3月26日(水)

【カンラ様よりご紹介いただいたイスラエル人のお客様】




  午前9時になりました。
  まだお客様は、出てこられません。
  フロントで、山田の
  きょうの仕事の
  担当スタッフを呼んでもらいます。


山田  : コンシェルジュのタチアーナさま
      をお願いします。

フロント: あいにく、きょうは、休んでおりまして・・・


   ということで、
   もうしばらく待ってみることに・・・
   していられるか!
   思い出した。ここじゃないことを。

    (きょうのお迎えは、カンラだった。急げ~)


   ロイヤルパークホテルを飛び出し、
   カンラホテルに電話。
   10分ほど、遅れる旨を伝え、了解をもらう。


   その間、三条通りを渡り、タクシーを掴まえる。


   キキキー。タクシ-は止まった。
   よかった。機敏で、早そうなタクシーだ。


ゴタ   : 烏丸六条まで、お願いします。

      (ぶっ飛ばしてくれ~)

         車
     
   タクシーに乗ったら、急げ、
   とか、もっと早く、などとは
   決して言ってはならない。
   せかすと、危険だからだ。
   そんなことを言ったら、

    「降りてくれ」

   ともいわれかねない。
   ドライバーには、
   安全運転義務もあるし、ましてタクシー
   には、看板もある。



ドライバーさん: 烏丸の何条ですか?


山田     : 六条です。カンラホテルです。
代々木ゼミナールのあるビル・・


ドライバーさん: あ、ああ、あの、玄関のない、
         あのカンラホテルなあ。


山田     : 玄関はありますけどな。
         なかったら、困るやろ?
         あれ、烏丸通りからは、
         見えませんけど、六条通り側に
         ちゃんと、ありまっせ。


ドライバーさん: そら、お客さん、私かて、
         それぐらいは知ってますわいな。
         玄関におつけしますのか?


山田     : いやいや、そこまで
         してくれなくても、結構です。
         私ゃ、大臣でも社長でもないので。
         六条烏丸の角っこで、降ろしておくんなはい。


ドライバーさん: ほな、河原町六条から、
         六条通りを行って、クルリと右に
         曲がったとこで、よろしいか?

山田     : よろしおす。おたの申します。
えーと、今、740円か。
         この上のメ-ターは、880円ですか?
  

ドライバーさん: ああ、せやけど、
         もう上がれへんわ。お急ぎみたい
         やから、先、もうとこか?


山田     : はい、ほなら、880円、
ここに置きますわ。
上がれへんかっても
          取っといてください。
          上がったら、追加払いますよって。


ドライバーさん: おおきに。ほな、もう上がれへんように、
メーター止めとくわ。


    と、ほぼ同時に到着。

  
    (もっと、早よ、渡しといたら、
早う、メーター止めてもらえてたんかな?)

   いらんことを考えながら、カンラに小走り。


   【カンラホテル】 
  

山田  : すみません。遅くなりました。


ご主人: Good morning, Mr. Gota.
ゴタはん、おはよう。


    お客様は、すぐに、ゴタが、わかりました。
目印に赤い帽子をかぶっている、と
    言っていたからだ。

    赤帽は、最近のゴタの目印。トレードマーク。
    赤帽は、ゴタの昔のアルバイト。ポーター。
    赤帽は、イズミヤで買ったゴタのお気に入りのキャップ。
    赤帽は、実によく目立つ。楽しい帽子。2500円。


   【きょうのお客様はイスラエル人のご夫妻】 

山田  : Where would you like to go first ?
      まず、どこへ行きましょうか?


奥様 : We have Nijo castle, Kinkakuji temple,
and Nishiki market in mind.
But we leave them all to you.
二条城と金閣寺と、錦市場よ。
でも、お任せするわ。


   お任せ、ということは、二条城や、
金閣寺を上回る、素晴らしい場所が
   あれば、連れて行け、という意味である。
だが、そんな場所を私は知らない。

   よって、二金錦(ふたきんにしき)でご案内。

  ≪解説≫ 二金錦とは、山田博士が
21世紀初頭に発明した省略語で、
       二条城、金閣寺、錦市場のことである。
博士はこの研究で
       ノーベル通訳ガイド賞を受賞した・・・
夢見て、よろこんでんねんて~ヾ(@^▽^@)ノ


   【二条城】

 二金錦ツアーの最初は、二条城。
カンラホテルの前から、タクシーをつかまえます。
 網で捕まえるのは、トンボと蝶々。
タクシーは、手をあげて掴まえます。


山田 : 二条城まで、お願いします。

     
      一方で、お客様に、車中、二条城の説明をします。


山田 : Nijo castle ,
that we are now heading for
was the place where
the first Shogun of Edo government,
Ieyasu, held a ceremony  
called "Haiga no Rei" or inaugural
ceremony to Shogun in 1603.

