アルト・ハイデルベルク(195)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌



——————————【195】———————————————

Karl Heinrich: ——Wie spät ?

............Lutz: Halb Zehn, Eure Durchlaucht.

Karl Heinrich: Weshalb sind die Fenster geschlossen ? ——wie ?  
......................Ich wünsche, dass meine Anordnungen befolgt
......................werden.  

.............Lutz: Eure Durchlaucht !

Karl Heinrich: (Antwortet nicht).

.............Lutz: (öffnet hastig).

..................................(Pause)

Karl Heinrich: (setzt sich an den Schreibtisch, liest).  ——
......................—— Der Herr Hofmarschall.

............Lutz: (eilt an die Tür, spricht hinaus, dann laut).
...................... Seine Exzellenz der Herr Hofmarschall.
...................... (Lutz ab.)



———————————(訳)—————————————

カール・ハインリヒ: 何時ですか? 
                
......ルッツ: 9時半でございます、陛下*.

カール・ハインリヒ: なぜ窓を閉めたのです?——どうして?
...................指示には従ってもらいたい.

.......ルッツ: 陛下!———

.カール・ハインリヒ: (返事をしない)

.......ルッツ: (急いで窓を開ける)


.....................(間)

 


カール・ハインリヒ: (執務机に着き、書類を読む)——宮内大臣.

......ルッツ: (ドアへ急ぐ.外に声をかける、それから
...................大声で言う、宮内大臣閣下.)

 

...........................(ルッツ退場)



———————————《語彙》——————————————
         
Weshalb:(副) ≪疑問を示して≫ 何ゆえに、何のために         
die Anordnung:(弱en) (職務上の)命令、指示
befolgt werden:(3複受動現) <befolgen (他)
  [4と](規則など⁴を)守る、(命令など⁴に)従う 
    Sie befolgte seinen Rat. / 彼女は彼の助言に従った.   
der Schreibtisch:(E式) 書き物机、事務机、デスク


———————————≪文法≫———————————————

*) 称号については前回、「大公」と訳しましたが、
では今回のように、「呼びかけ」としてはどう呼ぶか?
 以前に「陛下」の称号は、大国の君主に対する
称号であって、この物語の設定の小国の領主には、
「殿下」とするほうがよい、と書きましたが、大
殿下が亡くなった今となっては、「殿下」を昇進さ
せるためには「大殿下」が使えない(皇太子不在)ので、
敢えて「陛下」としておきます.もはやカール・ハイン
リヒは一国一城の主ですから.
   とは書いたものの、気になるので、他の訳本を見て
みました.

岩波文庫(番匠谷版):殿下
岩波文庫(丸山版) :陛下
旺文社文庫     :殿下
学習研究社     :殿下

少数ながら、「陛下」と訳された先生もいましたので、
一安心しました.