Gustave Flabert
Madam Bovary
ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人(22)


       
—————————【22】———————————————
                                
  Nous  le  vîmes  qui  travaillait  en  conscience,
cherchant  tous  les  mots  dans  le  dictionnaire  et
se  donnant  beaucoup  de  mal.
   

..—————————(訳)———————————————
 
私たちは彼が熱心に勉強している姿を見ました.すべて
の単語を辞書で調べていました.それもたいへん苦労し
ながらだった.


—————————《語句》————————————————
              
conscience:[コンシアンス](f) ❶意識、自覚; ❷良心、誠意、
   職業的良心、❸熱意、入念さ、
en conscience:実のところ、率直に言って、正直なところ;
      本文では「熱心に」.辞書にはこの意味が載ってい
   ないのですが、間違いなく❸の意味にen が伴った
   もので、「熱心に」となります.おそらく古い時
   代にはその表現があったのでしょう.現代では
   conscienceが意識や良心以外の意味で使われる
   のは稀かもしれません.仏検でen conscienceを
   問う問題が出たら、「実直に」(ひたすら)[勉強
   をしているのを見た]と訳せば安全だと思います.
mal:(m) 苦労、苦心
se donner du mal + 不定詞:~するのに苦労する
      苦労して~する
      本文はse donner beaucoup de mal
      ~するのにとても苦労する
      du の代わりにbeaucoup de となっている
      


—————————≪文法≫—————————————————

Nous le vîmes qui travaillait en conscience:
私たちはかれが熱心に勉強をしているのを見ました.

目的格補語人称代名詞が関係節を伴うのは稀ですが、
<voir + qn + 関係節>の構文では常用されています.
ついでに言いますと、一般に人称代名詞に関係詞節が
来る場合、人称代名詞は「強勢形」になります. 
Moi qui l'aimais tant ~♪,  
彼をこんなに愛している私なのよ~♪
(サンジャンの私の恋人)