居を構える(5)
ドーデー『風車小屋便り』から
————————【5】——————————
Il m'a regardé un moment avec
son œil rond ; puis, tout effaré de
ne pas me reconnaître, il s'est
mis à faire : « Hou ! hou ! » et à
secouer péniblement ses ailes grises
de poussière ; —— ces diables de
penseurs ! ça ne se brosse jamais...
————————(訳)————————————
梟翁はしばらく、目を丸くして私を眺めてい
た.それから私には見覚えがないというので
すっかり仰天してしまい、このように鳴きだ
したのだった:「おい、こら、きさま!」 そ
して何とか埃まみれの翼を振り動かし始めた.
こうした悪魔たち、思索家は体にブラッシン
グなどしないのだ.
———————⦅語句⦆———————————
œil [ウィユ], [複数, yeux, ユー]:(m) 目
il m'a regardé avec son œil rond. /
彼はその丸い目で私を眺めた.
目を単数形にしていますがウインクで
はありません.見るときの状態、様態
をいうときは単数で用いることがある
ようです.
il me voir d'un bon œil. /
彼は好意的に私を見る.
il me regarde d'un œil méfiant. /
彼は疑わしそうな目で私を見る
effaré:(過分) < effarer
effarer:(他) 仰天させる
reconnaître:(他) それとわかる、見分ける、
覚えている.
†Hou ! hou! [u, hu]:【呼びかけ】おーい.
【おどし】うー、うー.【罵声】やあい.
secouer:(他) 揺さぶる、激しく動かず
péniblement:(副) ❶骨を折って、やっとの
ことで;❷つらい思いで、悲しく、
❸かろうじて、やっと
aile:(f) 翼、羽
gris, e [グリ, ーズ]:(形) 灰色の、グレーの
ねずみ色の
poussière:(f) 埃 (ほこり)、ちり
Il y a de la poussière sur le piano. /
ピアノの上に埃がたまっている.
Le vent soulève un nuasge de poussière. /
風が砂埃を巻き上げる.
diable [ディヤーブル]:(m) 悪魔、
penseur, se [パンスール, パンスーズ]:(m/f)
❶考える人、瞑想する人、❷思想家、
哲学者、思索家.
Le Penseur『考える人』(ロダン作).
brosse [ブロス]:(f) ブラシ;
brosse à dents / 歯ブラシ