ハイジ(14回目)        
                  
       
               【10】
 Der  Großvater zeigte  auf einen großen Zuber voll Wasser,
der  vor  der  Tür  in  der  Sonne  stand.   Heidi  sprang
hin  und  planschte  und  rieb,  bis  sie  glänzte.

 
                 訳
おじいさんは陽だまりに置いてある水のいっぱい張った
バケツを指さしました。 ハイジは、その方へ飛び跳ねて
行きました。そして綺麗になるまで、ぴちゃぴちゃ水しぶき
を飛ばしながら、ごしごし洗いました。


              《語句》       
der Zuber {_/_s} (大型の)おけ       
auf (3、4格支配)ここでは4格「~へ」「~の方を)(方向)
   場所を示すときは、3格
 方向を示すときは、4格名詞を取ります。
planschte 過去形 <planschen (自)ぴちゃぴちゃ水を跳ね飛ばして遊ぶ 
glänzte(過去形)<glänzen (自)輝く、きらめく(英, shine)
     bis sie glänzte (sie はハイジ、ハイジがピカピカになるまで)
          (朝起きた時は、汚れて真っ黒の顔だった)
rieb(過去形)<reiben (自、他)(4格を)こする、ここでは「こすって洗う」
      4格をこすって(ある状態に)する
            不規則動詞です。 三変化は   reiben rieb  gerieben


 
       
               【11】    
Unterdessen ging der Großvater in die Hütte hinein und
rief dem Peter zu: "Komme hierher, Geißengeneral*,
und bring deinen Habersack mit !"

        訳
その間に、おじいさんは小屋に入っていき、ペーター
を呼んだ。「こっちへおいで、山羊の大将。君の弁当袋
ももっておいでよ。」

              《語句》
unterdessen(副)   その間に、そうこうするうちに        
hierher (副)  こちらへ      
Habersack    Haber は南ドイツ方言。Haferのこと
      der Hafer [_s/_] カラスムギ、エンバク
      der Sack[_(e)s/Säcke] 袋
      Hafersack  エンバクを入れる袋(馬用のエサ)
           ここでは、パンを入れる袋で、人間用。
           山羊飼いたちが弁当袋にしていた。
*Geißengeneral  もともと辞書に無い言葉で、注釈書(評論社)に
       たよって「山羊飼い」としてきたが、ここでは、
       山羊飼い少年への呼びかけとして使われている。
       geiiß (山羊)+ Ggeneral(大将)で「山羊の大将」。 
              注釈書のほうも、「山羊の大将」と訳されている。
               ≪文法≫
  ging はgehen (行く)という意味の動詞の過去形。「行った」と訳します。
 ドイツ語では、定動詞(活用形になって人称変化している動詞)は、
 「文の2番目に来る単語の位置」と決まっています。
 
  Unterdessen  ging   der Großvater  in die Hütte hinein
    1番目    2番目   3番目         4番目以降

 ここでは  unterdessen という単語が1番目にきたので、その次は
 主語よりも先に動詞ging がきています。主語に当たる der Großvater  は
 3番目の位置になりました。
 語末の hinein(副)「中へ」は、実は、ここではging とセットのもので、
 gehen という動詞は、hineingehenという動詞だったのです。

 これは、「分離動詞」と言って、実際に使われるときは、 hineinとgehen
 に分かれます。分かれたhineinの方は、文末に回ります。