女の一生(173)
Une vie (173)
Guy de Maupassant


———————【173】——————————


  Et  à  chaque  arrêt   elle  laissait  sur
un   des  bancs   tantôt   le  tricot  qui
lui  couvrait  la  tête,   tantôt   un  châle,
et  puis  l'autre,   puis  la  capeline,  puis
la  mante ;  et   tout   cela   faisait,  aux
deux   bouts    de   l'allée   deux   gros  
paquets    de   vêtements   que   Rosalie
rapportait   sur   son   bras   libre  quand  
on   rentrait   pour   déjeuner.
  
 
————————(訳)————————————

 立ち止まるごとに夫人はベンチのひとつに
あるときは顔を隠していた編み物を、またあ
る時は肩掛けを、さらにある時はもうひとつ
の肩掛けを、そして帽子を、それから、マン
トを脱ぎ、ベンチの上に置いていくのである.
そしてそれは散歩コースの始点と折り返し点
にある両端のベンチに、大きな着物の包みが
ふたつ出来上がる.昼食時に館に戻るときに
は、ロザリーがそれらを、空いているほうの
脇に抱えて持って帰るのである.
 

  ———————⦅語句⦆———————————
        
arrêt:(m) 停止、停車、休止、止まること  
laissait:(直半過/3単) < laisser
laisser:(他) 残す、置いていく 
tantôt...tantôt...:ある時は... またある時は
tricot:(m) 編み物、ニット、ニット製品、
   セーター、本文では毛糸編の帽子だろう.
couvrait:(直半過/3単) < couvrir
couvrir:(他) [de で] 覆う、包む、包み隠す
tête:(f) 頭、首、顔;(第1義は「頭」であ
   るがシチュエーション次第で変わる).
châle [シャール]:(m) ショール、肩掛け 
capeline:(f) (婦人用)日よけ帽、⦅縁が広い⦆
mante:(f) (袖なしの)婦人用マント
bout:(m) 端、先端.本文では複数なので
   散歩道の両端を言っている.
allée:(f) 散歩道 (たいていは車が来ない小
   径)、並木道 (たまに車も通るかもし
   れない)、遊歩道 (車禁止).劇場の
   通路 (車の通りようがない).  
paquet:(m) 包み、小荷物、袋、小包
vêtement:(m) ❶個々の服、❷[複数で] 衣服.
   ❸[総称] 衣類全般 (肩掛け、帽子も)
Rosalie:(女子名) ロザリー、
   物語中の小間使いで、ジャンヌとは
   乳姉妹に当たる.ために夫人もこの
   ロザリーを我が娘扱いにしていた.
rapportait:(直半過/3単) < rapporter
rapporter:(他) 持って帰る.
bras:(m) 腕、上腕   
libre:(形) 空いている、暇な、自由な  
rentrait:(直半過/3単) < rentrer
rentrer:(自) 帰る、帰宅する
déjeuner:(m) 昼食