Émile Zola
—Nana—

ナナ(25)



—————————【25】—————————————————
                              
  Alors,  Fauchery  eut  un  rire  approbatif,  tandis
que  la  Faloise  restait  avec  son  compliment  
étranglé  dans  la  gorge,  très  choqué,  essayant  
de  paraître  goûter  le  mot.  
 
 
——————————(訳)——————————————————
   
 そうすると、フォシュリーまでもが賛成の笑みを浮か
べた.その一方でエクトル・ファロワーズはひどいショ
ックを受けて、自分の誉め言葉がのどにひっかかったま
まだった.しして言われた言葉が面白いと、見せかけに
努めるのだった.
                              
   
.—————————⦅語句⦆———————————————
         
alors:❶その時、そのころ、当時;
  ❷【接続詞的に】それで、だから、従って;
  ❸【間投詞的に】(話) じゃあ、さて、ところで、
  本文では❷の意味、
approbatif:(形) 賛成の、賞賛の;
Faloise:(人名) ファロワーズ、エクトル青年のこと、
tandis que:(接続句)
   ❶[同時] ~する間に、している時に、
   ❷[対立] ~であるのに、一方、しかるに、
étranglé(e):(形) ❶首を締められた、
   ❷締めつけられた、狭い、窮屈な;
   voix étranglée / 締めつけられたような声
restait:(3単半過去) < rester (自)
     rester + 属詞・様態、状態の補語:(ある状態に)
   とどまる、(ある状態の)ままでいる;
   Elle reste junne. / 彼女はいつまでも若い. 
avec son compliment étranglé:
   相手への誉め言葉が締めつけられて:
   <avec + 名詞 + 過去分詞など>のパターンでは
   <この中は>主述構造や述補構造を持つことが多い.
   誉め言葉(主)が締めつけられて(述)
   で「主述構造」となっている.  
dans la gorge:のど元で  
très choqué:非常にショックを受けて; < choquer
choquer :(他) ❶怒らせる、❷(良識に)そむく、反する
    ❸ショックを与える.
    本文は❸の受け身、「ショックを受けながら」
essayer de + 不定詞:~しようと試みる、努める  
goûter:(他) 味わう、楽しむ