LE PAPA DE SIMON
シモンのパパ(53)
—————————【53】——————————————————
—— Allons, dut- il, console- toi, mon garçon, et
viens- t' en avec moi chez ta maman. On t' en
donnera ...un papa.
——————————(訳)———————————————————
「さあ、ぼく、元気を出して!ママのところへ一緒に
帰ろう.君にはパパが出来るとも...ひとりパパがな.
—————————⦅語彙⦆—————————————————
allons:(間投詞) さあ、そら
console-toi:元気を出すんだ!
consoler (他)~を慰める
se consoler 自分を慰める、気を取り戻す
mon garçon:(呼びかけの言葉) 君、坊や、少年よ、
viens-t'en:s'en venir (やって来る)というフレーズがあって、
もっぱら会話で使います.基本的に古語なのでそれ
以外には用いません.s'en aller (立ち去る)と対をな
す言葉ですが、aller は立脚点から離れること、
venir は立脚点(ここでは少年の家)に近づくこと
で、s'en venir を、2人称単数命令形で使っています.
on:主語をぼかして言うときに使うのですが、ここでは
「わたし」、je と同じです.ただje にすると、
宣言するような響きがあるので、パパを作って
あげる宣言はできません.on でカモフラージュ
しているのでしょう.
—————————《ひとこと》—————————————————
『シモンのパパ』の訳本は全集や短篇集に収められて
いますので、入手するのは、ちょっとたいへんです.
私は2冊の対訳書(第三書房版と大学書林版)と
『モーパッサン短篇選』(岩波文庫)を使っています.
「シモンの父ちゃん」というタイトルの本もある
ようです「モーパッサン全集2)が古書なのでプレミ
ア価格(5000円前後)がついていて入手困難です.
ところで父親をパパと呼ぶか、お父ちゃんと呼ぶかは
自分の育った時代、環境などによりますが、私の場合は
「お父ちゃん」と呼んでいました. 尚、大阪では
「お父ちゃん」はご主人を指す場合もあります.
「うちの旦那」といえば「私の夫」という意味です.
「うちのおっさん」とも呼ばれます.もっと丁寧に
呼んで欲しいです.