今、向かっている二条城は、江戸幕府初代将軍、
徳川家康が1603年、拝賀の礼を、
そこで鳥行ないました。


  ご主人は、山田の説明を逐一、奥様に通訳なさっています。  


  きょうは、二条城の庭に、桜が咲いています。
  一昨日に来たときは、
  まだ、なんにも、咲いていなかったのだが・・


     【タクシーで、金閣寺へ】


   二条城からタクシーに乗ります。
金閣寺までの所用時間は、約15分です。
   行き方は、ドライバーさんによって、まちまち。

正統派?の行き方は、
   タクシー乗り場からだと、堀川通りを真っ直ぐ、
北へ行って、堀川今出川を
   左折する。

   理由は如何。
   西大路の交差点が丸太町通りから行った円町より
   も、スムーズだからだ。

   今出川通りから、西大路に来ると、
   北野白梅町の交差点では、
   対向車の数が圧倒的に少ない。

   でもまあ、そんな細かいことに、気を使わなくてもよい。

   京都の人がお客だったら、
   うるさいが、相手は、地理も
   道路事情もまったく知らないお方。

   お気軽に~。

   京都の人は、うるさいよ。

    「 運転手さん、あんた、
      わざとちゃうか。向こう回った方が、
      信号、一個、少ないのん知ってんねんやろ? 」


    「すんません。」


   「 あんた、待ってる間に、
80円あがったら、うちが払うねんやろ?」


     「 そうですね。」


    「 あんた、80円な、道に落としたら、拾うやろ?」


    「拾います。」

   
「 私な、あんたの運転で、サイフから、
80円、落としてもうた気分や。
     拾われへん。転がっていって、
ドブにポチャンと落ちたみたいな気分や。」


    「すんません。」


    こういうような、波状攻撃を受けるのが、
京都のタクシードライバー。
    二等兵のうちは、なかなか、大変でっせ。
  1等兵の乗客に
    いびられまっせ。かなんで~。
京都はこわいで~。

    まあ、京都のタクシー運転手も。
3年ぐらいすると、さすがに、お客と
    戦う力が養える。


    「あ、あんた、ここまだ、中立売通りやんか。
ええのん?ここで曲がって?」


    「お客さん、何ゆうてはりまんねん。
これ行ったほうが、千本中立売から先が
     自然に右に振ってるさかい、
近道やねんで。メーター1回分、得するで。」


    「ああ、そうなんや。」

    「せやで。覚えときはったらええで。
よかったやろ。覚えられて。
     授業料、ただにしとったるわ。
大サービスやろ。男前やし。」


     こんな具合になる・・・・かな? 
  
  
      【竜安寺へ】

    金閣寺から竜安寺へは、たまに、
歩いて行きたい、とおっしゃる方も。
    なので、一応、お聞きします。


お客様: How far from here ?
遠いのかしら?


山田 : It's a 20-minute walk.
Or a 5-minute ride on the taxi.
     歩いて20分、タクシーで5分です。


お客様: Then ,let's take a taxi.
      そしたら、タクシーだわ。


 実は、竜安寺このあと、妙心寺にいきたいと
おっしゃっていたので、
 覚悟を決めていました。

  ( 竜安寺からだと、 
    妙心寺までは、おそらく歩きだろう。)




山田 : Ryoanji temple was built in 1450 by
  a shogunal deputy of Muromachi
      governmnet、Katsumoto Hosokawa.   

     竜安寺は、1450年、管領、
細川勝元によってできた寺です。

  
ご主人: Would you speak more slowly ?
     もうちょっと、ゆっくり、しゃべって下さいな。
(何ゆうてるか、わからんわ。)


   このときは、まだ、お客様が、イスラエルの人だとは、わからなかった。


    石庭で、いつものように、枯山水の説明をしようとすると、
    ゴタの英語がわからないらしく、自分たちのガイドブック
    バックパックから出して、読み始めるご夫婦。

     (あーら、そうなの?
すみませんねえ。
ガイドの英語が聞き取れないほど、
      ひどいんだね。)


      と、次の瞬間、よく見ると、


      (あらー!なんだ、これは! 
ヘブライ語じゃん。Hebrew !)


山田  : Oh you are from Israel !

イスラエルなんだ!


ご夫妻 : Yeah !
      うん、そうさ。


   山田のイスラエルの知識は乏しく、

      カラオケ  一人見る夢は すばらしい君の踊るその姿
        世界中にナオミ ナオミ・キャンベル  
             

    ヘドバとダビデのイメージしかありません。

    ヘドバとダビデの日常語は、イデッシュ語。
    そしたら、きょうのお客様は、
    何語だろう?

