仏検公式ガイドブック
セレクション
4級・5級
合格のための
精選問題集(1)


 復習を兼ねて、このセレクション・シリーズで5級問
題から1級問題まで、すべての級の問題を解きながら、
学習していこうと思います.
フランス語の小説を読むのも、いい学習だとは思います
が、問題集で設問を解くという学習方法も上達には有効
な方法だと思います.
 名づけて、「セレクション大学フランス語セミナー」

ではさっそく練習問題をやりましょう.


筆記試験

———————————《1》——————————————————  

4つの問題文の空欄に、最も適切な冠詞(不定冠詞、定
冠詞、部分冠詞、否定の冠詞 de )、または <前置詞 +
 定冠詞> の縮約形を、6つある選択肢から選ぶ問題です.
配点8.
            
 冠詞には不定冠詞(un / une / des)、定冠詞(le / la / l' /
les)、部分冠詞(du / de la / de l' )があります.それぞれ
の基本的な用法を理解しておくことが必要です.冠詞の
使い方をまとめておきます.

不定冠詞(un / une / des)
・不特定のものを示す.
・話し手と聞き手の間で周知されていないものを示す.

定冠詞(le / la / l' / les)
・特定されているものを示す.
・話し手と聞き手の両者に周知されているものを示す.
・ひとつしかないものを示す.
・あるものの種類全体を示す.

部分冠詞(du / de la / de l' )
・数えられないもののある量を示す.
・数えられるひとつのものの一部分を示す.

否定の冠詞 de
否定文では、次のAとBの2つの条件がそろうと冠詞は
de になります.
 A.肯定文の冠詞が不定冠詞または部分冠詞おとき.
 B.冠詞が直接目的語として機能する名詞についている
   とき.
* il y a ~ の非人称構文でも名詞につく不定冠詞と部分冠
 詞は否定文で de になります. 


<前置詞 + 定冠詞> の縮約形
前置詞 à または de のあとに定冠詞 le あるいは les が
くるとき、1つの単語に変換されます.

  前置詞 à と定冠詞le / les の縮約
 * aller à ~:~へ行く
 Il va au cinéma. / 彼は映画に行く.(à + le →au)
   Il va à la gare. / 彼は駅に行く.
 Il va à l'école. / 彼は学校に行く.
 Il va aux toilettes. / 彼はトイレに行く.(à + les →aux)

前置詞 de と定冠詞le / les の縮約
 * près de ~:~の近くに
 J'habite près du bureau. / 私は会社の近くに住んでいる.
             (près de le →près du)
 J'habite près de la gare. / 私は駅の近くに住んでいる.
  J'habite près de l'école. / 私は学校の近くに住んでいる.
  J'habite près des mgasins. / 私は商店街の近くに住んでいる.
                          (près de les →près des)



【練習問題1】
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 次の(1)~(4)の(    )内に入れるのにもっとも適切なものを、
下の①~⑥の中から1つずつ選び、解答欄のその番号にマーク
して下さい.ただし、同じものを複数回用いることはできませ
ん.
 試験本番では解答用紙が別に配られるようです.筆記具はHB
またはBの黒鉛筆を用います(シャープペン可)ので携行を
忘れないこと.(消しゴムの携行も忘れずに)

(1)Cécile a (      ) yeux bleus.
(2)Il a mal (      ) dents.
(3)Nous avons (      ) gros chien.
(4)Tu veux encore (      ) viande ?
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   ① aux     ② de     ③ de la
   ④ les     .⑤ un     ⑥ une
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[解説]
(1)Cécile a (les) yeux bleus. 「セシルは青い目をしている」
 発音はles yeux で[レズュー]、リエゾンしますので.
 「目」を表す語は、単数形ではœil [œj ウィユ]ですが、複数では
yeux [jøイユー]となり、つづりも発音も変わるので注意しましょう.
œ この文字が片目ウインクしてるみたいなので œil を単数形
と覚えておきましょう.yeux はy とxを左右の目と思えば両目、
つまり複数形だと覚えましょう.この場合eu を鼻に見立てまし
ょう.発音はyeux [イユー] 覚え方は「目は、口ほどモノを言う~」 
 ところで、タマゴをフランス語で言えますか?œuf [ウフ]ですが、
複数形がœufs [ウー]、つづり上はsがつくのですが発音はウー、困った?

