さすらいの青春(381)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼


———————【381】——————————

  Il n'y  avait  pas  un  seul  de  ces  
convives  avec  qui  Meaulnes  ne  se  
sentît  à  l'aise  et  en  confiance.   Il  
expliquait ainsi  plus  tard  cette  im-
pression :  quand  on  a,  disait-il,  com-
mis  quelque  lorde  faute  impardonnable,  
on  songe  parfois,  au  milieu  d'une  
grande  amertume :  « Il  y  a  pourtant  
par  le  monde  des  gens  qui  me  
pardonneraient. »    
.                              
        
—————————(訳)——————————————

招待客の中にはモーヌが気を使わなければ
ならない人や安心できない人は一人もいま
せんでした.モーヌはのちに、このときの
印象をこう語っている: 何か大きな過ちを
犯したとき、絶望感に苛まれても、人はと
きどきこう思うものだ :「世の中には、私
を許してくれる人たちがいる」と.
 
    
.————————⦅語句⦆—————————————
      
convive:(m/f) (食事への)招待客、
   食卓仲間、会食者;
   Nous avions d'agréables convives. / 
   我々のほかに気持ちのいい人たちが
   食事に呼ばれていた.
sentît:(接半過/3単) < sentir
sentir:(他) 感じる   
se sentir:自分を~と感じる
aise [エーズ]:(f) 気楽、くつろぎ、
à l'aise:気楽に、堂々と、裕福に
se sentir à l'aise:
   自分は気楽に構えていていいと思う. 
confiance:(f) 信頼、信用、 
en confiance:信用して、安心して     
expliquait:(直半過/3単) < expliquer
expliquer:(他) 説明する、解説する、
   解釈する
impression [アンプレスィオン]:(f) 印象、感じ、
   感銘    
commis:(p.passé) < commettre
commettre:(他) ❶犯す、❷任ずる
   任せる、当たらせる、委ねる  
lourd, e:(形) ❶重い、❷【名詞の前】重大な  
faute [フォット]:(f) 間違い、誤り、過失、へま、
   失敗、不手際、過ち   
impardonnable [アンパルドナーブル]:(形) 
   許すことのできない、許し難い、 
   faute impardonnable / 許し難い過ち 
songe:(直現3単) < songer
songer:(他) [à を] 考える、考慮する、 
parfois:(副) ときには、ときどき   
amertume [アメルテューム]:(f) 苦さ、苦味、
   辛さ、失望、悲しみ、苦渋 
par le monde:このpar は動作主ではなく
     【空間・広がり】のpar で 
   「広い世間には」と訳します.
pardonneraient:(直半過/3複) < pardonner
pardonner:(他) 許す、大目にみる、 
   pardonner une faute / 過ちを許す

    
——————— ≪解説1≫ ————————————

モーヌの後日談を思うと、このときの会食者
は、みんなよほど寛大な人たちだったようで
す.


——————— ≪解説2≫ —————————————

il n'y avait pas un seul de ces convives avec qui 
Meaulnes ne ~ このあとpas はないのですが、
前半のpas un の否定が強いため、関係文のな
かも心理的否定が働いているのだと思います.
日本語の歌で考えてみますと、

「富士の高嶺に降る雪も、京都先斗町に降る雪も、
A:雪にかわりはないじゃなし
B:雪にかわりはあるじゃなし

「かわりはない」と言っているのですが、
「ない」を否定しても「ある」を否定しても、
「ない」わけです.

本文でもき.っと同様の現象が生じているの
でしょう.
私は専門的なことはわからないのですが、と
りあえず、あってもなくても「ない」という
この手の否定を「脅迫的否定」とか「心理的
決め込み否定」とでも仮称しておきましょう.