LE PAPA DE SIMON
シモンのパパ(28)
—————————【28】——————————————————
Alors il sentit dans son cœur un grand écroule-
ment. Ils étaient plus forts que lui, ils l' avaient
battu, et il ne pouvait point leur répondre, car il
sentait bien que c' était vrai qu' il n' avait pas de
papa.
.—————————(訳)———————————————————
そのとき彼は心の中で、何か大きなものが崩れ行くの
を感じました.彼らはシモンよりも強かった. 彼らは
シモンを叩きのめした.なのにシモンは彼らに何も応戦
できなかった.それはなぜかというとシモンは確かに彼
らの言うようにパパがいなかったからだ.シモンはそう
考えていた.
—————————⦅語彙⦆——————————————————
écroulement:[エクルルマン]((m) (建物などの)崩壊、倒壊
un grand écroulement:何か大きなものが崩れ行くこと.
—————————≪文法≫——————————————————
対訳書の註釈が Ils étaient plus forts que lui 以下を, 自由
間接話法だとしています.どういうことかと言いますと
この文は本来 Il pansait que に導かれているべき文だと
いうのです.それがil pansait que の中味だけが書かれて
いる.これによって、客観的な文は、シモンの胸中をえぐ
りとったような描写になるというのです.その解説に従
って件の箇所を訳し直すと:
「やつらはぼくより強かった.やつらはぼくを叩きのめ
したのだ.それに対しぼくは何も反撃できなかった.そ
れはどうしてであるか.それはぼくには確かにやつらの
言うようにパパがいないからなんだ.」
自由間接話法というのは、直接話法と間接話法の中間の
ようなものだと解説されています.でも、この解説だけ
では、雲を掴むようで、どうもよく飲み込めません.
また何度も出てくると思いますので、ぼちぼち学んでい
きましょう.