de
Robert  le  Diable ! »

  Et  le  plus  fort,  c'est  qu'il  le  croyait !...   
   
  
.—————————(訳)————————————

 こういう中で、タルタランは額の汗を拭い、
ご婦人方に笑みを浮かべ、殿方には目くばせ
するのだった.そして拍手喝采の大勝利さめ
やらぬうちに引き上げ、クラブに出向いて何
食わぬ顔で言うのだった:「ベズーケの店で
『悪魔のロベール』を二重唱してきたよ」と.
  
 そしてあきれたことには、それを信じてい
るのが彼本人だったのだ.
      
 
..————————⦅語句⦆——————————
     
là-dessus [ラドゥスュ]:(副) ❶その上に、
   ❷その点について、
s'épongeait:(直半過/3単) < s'éponger
s'éponger:(代動) 自分の~をぬぐう
éponger:(他) ~をぬぐう、ふき取る
front:(m) 額 
souriait:(直半過/3単) < sourire
sourire:(自) ❶微笑する、にっこりする
      Elle a souri en m'apercevant. / 
      彼女は私の姿をみとめて微笑んだ.
clignait:(直半過/3単) < cligner
cligner [クリニェ]:(他) ❶目を細める;
      ❷cligner de l'œil / 目くばせする、
      ウインクする
se retirant:(現分) < se retirer
se retirer:(代動) 引き下がる、退去する、
      帰る、引き上げる
triompe:(m) (華々しい)勝利、大勝利、
      勝利の歓喜
sur son triompe:大勝利の状態で
s'en aller + 不定詞:出かけて行って~する
cercle:(m) 集まり、サークル、クラブ
négligent, e:(形) 無頓着な、不注意な
d'un petit air négligent:何気ない様子で
le plus fort:あきれたことには
c'est qu'il le croyait !:それを信じているのは
   彼なのだから.