10月21日(月)

【スイス南海ホテルご斡旋、トルコのお客様】



  月曜日の男・・・といえば、
  人類の50%は、
  きょう、それに該当するが・・・
  その男はそこに立っていた。
  

  お迎えを、どう聞き間違えたのか、
  手には、イギリスの
  手旗を持って、ロビーの隅に立っていた。


  それは、21日、朝、9時45分のこと。
  男は、傍らのコンシェルジュ兼ベルデスクに
  歩み寄る。


男 ・・・・ 山田のことやのに、何気取っとんねん。
  
     : すみません。きょう、お迎えのお客様は、
       イギリス人2名でしたよね?


コンシェ
ルジュさん: 私は担当していないので、わかりかねます。
       調べてみますね。  



   それでわかったことだけど、
   きょうのお客様は、トルコのお客様でした。



    【スイス南海ホテル、
     コンシェルジュデスク。午前9時50分。】



山田 : ああ、そうでしたか。いけない、いけない。
     この手旗は、しまっておきましょう。
     ありがとう。
     てっきり、イギリス人かと思っていました。


  そばで聞いていたベルのお姉さん、
  クスクスと笑いながら、


ベルねえさん : 聞いてよかったですね。


山田     : ほんまや。なんで、間違えたんかな?
         黒板にイギリスて書いてあったのに。


    (ほんまに、誰が、黒板に、
     イギリス人2名のお迎えって
     書きやがったんや?)
    
    (わてだす。)

    自問自答していると、お客様が登場。
    きょうのお客様は、トルコから。
    山田り、少し、ご年配。
    60代半ばのご夫婦です。

 
   Basak Tek さんと、 Saniye さん。(よう読まんわ。)


バサクさん : How do you do, Mr. Gota ?
         たのんまっせ。

 
山田     : Never better、thanks.
Mr. Basak. Happy to see you.
         こちらこそ、よろしく。


バサクさん : Before going,
let's talk about the plan for today.
出かける前に、
        きょうのプランを決めましょう。


      キョロキョロして、ありました。
真後ろに、座る場所が。
      本当は、喫茶コーナーのテーブルなので、
      はばかりましたが、
      注文にくれば、コーヒーをいえばいい。
来なければ、ちょっと、席を拝借。


バサクさん : Do you know a good place
        for Kobe beef ?
We'd like to eat somewhere
we can see cows and oxen in the pasture.
神戸牛のいい場所、ご存じですか?  


山田    : There's no such a place as far as I know.
Alright I'll ask the
information.
いやあ、知らないですねえ。聞いてみます。

     ヾ(@°▽°@)ノ


     ホテルのインフォメーションでは、
みなさん、知らないといいます。
     神戸の観光協会に問い合わせたら、

      「ありませんね。そういう場所は。
牧場とレストランは、別々の場所です。」

      「やっぱり。」


   (‐^▽^‐)


      とりあえず、出発。
だって、時間がもったいない。
山田のガイド料金は 
最低でも、1時間当たり、3250円。
行くぜ~。


      ホテルのタクシー乗り場のタクシーに乗ります。

      行き先は、


     【黒門市場】

      トルコの市場に売られている魚介類と、
少し違うのでしょうか、奥様は、鮮魚売り場で、  
    はたと、立ち止まり、動きません。
何を見ているのかいな?ああ、うなぎ。


奥様 : What's that ? Mr. Yamada ?

あれ、何のさかな、山田はん。


山田 : They are eels. Broiled eel with
sweet soy sauce tastes good.
うなぎやんか。蒲焼きがうまいんや。


奥様 : This one ?

これは?


山田 : Conger eel.
アナゴ(かな?アナゴにしとこ。)


奥様 : And this one. What is it ?

ほんで、これ、何?


   (=⌒▽⌒=)
 
  奥様、指をさすところ、どうも、ドジョウのようである。

  どじょっこだの、ふなっこだの 
  トルコ人が来ただと思ってるべな。


山田 : Looks like a loach.
ドジョウやと思いますねんけど・・・・


奥様 : Loach ? What is it ?
ドジョウ?何それ?


ご主人: Kind of eel.
     うなぎの仲間だろ。



  家に帰って、和英で、
  今調べていますが、ドジョウは、やはり、

    loach

になっています。
通じるはずだ。
通じなければ、山田の発音が悪かったか。

 歯医者通いで、山田の歯は抜けていて、
上左歯列は、ブリッジだが、
 それでも、L の発音には、影響はないと思うが・・・。  

 まあ、ドジョウは、どこにでもおるで。
 ハエや蚊がどこにでも、おるように。
          
  さて、辞書によると、loach 

  という言葉を知らない人には、


    an oriental weatherfish

  といえばよい旨が添えられているが、
よけい、わからんようになるで。

  東洋のお天気さかなって、何やねん?

    weathercock

なら、風見鶏なので、意味をなすが、

    weatherfish が、

天気を教えてくれる魚なのでしょうか?


