仏作文(65)(スタンダードフランス語講座③より)
—————————【65】————————————————————
社長は事業から引退する用意があると明言した.
Le président déclara qu'il était prêt à se
retirer des affaires.
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♦ 時称の一致に関してはすでに練習しました.間接話法の場合、
特に大切ですからよく覚えておくこと.
♦ 直接話法では平叙文である文を間接話法にするには、que を
接続詞として使います.動詞としては dire のほかに
affirmer、
assurer、
annoncer、
déclarer
などがありますので、文を単調にしないように使い分けましょう.
上の例文で「言明する」の相当語、déclarer の代わりに annoncer
を使うと「公式に予告した」という感じになります.
♦ 「社長」は président [プレズィドン] がふつうでしょう.
株式会社 société anonyme (f) も日本と完全に同じ組織ではありま
せんから、日本語をそのまま移すことはむずかしいことを心得て
おいてください.
* anonyme [アノニーム](形)❶匿名の;❷société anonyme
株式会社【SAと略す】
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問題A
1. 首相はアメリカ合衆国に赴くと言明した.
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【単語チェック】
アメリカ合衆国:les États-Unis (d'Amérique) (m/pl)
首相:Premier ministre (m), [女性の首相も男性形を使う]
言明する:déclarer、annoncer、affirmer、assurer、
赴く→行く:aller
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ゴタ生徒答案:
Le Premier ministre a déclaré qu'l ira aux États-Unis.
模範解答:
Le Premier ministre déclara qu'l se rendrait aux États-Unis.
———————≪感想≫—————————————————
これは私、ゴタが採点者だったら、0 点にします.何が許され
ないといっても、que のあとを未来形のまま放っておいただらし
なさ.主節が過去のときは、que の中も過去、つまりここでは
過去未来形(つまり条件法)にしなければならない.たしかに
déclarer que + 直説法、というのが正しい語法ではあるが、時制
に関しては主節の時に一致させないといけない.
自分自身の言い訳を聞いてみると、 déclarer que + 直説法、と
書いてあったから条件法で書くべきque 以下を「直説法で書き
ました」と弁明の声が聞こえる.だから直説法過去未来形だ!
尚、主節の単純過去は複合過去でもよいとことしましょう.
それからaller も横着をせず、辞書を引いていれば模範解答の
se rendre が【赴く】という項目にあったものを!何が
赴く→行く:aller だ! 単語チェック欄を穢すな!
一生懸命練習するから上達があるのであって、横着しながら
練習しても時間の無駄.がんばってね.
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問題A
2. 彼はやがてこの仕事を終えるであろうと確言した.
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【単語チェック】
やがて:avant longtemps、bientôt, avant peu、sous peu、
tout à l'heure
確言する:affirmer (主張する、断言する)
使い方:affirmer qc / affirmer que + ind
* ind:mode indicatif (直説法) の略号
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ゴタ生徒答案:
Il a affirmé qu'il terminerait ce travail avant longtemps.
模範解答:
Il a affirmé qu'il terminerait bientôt ce travail.
———————≪感想≫——————————————————
「間もなく」という副詞の位置は、従節の動詞と目的補語との間
に入れるようです.英語の場合、before long は文末でも文頭でも、
いいのですが、位置は微妙です.
模範解答文のように置いて、He affirmed that he would finish
before long the work. でもいいのですが
He affirmed that he would finish the work before long.
と書く確率が高いかも知れません.意識としてbefore long が
文扱いなのかもしれません.ネーティブに聞かないとはっきり
言えませんが...
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問題A
3. この問題は解決しがたいと彼女は再三言っている.
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【単語チェック】
問題:problème (m)、question (f)
解決する:résoudre、régler
再三、何度も:plusieurs fois
何度も繰り返して:à plusieurs reprises
再三の:réitéré(e)
言っている:
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ゴタ生徒答案:
Elle dit plusieurs fois que ce problème est insoluble.
Elle dit plusieurs fois que ce problème est difficile à résoudre.
模範解答?:
Elle disait à plusieurs reprises que ce problème était difficile
à résoudre.
———————≪感想≫——————————————————
驚きました.模範解答文のほうが間違っているじゃな
いですか.もしかしたら、問題文の方が出題ミスだった
のかも知れません.もしそうだとするなら、この問題文
は
「この問題は解決しがたいと彼女は再三言っていた」
とすべきところ.
