サウンドオブミュージック(82)
【406】
Running over* to me as I stood on a ladder washing a big
crystal chandelier, they yelled from afar :
" Father says he doesn't know whether you like him at all ! "
訳
水晶作りのシャンデリアを梯子段に上って、洗っている
私のところに、遠くから叫びながら子供たちが、駆け寄
って来ます:
「お父様がおっしゃるのだけど、先生はお父様の
ことが好きかどうか、わからないそうよ。」
《語句》
run over to ~、とか come over to ~
など、移動を表す自動詞と、to の間に、しばしば over
が介入することがあります。空間の移動を表すover なので
すが、訳すときには、相当する日本語がありません。
辞書には「めぐってやって来る」などが載っていると思い
ますが、わずか部屋の中の空間で、「めぐって」も「はる
ばる」もありえません。せいぜいのところ「~の方へ」
ぐらいの訳出しかできません。
【結論】: over を訳すと、オーバーな表現になるので
わざわざ訳さないでおきましょう。
【407】
" Why, of course I like him, "
I answered,* somewhat absent-mindedly, because I had never
washed a chandelier before. I noticed only vaguely that the
children had disappeared behind the study door again.
訳
「あら何なの、好きに決まってるでしょ。」
それは、いささか、心ここにあらず的な返答でした。なにぶん
シャンデリアなんてものをこれまで洗ったことなど、一度も
なかったもので。子供たちがまた書斎の中に消えてゆくのを
ただ、ぼんやりと見ていました。
《解説》
* I answered 「主語+動詞」で構成される英語では、いつも正しく
訳すと、英語練習帳みたいになってしまいます。
しかも、このような自叙伝では、やたら「私」が目につきますので、
日本人には、出しゃばり過ぎに感じられやすいのです。
「あまり、私は~」を繰り返さず、ときどきは、たとえば
「私は~答えました」を
→「私の答えは~」とか「それは~という返答でした」
など、バランスをとって変形して訳します。
【408】
That same night I was arranging flowers in big oriental vases.
This was the last touch, and then the spring cleaning was over,
and it had been really successful.
訳
その同じ夜、私は東洋風の花瓶に花を活けていました。
それが春の大掃除の最後の仕上げでした。それで大掃除は
終了しました。それは見事なものでした。
《語句》
touch 手を1つ加えて仕上げること、
[touch-up] とか [finishing touches] というほうが理解されやすい。