夏休み日記(8)
『真理のことば』(327番)に、
「つとめはげむのをたのしめ.おのれの心を護れ.
自己を難所から救い出せ.——泥沼に落ち込んだ象のように.」
ブッダゴーサの解釈は、象は自分で泥沼から手足を必死で
動かして脱出しようとするが、我々も、欲望という泥沼のような
難所から自己を救い出せ、というものです.
もちろんこのまま受け取ってもらってもいいのですが、
この「教え」の最も言いたい点は、
「我々にとって煩悩がいかに脱出しがたいものであるか」
を泥沼に落ち込んだ象に譬えてあるのでしょう.
泥沼に落ち込んだ人を救出するのも、なかなか大変なのですが、
それが象だったら、それはそれはまったくもって大変だ.
人はいかに、煩悩から出離するのが大変なことか、この
「教え」の中に暗示されています.
そのうえで、なお、我々の煩悩——過度の欲望(必要以上の欲望)
から離れて自由を得ることの素晴らしさを説いてあるのです.