出版社にこの印刷ミスか原稿ミスかを指摘してやりたいが
1994年の発行の書物です.もう現行販売はしていないか、
絶版になっていることでしょう.出版社の時効成立でござ
います.
ところで、新たに入手はできるのか調べたところ、今でも
アマゾンで当時の定価プラス数百円で購入可です.
実際にご購入検討の方に表示しますと(★印は中古本)
絶版のため、プレミアがついて中古で3000円以上もする
ものもありました.プレミア価格は、私たち学習者にとっ
て大変迷惑なものです.またそのうち「仏文解釈」
(スタンダードフランス語講座⑦より)という学習も
始めましょう.プレミアを支払うなんてもったいないので、
わざわざ買わなくても、ここで学習してくださいませ.
私たちはコレクターではないのですから.
(定価は当時3%の税込み価格です)★印は中古本
スタンダードフランス語講座①入門:1650 円 (定価1400円)
★スタンダードフランス語講座②文の構造:1498円より(定価1442円)
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スタンダードフランス語講座④会話:1320円 (アマゾン販売価格)
スタンダードフランス語講座⑤手紙と商業文:1540円 (アマゾン販売価格)
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問題B
1.取締役会は、ボレル氏を社長として推薦することを発表した.
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【単語チェック】
取締役会:conseil d'administration (m)
ボレル氏:スペル不明、辞書の引き方わからず
幾つか試したが不発.ネット検索したところ
スペイン人ジョセップ・ボレル氏がヒット
スペルはBorrell
社長: président (m)
推薦する:recommander (à に)
発表する:annoncer (他)
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春之助生徒答案:
Le conseil d'administration a annoncé qu'il avait recommandé
M.Borrell à le président.
模範解答:
Le conseil d'administration fit savoir qu'il recommanderait
M. Borel comme président.
———————≪感想≫——————————————————
遅ればせながら今faire savoir を調べているところ.
仏和辞典の中見出しにありました.「発表する」に
囚われすぎていたようです.
faire savoir:知らせる、通知する
Faites-moi savoir l'heure de votre départ.
あなたの出発時刻を知らせて下さい.
さて文法ですが伝達文の中は主文が過去の時は
半過去でいいようです.つまり伝達時と内容は
同時期なので、主節(過去) + 従節(半過去)
ゴタの答案はまずかった.発表時には済んだことに
してしまったから.自己採点 0点
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問題B
2.株主総会は会社の方針について討議することになろうと社長
は告げた.
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【単語チェック】
株主総会:assemblée générale des actionnaires (f)
会社:société anonyme (f)、entreprise (f)、société (f)
方針:orientation (f)、principes (m.pl)
討議する:délibérer sur [de](について)
:discuter sur [de](について)
:débattre (他、を)
社長:président-directeur général (m)
P.D.G と略す;複数形:_s-_s _aux
告げる:annoncer (à ~) que ~
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ゴタ生徒答案:
Le président a annoncé que l'assemblée générale des
actionnaires délibérerait sur l'orientation du entreprise.
模範解答:
Le président annonça que l'assemblée générale des actionnaires
serait invitée (amenée) à discuter sur l'orientation de la société.
———————≪感想≫——————————————————
最近になって、単純過去形を課す問題が出てきたようですが、
これは「読み言葉」だけでなく「書き言葉」なので仏作文に
も活用するように心がけましょう.
さて解答の方ですが「招聘」invitation (f) を使うレベルが
要求されていると暗に言っています.serait invitée à discuter
「討議のため招聘されるだろう」、つまり株主総会はいつでも
すぐに討議できないので、招聘して討議する、というわけの
ようです.
——————〘単語の勉強〙——————————————————
◇ être prêt à とs'apprêter à:
être prêt à ~ は「~する用意ができている」「もうじき~しようと
している」、 s'apprêter à ~ は「~する準備をする」
◇ annoncer:前に言った通りですが annonce (f) は「告示」の
ほかに「広告」という意味もあります.新聞に3、4 行で出ている
広告を petites annonces と言います.
◇ se retirer de:「~から引き退く」.se tirer dans sa chambre 「自分
の部屋に戻る」、定年退職することは prendre sa retraite と言います