Une vie / Guy de Maupassant
女の一生(59)
Une vie (59)
——————————【59】———————————————
Comme ils vivaient simplement, ce revenu aurait
suffi s'il n' y avait eu dans la maison un trou
sans fond toujours ouvert, la bonté.
..——————————(訳)——————————————————
彼らはつつましく暮らしていたので、もしも家の中に
善良さという底なしの穴が常に開いているのでなければ
この年収でじゅうぶんだっただろう.
——————————⦅語句⦆———————————————
vivaient:(3複半過去) <vivre (自) 生きる、暮らす
revenu:(m) 収入、所得
—何?辞書を引かずに収入だとわかった?どうして?
—「再び来たもの」が収入かと思った.
—いろんなものが再び来るけど、まあいい心がけだね.
suffi:(p.passé) <suffire (自) 十分である
Ça me suffit. / これで私は十分です.
trou:(m) 穴、破れ目
bonté:(f) 善良さ
———————————≪文法≫—————————————
Ce revenu aurait suffi s'il n'y avait eu dans la maison un trou.
家の中に穴があいていなければ、この収入でじゅうぶん
だっただろう.
教科書の例文のような典型的な条件法過去です.
つまり、過去の事実に反する仮定です.人のよさという
穴がいていなかったならば、ということですが、事実と
しては男爵は善良だったから、困った人にお金を出して
あげていたので、収入は十分ではなく足りなかったので
すね.
Si + 直説法大過去、条件法過去、これで
もしも~だったとしたら、~だっただろうに.
となります.本文では帰結部が先になっていますが、
どちらでもかまいません.要は帰結節が条件法過去、
条件節(si のあるほう)が直説法大過去です.
Si j'avais eu de l'argent, j'aurais acheté ce dictionaire.
もし(あのときに)お金があったらこの字引を買ったのに.
念のため、条件法過去の形態要素を述べておきます.
avoir の条件法現在は je の場合aurais です.
未来形aurai と半過去avais を合体させたような形です.
これは「過去における推量」として用いることから
このような形態を取ったと説明されています.
そのavoir の条件法と過去分詞を使って複合過去に
したものが条件法過去と呼ばれています.
「もしも宝くじ3億円当たっていたら、今頃豪邸ぐらし
だったのに」こういうのも過去の非現実の話ですから
条件法過去で表現します.何?仏訳しろ?
あんたやってみなさいよ!
Si javais gagné 300.000.000 yen à la loterie, j'aurais vivré
dans une sompuese résidence maintenant.