仏道の道場(28)
先生は素人ですが、ここの道場の師範代.
........先生:きょうはみなさんに級位を認定します.28回まで
................ レッスンを休まず出席されたみなさんに、ちょっと甘い
.................かもしれませんが5級を認定します.これは仏検に
.................換算すると、初級文法の、基本的なところを学んだ
.................レベルです.おめでとう.
..ある生徒:それで先生、あなたは何級なの?
........先生:そうですね.一応みなさんの先輩なので、1つ上の4級を
.................自分で自分に認定しましょう.
..生徒たち:ワハハハハ、自分で自分をほめるなんて最低よ.
........先生:だってさ、先生も5級だったら、進まないじゃない.これは
.................つらいことだけど、必要悪というか必要バカなんだよ.
..ある生徒:必要バカ先生、がんばって.バカにしないから.
ほかの生徒:私もよ.
..別の生徒:いっそのこと十段ってのは?
........全員:あんまり大ぼら吹かさせちゃだめでしょ.
..ある生徒:先生を馬鹿にしないから、もう1級上がって下さい.
..別の生徒:そうだわ.私たちが3級に認定してあげる.
.................だってこれは俳句じゃないから、夏井先生の評価は
.................いらないのよ.
..他の生徒:ゴタぴょん殿、仏道3級に認定する.生徒代表、山田錦 .
........先生:ありがとう.まあ、級位認定のことは、このぐらいにして、
.................さっそく稽古にとりかかりましょう.
..生徒たち:先生、前回は飛び来る毒矢を花びらにする術のお話で
.................終わってしまいました.ぜひその話を聞かせてください.
.......先生:みなさん、毒矢を花びらに変える術の練習を
................はじめる前に、基本形を学んでおきましょう.
生徒たち:基本形なんて、あるのですか?何ですか?
..............それ?
.......先生:あ、先生が勝手に思いつきで言っているのだ
...............と思っていません?ちゃんとあるんですよ.
...............仏典にね、ブッダをさんざんこき下ろしたバラモンの
...............話が出ています.そのバラモンにブッダはこう言いました.
...............あなたの家にはお客さんが来ますか?バラモンは答えます.
...............もちろん来ます.ブッダはこう言います、「そのお客さんに
...............食事をお出ししますか?」すると「はい食事を提供します」
...............では客人がその食事を食べなかったら、その食事は誰のもの
...............ですか?」「世尊よ、それは私のものです」「ではバラモンよ、
...............私はあなたが私をけなした言葉はすべて受け取らない.だから
...............バラモンよ、そのさげすんだ言葉はすべてあなたのものだ」
生徒たち:ああ、聞いたことがあります.有名な説法ですものね.
.......先生:これは冷静沈着でないと難しいですよ.ちょっと言われた
................だけですぐに頭に血が上ってしまうようではダメですからね.
生徒たち:はいはい、満員電車術式ですよね.前世でぼくはこいつを
...............こき下ろしたんだ.そのときの原因の結果がここに黒い花びら
...............を咲かせているんだ、と自分に言い聞かせて耐えるのでしたね.
.......先生:そう、よくできました.さすが5級!
キンコンカンコン
今回はここまでです.またね。