    ヘブリュー?と聞いても、ご否定です。
    じゃ、きっと、イデッシュ語です。

    これは、さすがに、ゴタの語学レパートリーにない。

     ( 始めて読まれる方に:
       ゴタの趣味は、
       語学書を集めることであり、
       それを学習するまでには至っていない。

     もしも、学習していれば、
     英語、中国語、スペイン語、ドイツ語、
     フランス語、韓国語、ロシア語、
     イタリア語、ポルトガル語・・・
     80日間世界を1周しても、間に合うだろうに・・・
     
      《仮定法:非現実の述回》

     では、ゴタの語学コレクションの総数は如何?
     上述9語プラス
     ルーマニア語、ブルガリア語、ハンガリー語、マレー語。

     もっとあったのだが、
     一昨年の窮乏暮らしの中で、売り払って
     しまった。

     そうだ。また、集めればいいんだ。
     集めるぜ。イデッシュ語もレパートリーに
     いれましょう。



      【ちょっと、仕事の話に戻ります。】


     竜安寺を出るとき、


       「次はどこへいきますか?」


     と、お聞きしたら、


       「都をどり」

    を見たいとおっしゃいます。


お客様  : Is it possible ?
       見られるかい?


山田   : Of course.
       There's no impossibility in my dictionary.
       はい、見られます。我が辞書に不可能はおまへん。


お客様  : Thanks Then let's go to Gion next.
ありがとう。じゃ、祗園へ行きましょう。


山田   : No, not that.
いや、そうじゃなく・・・

       It's not so far away from here,
the place where Maikos dance.
その場所はそんなに遠くじゃないよ。
舞妓はんの踊る場所は!

       It's Kamishitchiken tea houses town
the Maikos sing and dance.
上七軒のお茶屋の町ですわ。
舞妓はんの踊りと歌やってる場所は。


お客様  : Then why don't you go there now.
        じゃあ、行こうじゃないか。そこへ。


      【上七軒の北野踊り】

  タクシーで、上七軒歌舞練場へ。

  チケット売り場に急ぎます。
開演時間は、1時20分。
ただし、お茶付きの券
  を買った人は、0時30分までに、入ることになっています。

  只今、時刻は、正午フラット。0:00時。ぶっ飛ばせ-。
  
  そんな気持ちで、タクシーに乗ったら、あかんよ。


  と言いつつ、乗った。
  竜安寺から北野をどりの歌舞練場へは、所用時間は、10分。

  軽く間に合いました。


  だが、何と、鑑賞チケットは、おひとり4000円。
  お茶付きのチケットは、4800円。

山田 : As it's too expensive for me,
 I'll be away while you appreciate the stage.
Please make a phone call
when the stage is over.

     高いから、私は、排卵ときますわ・・・入らんときますわ。
     終わったら、電話下さい。



     おとめ座
      
     月はおぼろに~東山~

    お客様を中にご案内して、
山田は、歌舞練場から出て行きました。
   
    フランス語でいうと、s'en aller
    なんで、フランス語やねん。
    語学レパートリーの話をしたからか?

    山田のおっさんは、もう、英語だけで、ええで。
あほが、かしこの真似したら、
    ひっくり返るで。
リヤカーに300キロの荷物積んでも、動きません。

    薄い脳みそに、何を覚えさせるんや。
もっと、自分を大切に。
     ショートするで。

     
    さて、4800円とは、たっけー鑑賞料金、
とても山田のごとき、人間の支払える
    金額じゃござんせん。
    
    お客様に、出してもらうくらいなら、
    その分、ガイド料金を
    たくさん、いただきとうござんす。


     ヾ(@^▽^@)ノ   


    しばらくして、ご主人が出てきました。


山田 : What's up ?
  どうしはったん?


ご主人: I need a pair of socks.
All wet owing to this rain.
      靴下が濡れててな・・

山田 : I'll bring them to you later.
There's no shop around here.
     Please go back to your green tea.
あとで、探して持っていきますわ。
早うもどって、
御抹茶飲んできなはれ。


        お茶   


     上七軒歌舞練場周辺におきまして、
紳士もんの靴下を売っているような
     店はありません。ここは、お茶屋・・・花街です。
すべて、お茶屋、仕出屋、
     置屋、あと、郵便局ぐらいなもの。


    (ほな、白梅町のイズミヤまで、
靴下を買いに行ってきたろか。)

     ゴタは、歩いて行きました。
月の砂漠を歩いて行くように、
     とぼとぼと、歩いてゆきました。

     ところで、歩き始めて、まもなく、いいにおい。
    
     「うなぎ」

     の店。腹減ったぜ。
     がまんして、靴下を買いに行きました。
  
    イズミヤで、靴下を3足。

( 3足980円で、ゴタが2足。
      お客様に1足プレゼントよ)

     2足が、26cm 
     1足が27~29cm、

大きい方を差し上げます。


     ということで、歌舞練場に戻りました。


山田 : 畳の席17番に、
これを持って行きたいので、
入れてもらえませんか?