なまずは、地震を教えてくれるらしいが、

    catfish

という。

何か、キャットフードの名前みたいだが・・・


ここ、黒門市場をガイドするには、
ナマズよりも、ナマコを説明出来る方がよい。

ナマコは、ガイド試験に出る重要単語です。
来年受験される方、ナマコは、


   sea cucumber もしくは、trepang

        
   beche-de-mer  というような、
フランス語みたいな言い方もあるようです。

   海のシャベル ですな。becheの はじめの e に

   アクサンスィルコンフレックスがつきます。
   イベントこんな形。


  それから、黒門市場では、
ホタテがあちこちで売られています。
   ホタテの単語を忘れたら、致命的です。

      scallop  (スカラップ) 

 といいます。      


  尚、 scholarship (スカラシップ) 
は、学問、とか、奨学金のこと。
  ホタテ貝を見て、学問に励みましょう。

  ついでに言えば、

     scallops

と、複数形にすれば、
半円の連続模様の飾りのことです。

  お洋服のね、袖口や、襟元や、
すそに飾り付けします。
  エレガントなスカラプと正反対なのが、

  o の文字が脱落したscalp

   こちら、意味は、「頭皮」

   さらに言えば、頭髪付きの頭皮のことで、
昔は、戦利品として、死体からはぎ取って
   持ち帰ったという、
エレガントと縁もゆかりもない世界の話です。



奥様 : What are these over here ?
     こっちのん、何やのん?


山田 : A pike eel.
      ハモや。


   複数形で、聞かれて、単数形で答えるゴタ。
ガッコの試験なら、ペケ。
   不合格答案。

   あまりに、ひどいときは、
   お客様から矯正を受けます。


奥様  : Pike eels, ha ?
ハモたちやな?


山田  : (好きに呼べ) Yes, they are.
               そうです。


     ヾ(@^▽^@)ノ 
       

   天ぷら屋さんで、ショウガの赤い天ぷらを見つけて、


奥様 : What's this ?
     これって何?


山田 : ・・・


    一瞬でも答えに詰まると、
    店員さんの方が、心得ていて、


店員さん: Ginger.
ショウガよ。


奥様  : Oh, yes. Looks delicious.
      ああ、ショウガなあ。
 おいしそうやな。



   奥様、お買い求め。ゴタにも、

D'you wanna ? 「あんた、いらんか?」
   
と、(照れ隠しで)お聞きです。


山田  : No, thank you. Go ahead. 
  いいですよ。どうぞ、ご遠慮なく。


  ショウガの天ぷらを頬ばりながら、黒門市場をお散歩です。



    【千日前】 


 黒門市場を千日前通りに出ます。

 国立文楽劇場が、真向かいにあります。


山田 : The building opposite the road is
the National Bunkaru Puppet Show Theater.
向かいの建物は、国立文楽劇場です。


奥様 : Puppet show ?
       人形劇?


山田 : Yeah, Imagine marionettes
     you have in Europe.
     へえ、マリオネットですわ。

(ちょっと、ちゃうけどな。)



  道路を渡ります。文楽劇場の出し物を見てみると、
  きょうは、落語です。

  文楽は、そういつも、
  やっているわけでは、ありません。


   ヾ(@^▽^@)ノ



    【大阪城へ】


  劇場前から、タクシーに乗ります。


奥様  : What is next ? 次はどこ?


山田  : The next place is a castle.
      Osaka Castle, one of three
major castles in  Japan.
      次は、お城。
  日本三名城のひとつ、大阪城です。
   

ドライ
バーさん: 大阪城でっか?


山田  : はい、そうです。
      よろしくお願いします。


ドライ
バーさん: 千日前、まっすぐ行って、
上六で、曲がりましょか?


山田  : おまかせします。よろしく。



      【大手門】

 
ご主人 : Who built this castle ?
      誰が建てたの?


山田  : The top samurai warrior,
      Hideyoshi, built it.
       秀吉です。



ご主人 : Shogun ?
      (秀吉は)将軍だったのですか?


山田  : Unfortunately, he died before
he got entitled the Shogun.
      残念ながら、将軍に任命される前に、
亡くなりました。

      Oh、Look there stands Hideyoshi deep
in the center at the torii gate there.
      あ、ほら、秀吉はんが、いますわ。
鳥居の中に、ほら。


奥様  : Is this a temple ? 
       これはお寺ですかぁ?


山田  : No, not that・・・ そうじゃなくて、・・
      That's a Shito shrine.
      We Japanese call it jinja.
      
      神社ですね。
         
  
奥様   : What's the religion
      the Japanese people believe ?
      日本人の宗教って、何?


山田  : Originally our religion was the Shinto.
In 538 AD a new religion was
introduced into Japan
      from the Kudara now Korea.
That's what you called Buddhism.

      After that we have two gods.
Almost every house in Japan,
there are two gods.
The two gods are separated
into different places.

One is enshrined into the altar,
the other is put on the shelf
with sacred paper strips around it.

