椅子直しの女(8)
LA REMPAILLEUSE
——————————【8】———————————————
Je vous répondrai que, s' ils n' avaient pas commis
cette bêtise de se suicider, ce qui leur enlevait toute
chance de rechute, ils se seraient guéris; et ils
auraient recommencé, et toujours, jusqu' à leur mort
naturelle.
——————————(訳)——————————————
あなたがたに請け合いますがね、もしもそんなばかげ
た自殺を犯していなければ、いや自殺したから二度目の
恋愛の芽は潰されたわけですが、立ち直っていたでしょう.
そして彼らも、今度は彼らに自然死がやって来るまで再び
(恋愛を)始めていたでしょう.
..—————————〘語句〙——————————————
répondrai:(単純未来1単)
< répondre (他) 責任を持つ
répondre que + 直説法 (...ことを)保証する
Je vous réponds qu'il viemdra. /
彼が来ることは保証します.
enlevait:(半過去3単) <enlever (他)
❶[à から]奪う、取上げる
②[de から]取除く
rechute:(f) (病気の)ぶり返し
guéri(e):[ゲリ](形) 病気が治った
recommencé:(過去分詞) < recommencer (他)
再び始める、やり直す、繰り返す
—————————≪文構造≫——————————————
文の構造を分かりにくくするのが挿入句、挿入節です.
主語Sでもなく述語動詞Vでもなく、属詞Aでもなく
目的格補語OI、ODでもなく、そういう資格をもって
いない挿入句があると、解釈は難しくなります.本文
挿入は次の名詞節がそれです.
ce qui leur enlevait toute chance de rechute:
彼らから恋愛の再発するチャンスを奪うもの.
厳密にいうとsuicider の言い換えですので、同格という
資格は持っていますが、内容的には付随説明なので、や
はり挿入と見たほうがわかりやすいでしょう.
どう処理すればよいかというと、勝手にc'est を足して
訳せばいいと思います.
もしもそんなばかげた自殺を犯していなければ、と語り
かけてから、「もっともその自殺が彼らから二度目の恋
愛のチャンスを奪うわけです」(二度目の恋愛が素晴
らしいかどうかには参加できない)
——————————≪文法≫——————————————
s'ils n' avaient pas commis cette bêtise de se suicider:
「もし彼らが自殺するというあの愚行を犯さなかった
としたら」 « si + 直説法大過去 » は過去の事実に反す
る仮定を表わす.その仮定のもとの帰結は条件法過去
形を用いて示す.de se suicider の de は同格の不定詞
を導く前置詞.