係    : お入りいただけないのです。すみません。


山田  ;  そしたら、たたみの間がべとべとに
       汚れてもいいですか?
       みなさん、着物ですよね。

  それを心配して、靴下を履き替えたいと
       おっしゃっていましたので、
  このタオルとこの靴下を買ってきたのですが。


係     : 困ったなあ。


山田   : いいえ、困りません。
       あの人に聞いてきます。


女将風の
女性   :ええ、いいですわよ。おあがんなさい。


山田   : ありがとうございます。


係    : あ、靴下、これです。


山田   : ああ、忘れていた。ありがとう。

      (目配せ)(な!バッチリやろ?)


    すたすたと、渡り廊下を歩いて行きます。
    開演5分前。ぎりぎり。

    (正義の味方は、間一髪で、助けに来る。)
    (正義の使者、ゴーターマンは、靴下を持って、救済する。)
    (正義に生きて、不義に死ぬ。
我らは、悲し賊軍の悪名さらす球磨河原)

   女将さんの案内で、一発で、
   お客様の畳席にたどり着きました。


ご主人: Oh Thank you. It's very kind of you.
       わあ、ありがとう。おおきに。 


奥様 : So sweet, Mr. Gota. Thank you.
       気ぃ使うてくれはって、すんません。

ヾ(@^▽^@)ノ


   まあ、そない、よろこんで、もらえれば、ええわ。
たった、300円ほどの靴下で。



   さてよ、これからが問題じゃ。長い長い、待ち時間を
   どう過ごせばいいの?


   あ、そうだ。あの「うなぎ屋」へ行こう。

   歌舞練場を南に歩いて、今出川に出る手前左、ここに

   ほんのり、焼き「うなぎのいい香り。この店だ。突入。

  
    「お願いします。」


    「いらっしゃいませ。」


    カウンターです。


お店 : どうぞ、お好きなところへ。



     ヾ(@^▽^@)ノ 



   奥から3番目に座った。


山田 ; お昼のうなぎ定食を下さい。


お店 : はい、お昼のうなぎ定食、入ります。
の主人

    
お店の
奥さん : 添乗員さんですか?


山田  : はい、舞台ハネを待っています。

お店の 
奥さん : そうでしたか。
今、みなさん、一斉に出て行かれましたよ。
      これから、公演が始まるって言って。


山田  ; そうなんですよ。これから、
2時間近く、どこで、時間つぶしをするか、
      ああ、どうしよう。


お店の
奥さん : 梅はどうです?北野天満宮の?


山田  : ああ、なるほど。うめ~ことを考えついたね。


ご主人 : へい、「うなぎ定食」お待ちどう。 


山田  :  ああ、このうなぎも、うめ~
 
お店の
奥さん : うちは、炭火で焼いてますのよ。


山田  : いいねえ。うなぎの炭火焼き。うんめえ。



   北野天満宮の梅は終わっていました。
でも、890円のうなぎ定食は
   それを上回る。梅はなくても、うなぎがうめえ。

一句できた。


      「梅を見に北野に来たの」 


 あかん。ただのだじゃれや。


      「上七軒 梅は散っても うなぎがうめえ」 


 これ、入選にしようか。


  することが 何もなくて 戻る山田
  うまい具合に 出てきたお客。

  出てきたわけを聞いてみた

  言葉がわからず 
  芝居のストーリーがつかめなかったのだとか。

  これはね。歌舞練場が、ガイドを無料で、
入れるように、しなくちゃだめよ。
  

  日本ガイド憲章: ガイドは、どこでも無料で入れろ。

  ほんまにこんなん、あんのか?

  ない。今作ったばっかりや。

 わはははは 


     午後2時50分、

   途中抜けにて、ツアー再開。

   上七軒から、タクシーを拾い、錦市場へ。


    【錦市場】

   ここで、午後3時。
10分ほど、ご一緒して、6時間コースを終了。
   ガイド料金を頂いて、錦市場で、解散しました。

    
   その後、しばらく錦市場を歩いていたのですが、
あちこちで、ヘブライ語
   だか、イデッシュ語が聞こえてきました。

   何か、イスラエルから大きなツアーが入っていたんだ。

   ナオミの夢しか知らないゴタ、
もう少し見聞を広めてみては、いかがでしょう?

   そう言い聞かせて、大阪へ、帰って行ったとさ。


    おしまい   
    山田 錦(ゴタ)