さすらいの青春(394)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼


———————【394】———————————
 
  Il  courait  à  grandes  enjambées  
maladroites,  comme  si,   à  chaque  
pas,  il  eût  dû  faire  un  saut,  et  
il  agitait  ses  longues  manches   vides.   
Les  jeunes  filles  en  avaient  un  peu
peur ;  les  jeunes   gens   lui  serraient  
la  main  et  il  paraissait  faire  la  joie  
des  enfants  qui  le  poursuivaient  avec   
des   cris   perçant.
 
        
—————————(訳)————————————

 ピエロはぎこちなく大股で駆け回ってい
たが、一歩踏み出すごとに飛び跳ねなけれ
ばならなかったふうだった.そして、腕を
通していない空の長い袖をぶらぶらさせて
いた.女の子たちはそれに少し恐怖を感じ
ていたようだった;若い男たちはピエロを
真ん中にして、左右からピエロの手を握っ
ていた.ピエロは後ろから大声を上げなが
ら追かけてくる子供たちを喜ばせようとし
ていたように思えた.
      
     
.————————⦅語句⦆————————————
       
courait:(直半過3単) < courir
courir:(自) 走る、急いで行く、駆け回る
enjambée:(f) ひとまたぎ、大股;
    marcher à grandes enjambées / 
    大股で歩く  
maladroit, e:(形) ❶へたな、不器用な
    ❷軽率な
il eût dû :(接大過/3単) 
    ~しなければならなかったように
dû:(p.passé) < devoir
devoir + 不定詞:~しなければならない. 
saut:[so, ソー](m) 跳躍、ジャンプ、 
faire un saut:跳躍する、跳ぶ  
agitait:(直単過3単) < agiter
agiter:(他) 揺り動かす、振る   
vide:(形) 空の、なにもない
poursuivaient:(直単過/3複) < poursuivre 
poursuivre [プールスイーヴル]:(他) 追いかける、
   追い回す 
cri:(m) 叫び、大声   
perçant:(p.pré) < percer (他) 突き刺す、貫く 


—————— ≪la main≫ —————————————

les jeunes gens lui serraient la main:
若い男たちはピエロの手を握っていた.

【la main は単数形ですが...】
ふたりの人間がひとりの人間の片手を握ると
いう姿勢では走り回れません.ここはla main
であってもピエロを真ん中に挟んで両側から
ピエロの左右の手をつかんでいたと解釈しな
ければ、身動き取れない、ていたらくとなり
ます.おそらくピエロの両手は左右の青年と
の握手で、袖に手を通しておらず、空の長袖
だけが、ぶらぶら揺れていたのでしょう.
 
 ではなぜles mains としなかったのでしょ
うか? おそらく焦点は握る側の主語に当て
られているからでしょう.主語側からみれば、
取った手は1つ、単数ですから.まあ「主語
焦点の単数」とでも呼んでおきましょうか.

尚、残念ながら、このシーンは映画にはなか
ったようです.