椿姫(4)
アレクサンドル・デュマ・フィス
———————— 【4】 ———————————————
Par une circonstance particulière, seul je
pouvais les écrire, car seul j'ai été le
confident des derniers détails sans lesquels
il eût été impossible de faire un récit
intéressant et complet.
———————— (訳) ———————————————
ある特別な状況に恵まれ、ただ私ひとりがこれ
を書くことが出来たわけだが、それはただ私ひ
とりが、その詳細を打ち明けられたのであり、
そうでなければ、完全で、興味深い話をするこ
となどは不可能であった。
———————— ⦅語彙⦆ ——————————————
circonstance:[スィルコンスタンス](f) 状況、事情
rapporter toutes les circonstance d'un événement:
事件の全容を報告する
confident, e:(n) 打ち明け話のできる相手、
心を許せる友
récit:[レスィ](m) 話、物語
complet.(-pléte)[コンプレ, コンプレット](形)
完全な、全部そろった
——————— ≪文法事項≫—————————————
本文3行目後半、sans lesquels ですが、lesquelsが
des derniers détails を受ける関係詞です。sans を伴
っているので、「最後に聞いたいくつかのこの打
ち明け話」がなければ、という意味になります。
その打ち明け話がなければ、つまり、その話をき
かされなかったら、
il eût été impossible de faire ~
~をすることは、不可能であっただろう
eût été は接続法大過去です。 接続法大過去は
être もしくは avoir の接続法半過去+過去分詞で
構成されたもの。ただし、ここでは、その
「接続法大過去」が「条件法過去第2形」
として使われています。
一見、条件節が見当たりませんが、sans以下が
条件節の代わりをしています。
条件節の代わりとは、「もし私が打ち明け話を
聞かされていなかったら」
という意味上の条件節(正しくは、節ではなく句)
です。