アルト・ハイデルベルク(132)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌
————————【132】———————————————
(Die Musik spielt » Ergo bibamus «, die Studenten
singen mit, das Lied klingt durch die Nacht aus
einer ziemlichen Entfernung, gedämpft. )
............Detlev: Hallo, das Lied ! Komm mit. Du kennst
.............................das Lied ?.
Karl Heinrich: Nein.
.........Detlev: Natürlich nicht. Niemand kennt es. Das
......................Lied ist vom alten Herrn von Goethe.
......................Weißt Du, mein Junge, wo man die
......................deutsche Poesie studiert ? Bei uns !
......................Auf den deutschen Hochschulen !
....................»Was sollen wir sagen vom heutigen Tag ?
......................ich dächte nur:ergo bibamus !
......................Er ist nun einmal von besonderem Achlag,
......................Drum immer aufs Neue ——bibamus !
......................Er führet die Freude durch's offene Thor,
......................Es glänzen die Wolken, es teilt sich der Flor,
......................Da scheint uns ein Bildchen, ein göttliches vor,
......................Wir klingen und singen:bibamus !!«
..................... Dein Wohl, mein Junge ! God save the
......................king! Auf die Freundschaft !
Karl Heinrich: Auf die Freundschaft !
.........Detlev: (ruft mit Donnerstimme). Saxonia !
......................Hierher ! Alle ! Kellermann ! Füchse,
......................mal eine Mütze her. (Nimmt einem die
......................Mütze vom Kopf, setzt sie Karl Heinrich
......................derb auf.) So !
————————————— (訳) ————————————————
音楽は「ガウデアームス」を演奏.学生たちは音楽に
合わせて歌う.その歌は夜の闇を縫って、かなり遠く
からも秘めやかに聞こえる.
デートレフ: おお、あの歌! 来なさいよ、一緒に.
..................あの歌、知っていますか?
カール・ハインリヒ: いいえ.
デートレフ: やっぱり、知らないだろう.誰だって知
..................らないさ.あの歌は老ゲーテ先生の作詩
..................だ.君は知っていますか? ドイツ文学は
..................どこで学ぶものなのかを?それは、ここ
..................私たちのところでですよ!このドイツの
..................大学でです.
..............「きょうというこの日のことを我々はどう思う?
.................言わせてもらえればただエルゴ・ビバムス*を
.................思うのみ.
.................きょうという日は何と言っても特別な日だ.
.................だから更に新たに「されば飲もう!」
.................きょうは開かれた門から、喜びを導き入れて
.................くれる.
.................雲が輝き、ヴェールが開かれる.
.................そして僕たちに神々しい光景を見せてくれる.
.................僕たちは盃を打ち合わせて歌う:
.................エルゴ・ビバムス!
..................君の健康を! 君、乾杯! 君が代を!
..................友情を祝して!
カール・ハインリヒ: 友情を祝して!
デートレフ:(大音声で)ザクセン学生団!団員諸君!
...................全員集合! ケラーマン! 新入生諸君、
...................誰か学生帽をひとつよこし給え.
(ひとりの学生の頭から帽子を取って、
...................カール・ハインリヒの頭にしっかりと
...................かぶせる) よし、いいぞ!
.
—————————————《語彙》————————————————
ziemlich:(形/副) かなり(の)
die Entfernung:(en) 距離
gedämpft:(形、過去分詞) ❶蒸した、ふかした、
❷(音、色などが) 和らげられた、弱められた.
gedämpfte Farben / くすんだ色
mit gedämpfter Stimme / 声をひそめて
hallo:(間) やあ、おおい、
die Poesie:❶[複数ナシ] 文芸、文学; ❷詩、詩歌
die Hochschule:(弱) 大学;単科大学
ergo bibamus:「されば飲もう」
besonder:(形) 特別な
der Schlag:(変e)❶ 打撃、一撃、打つこと;
❷時を打つ音
*) er:本来男性名詞を受ける人称代名詞だが、
ここではHeute (副詞)を受けています.
Heute は抽象名詞としては、文法上「中性名詞」
になりますが、具体的な「日付け」は
Heute ist der Tag...等から類推されてか、
「男性名詞」として受けるようです.
nun einmal:事態が既成、既定で変更不可能で
あることを表す.
「何と言っても~だ」
「~であるのだから仕方がない」
「そうしたものなのだから」
von:~製の、~でできている;
Diese Kette ist von Silber. /
このネックレスが銀でできている.
Heute ist von besonderem Schlag. /
きょうは特別な時でできている.
drum:darum そのために、だから
aufs Neue:新たに;(auf は意図、欲求の対象を示す)
この「新たに」は「新たなきょう」と
「新たな酒」、どちらにも解釈できそうですが、
訳本では「新たな乾杯」、「新たに飲もう」
「いざや飲まん」つまり直後のbibamus の形容
詞とみています.
尚、aufs neue となっている書もあるので、
「新たな乾杯」「新たに飲もう」のほうに軍配を
あげておきます.
führen:(他) 導く、案内する、もたらす、連れて行く
[ある状態に] 至らしめる
この動詞の主語、er は「きょう」(Heute)に
なります.
die Freude:(弱) 喜び
offen:(形) (戸、本などが) 開いている、
die offene Tür / 開いているドア
Thor:方言綴り?→ Das Tor (E式) 門、門の扉
*) Es glänzen die Wolken:雲は輝く;
es は非人称で、自然現象などの仮主語
Heute ist es sehr warm.
きょうはとても暖かい.
Es ist heute sehr warm.
同上
der Flor:(e式) 紗(しゃ)
sich⁴ teilen:分かれる、分け合う、共有する
es teilt sich der Flor:es は仮主語で、
真主語はder Flor (紗).
「紗」ですが、高地ドイツ語では「ヴェール」
のことなのでそのように訳します.
「ヴェールが分かれる」というのは
「左右にヴェールが開かれる」ということ
だと思います.
Bildchen:Bild の縮小形 「光景」
vor/scheinen:(辞書不掲載)恐らく名詞のVorschein を
動詞風に使っているのだと思います.
だとすると、意味は、「出現させる」、「現す」、
「出現する」、「現れる」など
göttlich (形) ❶神の、神のよぷな、神々しい、
❷素晴らしい、非の打ちどころのない
die Donnerstimme:(雷のような)大音声
derb:[デルプ] (形) 頑丈な、がっしりした
——————≪エルゴ・ビバムス≫———————————
タイトルはラテン語だが、詩はゲーテ(1749-1832)が
1810年に書きました.
CD、『ドイツ学生の歌ベスト・アルバム』の歌詞カード
の1番を書き写します.
(本文の歌詞は3番に相当します.2番の歌詞もその
うちご紹介したいと思います)
ERGO BIBAMUS (されば飲もう)
Hier sind versammelt zu....................................
löblichem Tun,....................................................
drum, Brüderchen, ergo bibamus !....................
Die Gläser, sie klingen, Gespräche sie ruh'n;
beherziget:ergo bibamus !................................
Das heisst noch ein altes, ein tüchtiges Wort,...
es passet zum ersten und passet so fort..............
..............................................................................
und schallet ein Echo, vom festlichen Ort,.........
ein herrliches:ergo bibamus !............................
ぼくらがここに集まったのは
たたえられるべき行事のためだ、
それ故に、友よ、エルゴ・ビバムス!
グラスがひびく、語らいはやむ
肝に銘じよう、エルゴ・ビバムスを!
これは昔ながらの、有益な言葉だ、
最初の人にふさわしく、それに続く
人々にもふさわしい
祝宴の場所から、木魂するのは
声高らかなエルゴ・ビバムス!