アルト・ハイデルベルク(178)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
——————————【178】———————————————
Hofmarschall:Meine Weisheit ist zu Ende. Was aus diesem
.....................Hofe werden soll, ich weiß es nicht. Mein
.....................Gott, was hat man nicht von dem jungen
.....................Herrn erwartet ! Endlich ein Aufatmen,
.....................endlich einen Umschwung, einen frischen
.....................Zug von Jugend ! Ich will nicht von großen
.....................Festen reden und Veranstaltungen, aber zum
.....................wenigsten ein freundliches Gesicht hatte man
.....................erwartet ! Eine Teilnahme für die Wünsche
.....................des Hofes und des ganzen Landes !
——————————— (訳) —————————————
宮内大臣: この墓場から抜け出す私の知恵はもう終わ
................りました.この宮廷の状況から、どうなっ
................て行くことやら、私にはわかりません.
................まあ、それにしても若い城主に何を期待で
................きるのやら!やっと一息はつけるだろうが.
................それと、やっとこれで変化が起こることは
................ぐらいは期待できよう.私は大きな祭や催し
................事のことなどは言うつもりはありません.
................そうではなくて、少なくとも誰もが親しみ
................あるお顔を期待していたというものだ.
................宮廷と全領地の人々の願いに関心を(示さ
........................れることを)期待していたのだ.
———————————《語彙》——————————————
die Weisheit:(弱en、ただし基本的に単数のみで用いる)
❶ 賢いこと、賢明さ; ② 知識、学識
der Hof:(変E) 宮廷、宮殿、
(本文は語尾eが添えられているが、この語尾 e
は、強変化E型とER型で単数3格に任意に添
えることができる)
Mein Gott:おや、まあ、これは困った、驚いた
ああ、おお、おやまあ、何ということを
ああ、神様.これはたいへん.何てことだ.
そんなひどい、どうしよう.
Aufatmen:名詞化された不定詞で中性扱い、「深い吐息」
「安堵の息」
一般に、抽象概念は単数、具象概念は複数で
用いる.
auf/atmen:(自) 深く息をつく、[比] ほっとする.
der Umschwung:(変E) ① [体操] 回転
❷ (状態・気分など) 急変、激変.
Festen:(強、複、3格) <das Fest (E型) 祭、祝宴
reden:語る;(+ von 3格について)語る
veranstalten:[fɛr'|anʃtaltən フェアアンシュタルテン] (他)
催す、開催する、とり行う
die Veranstaltung:(弱en) 開催、挙行、催し物、行事
zum wenigsten:少なくとも
die Teilnahme:(複ナシ) ① 参加、出席、関与;❷ 関心、興味
die Wünsche:(複) <der Wunsch (変E) ❶ 願望、望み
❷ [複で] お祝いの言葉
des ganzen Landes:全国の(領民の)
———————————≪語法≫——————————————
was hat man nicht von dem jungen Herrn erwartet !
この若い城主から何が期待できるというのだ!
(できないだろう)
このnicht は無用のnicht と言って、否定のnicht
ではなく、相手に同意を期待する修辞疑問
———————————≪感想≫———————————————
国王の地位を継いだカール・ハインリヒですが、周囲
の期待には応えてくれない陰気な君主のようです.
普通、こういう物語では、誰もが愛する君主になりま
した.おしまい.となるはずなのですが、宮廷内の
陰気さは、前の大殿下の統治の頃と、変わらないよう
です.失意のうちにハイデルベルクから引き戻された
のだから、明るく陽気に、というわけには行かないよ
うです.私たち読者も、この先どうなるのか、不安で
すが…