アルルの女(14)


———————————【14】—————————————————
                  
Ce  que  j'avance,*¹  je le  prouve :   voici des lettres ! ...Les
parents  savent  tout  et  me  l'avaient  promise ;  mais depuis
que  votre  fils  la  rechercher*² ,  ni eux *³  ni  la belle  ne veulent
plus de moi ... J'aurais  cru*⁴  pourtant  qu' après  ça  elle ne
pouvait  pas  être  la femme d'un  autre.


———————————(訳)—————————————————
                    
私がこう言っているのには、証拠があります: ここに手紙が
あります!・・・  先方の両親はすべて承知で彼女を(私の嫁に)
約束してくれていたのです.  でもあなたの御子息があの女を
求めてからは、両親も女も、もはや私のことは眼中にありません
・・・あんな後のこと(婚約をしたあと)だから、他の男のもの
になるなんて思ってもみませんでした.


———————————(《語句》)—————————————————
         
*1)  avancer: (他) 提出する、述べる、主張する        
*2)  rechercher: (他)  探す、求める
*3)  ni eux ni la belle: 主語となる人称代名詞が他の主語と等位される
   ときは、強勢形を取ります.ni ils ...とは言いませんのでご注意.   
*4)  j'aurais cru: 「(~にはならないと) 信じていたものを」.条件法過去です.
   条件節は基本的には「si + 直説法大過去」が来るのですが、この場
   合は、après ça 「こんなことがあって」が条件節の代わりをしてい
   ます.条件節代理店みたいなもの.
      qu' après ça についているque はcroir の目的語 elle 以下のこと
   を「信じていたのに」、となります.
   こんなこと(両親の結婚承諾があったあとなので、(まさか)
   彼女が他の男のものにならないだろうと、信じていたのに.
   となります.qu' après ça も条件節代理がcroir の目的節にちょっ
   と食べられかけていますが無事です.生きています.