アルト・ハイデルベルク(182)
𝕬𝖑𝖙 𝕳𝖊𝖎𝖉𝖊𝖑𝖇𝖊𝖗𝖌



——————————【182】———————————————

Hofmarschall:(müde).  Es mag sein,  ich weiß es nicht,
...........................ich glaube es nicht.  Eine Konvenienzheirat,
...........................weiter nichts.  

——————————— (訳) —————————————

宮内大臣: (疲れて) あるいはね.でもどうかわからないよ.
...................私には信じられないね.便宜結婚だもの.
...................それ以上のものではないからね. 


———————————《語彙》——————————————
        
die Konvenienzheirat:[コンヴェニエンツハイラート](弱en) 便宜結婚
              政略結婚、

———————————≪解説≫————————————————

 

Konvenienzheirat、単語がポツンとひとつだけ切り離されて

つぶやかれています.前後関係をつなぐと、「だって~だもの」

という言葉が言外に匂います.続く weiter nichts は、それ以上

のものではない、ということですから、陰鬱な殿下が、この結

婚でパッとあかるくなっりはしない、ということを大臣は言っ

ているようです.「恋愛結婚ならいざ知らず、政略結婚だから

ね.心境の変化は期待できない」、と言っているわけです.

 

こういう軽い会話には weil も denn も使わないようですが

私たちにはこういうポツンと一軒家は面食らってしまいます.

きっと「なぜなら」という言葉でつなぐと会話が仰々しくな

るのでしょう.会話が会談になる瞬間、それはweil や

warum が使われ出したとき!かも…