もともと日本人って、
神道やったんですけど。
      583年(ご参拝と覚える)に
百済から仏教が入ってきましてん。
      ほんで、それから、どこの家でも、
神様と仏様を祀ってますねん。


奥様 : Oh, How busy people you are to believe both.
      ふたつも?お忙しいことで。



         【桜門で】

山田 : Look at those halls ?
Why do you know there are
so many halls in the wall ?
ごらん下さい。
     壁に穴がありますけど、どうしてでしょう?


奥様 : Of course I can see.
Halls are for an archery.
     わかるわよ。
     弓術のための穴よ。


山田 : (鉄砲なんだけど)
 Yes, halls were for weapons
like missiles and firearms.
そうです。飛び道具の穴です。


  ヾ(@°▽°@)ノ

    門をくぐったところ、お城で、一番大きな石。


山田 : This is the biggest
     stone of all in the castle.
一番大きい石ですで。

  目

   石を背景にお写真。

   
     【元陸軍司令部】

山田 : The building was used as a
headquarters of the old Japanese army
during the previous war.
I mean the Pacific War
     between America and Japan.
ここは、太平洋戦争中、
旧陸軍が司令部にしていた場所です。


   みなさん、ゴタの説明を無視。
そりゃ、どうせ、私は、ヘボガイドですよ。むかっ

  でも、よく見ると、むこうに、
幼稚園の幼児たちが、天守の写生をしています。
  芝生にちょこんと座って、
一生懸命に、画板に絵を描いています。


山田 : Let's go and see them.
      行ってみましょう。


    丁寧に、石垣をひとつひとつ描いています。
     
    運んだ人のことを思うと、ひとつ、ひとつ
心を込めて描いているこの子たちはえらい。

    と、見とれていると、お客様は、
入場券販売機の方に、歩いています。


    山田、あわてて、追っかけて行きます。

     
叫び
     
      

        

  山田のおっさん、チンカラリン 
  チンカラリンと、追っかける。

  
奥様 : Oh, no problem.
I'll buy the three tickets.
     大丈夫よ。3枚買いますわよ。


山田 : No you need not.
買わないで。   

     I have free pass.
私には、フリーパスがありますので。


  大人の階段、登る。お城の階段も、登る。
登ったところに、大砲。


ご主人 : The cannon !
       大砲だね。


山田  : That cannon was originally set
in Okayama prefecture
      to attack foreigners.
      もともと、岡山にあったものなんです。

      Later they used this for a time signal.
ここでは、時報として使われました。


       ヾ(@^▽^@)ノ 
  
   内は、エレベーターが二種類。
左のエレベーターは、一般用。
   右のエレベーターは、身障者用。
   左のエレベーターは、5階まで。
   右のエレベーターは、8階まで。


奥様 : Then let's take the right one.
じゃ、右のエレベーターに乗りましょう。


 その声をかき消すように、
館内誘導ガードマンが、左のエレベーターに、
 山田たち3人を、かなり、強引に誘導。

 ガードマンも達人になると、
いち早く、こちらの魂胆を見抜き、
 不正アクセスを防ぐようである。

 なりすまし身障者作戦、失敗。


  よって、5階に到着。


山田  : The dolls here depict the scene
where toyotomi army and Tokugawa army fought.
      人形は豊臣勢と徳川勢の戦いを描いています。

      The captain of the Yoyotomi was
Lord. Sanada. This man.
And the captain of Tokugawa was ・・・
      豊臣方の大将は、真田氏。徳川方は、・・・
 

奥様 : Ieyasu.  
     家康よ。


山田 : (あ、この場面は違うんだけどな。ま、いっか。)
 Yes, the captain was Ieyasu.
そうですね。家康です。 



       【展望階】

   最上階は、お殿様が座っていた階。
秀頼と千姫は、ここで、(ちょっと場所違うけど)
   仲良く、お茶でもすすっていたのでしょうか。


秀頼 : お茶をもてい。


家臣 : はは。只今。


侍女 : お持ちいたしました。


千姫 : わらわにもじゃ。お茶を。


侍女 : ほうじ茶と煎茶がございますが、
どちらにいたしましょう。


千姫 : 秀頼さまと同じお茶じゃ。
     早うもてい。


侍女 : お砂糖とミルクはいかがなさいますか?


千姫 : いいから、早うお茶をもてい。
秀頼さまと一緒に飲みたいのじゃ。
     この、すかんたこ。 

 

    こんな感じだったのでしょうか・

   
     【おみやげ売り場】

  たくさんおみやげを買い込まれたので、
  一度、ホテルに戻ることにしました。
  タクシーで、スイス南海ホテルに帰着。

  スカイビルは、ガイドがいなくても、行ける、
  ということで、山田、お払い箱。

  何が間違ったといって、そもそも、順序。
  先に、スカイビルに行くべきでした。
  そしたら、6時間コースだったのに、
  先に、お城に行ったから、4時間コースに
  なりました。

  でも、文句はありません。
  きょうのお客様で、山田事務所開業112番目の
  ありがた~いお客様です。

  Then Good-bye. Thank you.

  
  おしまい


  山田 錦