また本問のような文で目や髪など身体の一部に形容詞がつくとき、
色のように、その人物の恒常的な性質を表し、それが主語の特徴と
して特定化されるような場合には定冠詞をつけます.したがってこ
の場合 les が入ります.正解は④です.
 なお、「美しい」や「びっくりした」のような主観的、一時的な
形容詞がつく場合には、一般に定冠詞ではなく、不定冠詞を用いま
す.
 Elle a de beaux cheveux noirs. 「彼女はきれいな黒髪をしている」

 では beaux がなければどうなるか?
こうなります:
 Ell a des cheveaux noirs. 「彼女は黒い髪をしている」

 それで「黒い色」として主語の特徴を特定化すれば、今度は
定冠詞を用います.
 Elle a les cheveaux noirs. 「彼女の髪は黒い」

ひとつ条件がつけられていて、定冠詞になったということは、
話の相手が「彼女の髪」の話題を了解済みであることを示唆し
ますから Elle a les cheveaux noirs、に対し「彼女は髪は黒い髪を
している」という訳はできません.
髪は既知情報で、相手にとって未知情報はnoir だけですから、
「彼女の髪は…黒だ」
という訳になります.

 『仏検公式基本語辞典p51』を参照する旨があったので、開いて
みました.
cheveu (m) pl = cheveux
髪;Ell a de beaux cheveux noirs. / 彼女はきれいな黒髪をしている.


(2)Il a mal (aux)dents.  「彼は歯が痛い」

この文は、Il a mal aux dents. [イラマロダン] と発音します.
さて mal は「悪」や「病気」、「苦労」など、さまざまな否定的ニュ
アンスを含みますが、ここでは「痛み」を意味します.またこのよ
うに、体のどこかが痛むことを表すには、(avoir mal à + 定冠詞 +
身体の部分) という表現を用います.つまり「身体の~の部分に
痛みをもつ」ととらえるわけです.この設問では、「歯」 dents は
複数なので、それにつく定冠詞は les となります.そして前置詞 à
と les は縮約されて aux となります.正解は①です.

使用頻度の高い表現です.自分のものにして使いこなせるようにし
ましょう.ほかにも次のような例がしばしば用いられます.
  J'ai mal à la tête. 「私は頭が痛い」


(3)Nous avons ( un ) gros chien.
    「私たちは大きな犬を飼っている」

chen「犬」は1匹2匹と数えられる名詞です.しかもこのケースは発話
の相手にとって未知の情報と考えられるので不定冠詞がつきます.さら
に chien は単数ですから、不定冠詞の男性単数形である un となります.  
  正解は⑤です.

 gros 「大きな(太った)」という形容詞の語尾にs があるから複数だ
と速断してはいけません.gros はそもそも男性単数形にs が含まれてお
り、単数形と複数形が同じ形になるのです.もし複数の大きな犬であれ
ば、de gros chiens となります.なお女性の単数形はgrosse、複数形は
grosses です.


(4) Tu veux encore ( de la ) viande ? 「もっとお肉がほしい?」
 
 ここでviande「肉」は、これから食べる具体的で不特定な量として
とらえられているので、定冠詞や不定冠詞ではなく、部分冠詞がつき
ます.viande が女性名詞であることがわからなくても、男性形の部分
冠詞 du が選択肢にないので、必然的に de la をみちびきだすことが
できます.
 正解は③です.

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〘解答〙(1)④   (2)①     (3)⑤    (4)③

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